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コラム

更新2020.08.20

サーブが2017年に消滅しても残したい、サーブ900 ターボ16 カブリオレ

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松村 透

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2016年6月発表された「サーブ」が2017年をもって消滅するという報道は、輸入車ファンにも大きな衝撃を与えたのではないでしょうか?

現在、スウェーデンのナショナル・エレクトリック・ビーグル・スウェーデン社(NEVS)が、サーブ車の生産および販売の権利を有しており、2017年にサーブ9-3をベースに造られる電気自動車にはサーブの商標を使わないと発表したのです。姿形はサーブでも、バッチは「SAAB」ではなくなります。

サーブ900がデビューしたのは1978年




おそらく、日本でもっとも売れたモデルはサーブ900シリーズではないでしょうか?このモデルは欧州Dセグメントにあたります。つまり、メルセデス・ベンツ190EシリーズやBMW 3シリーズ(E30)が商売上のライバルであったわけです。

そのなかでも車両販売価格350万円のi16は、500万円前後が大半であった190Eシリーズや3シリーズに比べて安価な価格設定が魅力でした。クラシックな雰囲気(デビューから10数年経過しているので実際にクラシック)が日本でも人気を博しました。

サーブ900の2.0L 直列4気筒DOHCエンジンのパワーは、NAモデルで125ps、ハイプレッシャーターボモデルで160psを発生しました。駆動方式はFFのみ。輸入された当初は5MTも存在していましたが、後に4ATのみとなりました。

サーブ900 i16 全長×全幅×全高:4680x1695x1425mm
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街中にサーブが溢れていたことを思い出す、サーブ900 ターボ16 カブリオレ




サーブ900は、クーペ、セダン、ハッチバック。さまざまなボディバリエーションが展開されており、日本市場にはカブリオレモデルも導入されました。アメリカ市場向けに造られたサーブ900 ターボ16 カブリオレですが、日本もバブル経済真っ只中。車両本体価格590万円という価格にも関わらず、人とは違う、お洒落なクルマとして適度に変化球が加えられたサーブ900 ターボ16 カブリオレは人気モデルとなりました。男性オーナーはもちろん、このクルマを颯爽と乗りこなす女性オーナーも多かったように思います。

筆者がアルバイトしていた都内のウィンドウフィルム施工店にも、ときどきサーブが持ち込まれました。忘れもしないのは鮮やかな黄色のサーブ900 ターボ16 カブリオレを手に入れた大学生のオーナーさんが、このクルマをフルスモークにしてほしいと持ち込んできました。当時、レンタルから販売に移行したばかりの携帯電話(しかもDoCoMo。当時のDoCoMoは高くて契約するのは大変)を所持していたので、ずいぶんと羽振りのいい学生さんだなと思ったことを覚えています。希望通りにフルスモークにしたサーブ900 ターボ16 カブリオレはいっきに「ワル」なクルマへと変貌してしまいました。このサーブと彼はいまごろどうしているのでしょうか…。

サーブ900 ターボ16 カブリオレ 全長×全幅×全高:4680x1695x1425mm

同じスウェーデン産のクルマでも明暗が分かれたボルボとサーブ


ボルボ・カー・ジャパンは先日、KLASSISK GARAGE(クラシックガレージ)という設備をオープンさせました。クラシックボルボ(100/200/700/900)を中心に点検整備や法定点検はもちろん、純正パーツを用いてエンジンの整備などにも対応してくれるとのことです。

このように、インポーターがセーフティネットとなり、古いクルマの維持に努めてくれるのであれば、オーナーも安心です。多くのクラシックボルボが延命することは間違いないありません。

同じスウェーデン産のクルマでも明暗が分かれたボルボとサーブ。数十年後には、サーブというメーカーを知らない人が大半を占める時代が訪れてしまうのでしょうか。

[ライター/江上透]

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