アイキャッチ画像
ドイツ現地レポ

更新2018.09.13

まさにコンクール・コンディション!宝石のような2代目SLクラス(W113)、中でもさらに希少な「250SL」との邂逅

ライター画像

守屋 健

昨日は快晴だったのに今日は雨。天気予報がなかなか当たらない…秋の空が変わりやすいのは、日本もドイツも同じです。秋は一瞬で過ぎ去り、すぐに長い冬が到来することを知っているドイツの人々は、だからこそ晴れた日の午後をたっぷり外で遊んで過ごします。そんな晴れた日の午後に、ベルリンの街中で古く美しいメルセデス・ベンツと出会いました。今回の主役は、メルセデス・ベンツSLクラスの2代目モデル、250SL(W113)です。

もともとの意味は「超軽量」




メルセデス・ベンツには多くのオープンモデルがラインナップされていますが、その中でも最高峰の2シーター・オープンスポーツカーとして長く頂点に君臨し続けているのがSLクラス。歴史をたどれば、1954年に登場した初代モデル・300SL(コードW198)から現在まで、途切れることなく生産が続けられています。レーシングカーをルーツとし、非常に凝った構造のシャーシを持つW198のネーミング「SL」は、「Super Leicht(ズーパー・ライヒト:超軽量)」を意味していました。



2代目SLクラス(コードW113)の時代に入ると、「SL」のもともとの意味は薄れ、より高級志向、ツアラー志向の方向性にシフト。現在までつながるSLクラスの方向性は、2代目のW113で確立されたと言ってよいでしょう。W113のデビューは、1963年3月のジュネーブ・モーターショーのことでした。以降、1971年に3代目SLクラス(コードR107)にバトンタッチされるまで、約8年間に48,912台が生産されています。

外車王バナー外車王バナー旧車王バナー旧車王バナー

ドイツ人は古いメルセデスがお好き?




ドイツでは、普段乗られているクルマがあまり洗車されておらず(ドイツのビルト紙によれば、ドイツ人の年間平均洗車回数は6回)公道を眺めていても「ほこりをかぶったクルマが多いな」という印象が強いのですが、一方で古いクルマに対する愛情の掛け方は別格、と言えるかもしれません。とくに古いメルセデス・ベンツとポルシェに対しては、愛情の深さを感じることが多いです。今回撮影したW113も、コンクール・コンディションと断言してもよいほど、非常に美しい状態を保っていました。

曇りひとつないメッキパーツに、歪みのないボディパネル。上品なクリーム色の外装に、赤い幌がとてもよく似合っています。これほど美しいW113はめったにお目にかかれないと思うのですが、リアに刻まれたエンブレムに筆者はさらに驚いてしまいました。「250SL」だったのです。250SLはW113の歴史の中でも生産されたのは約1年間のみ、W113の総生産台数48,912台のうち、わずか5,196台しか作られていません。しかも、そのうち3分の1以上の1,761台がアメリカに輸出されています。現在、動ける状態でドイツに生息している250SL(W113)はどれくらいいるのでしょうか…。

古さを感じさせない美しいデザイン




1963年のデビュー時、用意されたのは2.3リッター直列6気筒SOHCエンジンを搭載する230SLのみでした。250SLは1967年のジュネーブ・モーターショーで発表され、1967年12月には280SLに移行します。230SLからの変更点は、4輪ディスクブレーキの採用、ガソリンタンク容量を65リッターから82リッターに増量、最高出力は変わらないもののトルクを増した2.5リッターエンジン、と多岐に渡っていました。

オプションで用意されたハードトップは、真ん中が凹んだ独特の形状で「パゴダ・ルーフ」と呼ばれ、「パゴダ」はそのままW113の愛称となりました。クルマをデザインしたのは、当時ダイムラー・ベンツに所属していたフランス人デザイナー、ポール・ブラック。画家や彫刻家の肩書きをも持つ彼がデザインしたW113は、今でも当時と変わらぬ魅力で、多くの人々を魅了し続けています。美しく、エレガントな250SLは、オーナーからの深い愛情を受けて、これからも長くドイツの地で走り続けることでしょう。

[ライター・カメラ/守屋健]

外車王SOKENは輸入車買取20年以上の外車王が運営しています

外車王SOKENは輸入車買取20年以上の外車王が運営しています
輸入車に特化して20年以上のノウハウがあり、輸入車の年間査定申込数20,000件以上と実績も豊富で、多くの輸入車オーナーに選ばれています!最短当日、無料で専門スタッフが出張査定にお伺いします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。