2021年03月31日

「記録簿」って一体何のこと?実は記録簿の有無は車選びのキーポイント

中古車サイトの車両情報のところに、「定期点検記録簿」と記載されている場合があります。定期点検整備記録簿は記録簿とも呼ばれ、12ヶ月点検や24ヶ月点検時の車両のメンテナンス状況を記録する書類のことです。今回は、中古車を購入するときにチェックすべき記録簿について解説します。

記録簿とは


中古車を購入するときに、なぜ定期点検整備記録簿(略称:記録簿)が大切なのでしょうか。ここでは、記録簿とは何か、記録簿がある場合とない場合で何が違うのか詳しく解説します。



記録簿とは何か


記録簿の正式名称は「定期点検整備記録簿」です。定期点検の際に、整備の状況を記録します。定期点検には12ヶ月点検や24ヶ月点検などがありますが、車検とは異なりますので間違えないよう注意してください。

記録簿からはどんなことがわかるのか


記録簿には、点検項目のチェック欄が並んでおり、正常・調整・交換などのマークを記入します。点検項目は車によって異なるため、全ての項目にチェックが入るとは限りません。
チェック項目には、「エンジンまわり」、「足まわり」、「下まわり」、「ペダル関連」があり、「エンジンオイル」、「冷却水」、「ブレーキフルード」には数値を記入します。

また、タイヤの残り溝を記入する欄もあり、タイヤを交換すべきかどうかの判断や、交換に適した時期の予測に役立ちます。

その他、いくつかの点検項目とメンテナンスに関するアドバイス欄があります。

中古車を選ぶときは、記録簿に「分解整備をした事業所名」や「整備士の名前」、「工場の認証番号」が記載されているか確認しましょう。

認証番号が記載されていない場合は、認証工場以外で整備された車と考えられます。認証工場とは、地方運輸局長が自動車の分解整備を許可した工場のことで、整備の信頼性が高いと言えるでしょう。また、認証工場の中でも、設備や技術が一定の基準を満たしており、地方運輸局の指定自動車整備事業の認可を受けた工場は「指定工場」と呼ばれています。

厳しい基準をクリアしているため、整備の質も高いと言えるでしょう。

記録簿があるメリット


記録簿からは整備の内容や履歴、不具合の有無を確認できます。破損の履歴がないのに越したことはありません。しかし、破損があったからといって、必ずしも状態が悪い車とは言えないでしょう。破損した履歴があっても、的確に修理されていれば、問題なく乗ることができます。記録簿からは、このような合理的な判断に繋がる重要な情報を得られるのです。

記録簿がないデメリット


指定工場や認証工場での整備が行われていない中古車には、記録簿がない場合があります。記録簿がない場合は、整備の内容や整備した工場、整備士などがわかりません。また、不正な整備や違法改造が行われていた可能性も否定できないのです。このような中古車は、購入すべきかどうか判断が難しいでしょう。



記録簿がない理由


中古車の記録簿がない場合、その理由を確認しましょう。理由次第では、記録簿なしでも安心して購入できます。ここでは、記録簿がない理由について、詳しく解説します。

指定工場と認証工場で点検していない


定期点検整備記録簿は、指定工場または認証工場でなければ発行できません。そのため、記録簿がない場合は一般の整備工場で点検をしたと考えられます。

所有者が紛失してまった


所有者が記録簿を紛失してしまった場合、記録簿がありません。記録簿は、比較的小さなものですので、うっかり紛失してしまうケースが少なくありません。

業者が破棄してしまった


業者が記録簿を破棄してしまうケースも考えられるでしょう。メーター改ざんなどの痕跡をなくすために、業者が記録簿を破棄する場合があります。しかし、現在は走行距離の改ざん・メーター戻しをなくす動きがあるほか、オークション会場において車両ごとに走行距離の管理をしているため、記録簿を破棄するメリットがほとんどありません。そのため、業者が記録簿を破棄するケースはかなり少なくなってきています。

法定点検や整備を行っていない


法定点検や整備を行っていない場合も、記録簿がありません。記録簿は、あくまでも法定12ヶ月点検や24ヶ月点検の記録をする帳簿で、指定工場または認証工場が発行する書類です。

また、民間整備工場では、車検後に法定点検・整備をすると申告して車検を通し、整備せずに車両ユーザーに受け渡すことで、車検費用を抑えている場合があります。この場合、実際には法定点検をしていないため、記録簿が存在しないのです。

個人情報の保護のため


記録簿には、使用者の名前や住所を記載する欄があるため、個人情報が流出する原因になりかねません。前オーナーが車を売却する際に、個人情報保護の観点から記録簿を処分してしまうケースがあります。



記録簿をチェックするポイント


中古車の記録簿をチェックするときには、見るべきポイントがあります。ここでは、記録簿を見るときのコツを解説します。

点検を受けている場所


まずは、点検を受けた場所を確認しましょう。指定工場や認証工場で点検を受けている場合には、認証番号の記載があります。認証番号が明記されている場所で点検を受けている中古車であれば、安心して乗ることができるでしょう。

交換している部品


通常使用による部品交換であれば、大きな問題がなかったと判断できます。しかし、エンジンの乗せ換えやトランスミッションの乗せ換えがあった場合には、大きなトラブルがあった可能性が高いでしょう。通常使用では交換しないような部品を交換している場合には、交換理由を聞いてみてください。

オイル交換


オイル交換は、車の維持に必須です。定期的にオイル交換をしていれば、エンジンやブレーキなどのコンディションが良好に保たれやすいでしょう。しかし、オイルの定期交換がされていない場合には、メカニズムのコンディションが悪くなっている恐れがあります。

記録簿のほかにチェックすべきポイント


記録簿には、車に関する情報が記載されています。しかし、全て細かく見るのは骨が折れる作業です。上記で説明した「点検場所」、「交換部品」、「オイル交換」の他に、見るべきポイントは次の4つです。

タイヤ溝の深さ


タイヤ溝の深さは、ユーザー自身でも確認できます。しかし、見ることができるのは、現在装着しているタイヤのみです。過去にどの程度の走行距離と頻度で、タイヤローテーションや交換が行われていたのかを知ることで、前オーナーがどのような運転をしていたのか知ることができます。

例えば、走行距離が伸びていないにも関わらず、ローテーションやタイヤ交換の頻度が高い場合は、急加速・急減速を繰り返していたり、頻繁に重たい荷物を載せていりした可能性があります。エンジンやブレーキへの負荷が大きく、サスペンションなど取り付けパーツが酷使されていたと考えられます。酷使されていたのにもかかわらず、必要部品の交換が行われていない場合は、購入後すぐに部品交換が必要になる可能性があります。このように、タイヤ溝の深さからは、さまざまな情報を読み取ることができるのです。

ブレーキパッド・ライニングの厚さ


ブレーキパッド・ライニングの厚さは、車の「停まる」に関わる重要なパーツです。頻繁に交換するものではありませんが、残りの厚さが少ない場合は、中古車として購入した後すぐに交換をしなければなりません。

冷却水(クーラント)


冷却水(クーラント)は、定期的に補充が必要です。しかし、冷却水(クーラント)の補充量が異常に多い場合には、冷却水漏れがあった可能性が高いと言えます。

ブレーキフルード


ブレーキフルードは、ブレーキ操作に関わる重要なパーツです。定期的に交換しなければ、ブレーキに異常が発生する可能性が高いため、交換の履歴を確認しましょう。

外車王編集部

執筆者: 外車王編集部


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