アイキャッチ画像
コラム

更新2020.08.24

クルマの双生児かクローンか。OEM・またはバッジエンジニアリング

ライター画像

まつばらあつし

「OEM(Original Equipment Manufacturing)」という言葉をご存知だろうか?。カンタンに言えば「相手先のブランド名で製造する」製品のことで、一般の工業製品だけでなくクルマでもよく行われる生産のカタチだ。

例えば、皆さんご存知のトヨタ「プリウスα」は、ダイハツでは「メビウス」という名前で販売されていたりする。相手先のブランドで同じクルマを販売する、というやり方だ。

旧いマニアならご存じかとは思うが、70年代にヒットしたいすゞの初代「ジェミニ」は、提携先であるGM(ゼネラルモータース)のグローバルカーのひとつで、オペル「カデット」・シボレー「シエベット」・ホールデン「ジェミナイ」など、世界中で生産/販売された、まさにワールドワイドなクルマだったのだ。

さて、そんなOEMのクルマ、日本ではなかなか眼にすることのできないようなヤツを幾つか探ってみると、これがなかなか面白いのである。例えばルノーのミドルクラスセダン「ラティテュード」は、中東やメキシコでは「サフラン」と名乗っているが、ベース車両は韓国・ルノーサムスンの「SM5」と呼ばれている。

同じくルノー「カングー」は、メルセデス・ベンツ「シタン」としてドイツで販売されているが、製造はフランスのルノーの工場で行われている。この「シタン」は、フロントマスクが「メルセデス風」になってはいるものの、ボディ後半がほとんどカングーなので、ちょっと可愛い感じがする。



メルセデスといえば、ちょっと本筋からは外れるが、スマートの4シーター「フォーフォー」。旧型は三菱「コルト」をベースにオランダで生産。日本でも、数は少ないながらもしばらくは販売されていた。この「フォーフォー」は、わずか3年で生産が打ち切られた短命車だったが、2代目「フォーフォー」は提携先のルノー「トゥインゴ」をベースにしたRR車。初代よりも厳つい感じになって再登場したというわけだ。

ルノーばっかりで申し訳ないが(なにしろワタクシ、イタ・フラ車が好きなものでして・・(笑))、ルノーの小型トラック「マキシティ」は、日産「アトラス」のOEM車で、三菱ふそう「キャンターガッツ」、いすゞ「エルフ100」、UD「コンドル・カーゴ」などとも兄弟車となっている。こういう働くクルマのOEMというのは、なかなか趣の深いものがある。

また、日本車とのOEMもある程度行われており、オペルのミニバン「ザフィーラ」は、スバル「トラヴィック」として販売されていた。また、厳密に言えばOEMではないが、日産がVW「サンタナ」を1984年から1991年までライセンス生産していたことがあった。

ちょっと変わったところでは2004年〜2006年に8000台という限られた台数ではあるものの、スバル「インプレッサ・スポーツワゴン」のOEM版である、サーブ「9-2X」という小型車がある。前から観ると完璧にサーブだけど、ヨコから観たらモロにスバルという、ちょっと変わったヤツだったらしい。

少々レアな話ではあるが、今はなき英国の「ローバー」社は、1979年から1994年まで、日本の「ホンダ」と提携しており、幾つかの車種がローバー、あるいはトライアンフのブランドで販売されていたことがある。日本も英国も同じ右ハンドルなので、改造などの手間がかからなかったというウワサもあったが、今はもう過去の話。

調べればまだまだ出てくるOEMのお話だが、今回はここまで。実際にOEMのクルマを乗っているヒトなどに、話を訊く事ができればいいなとは思うものの、何しろ数が少ないので・・・(笑)。

[ライター/まつばらあつし]

外車王SOKENは輸入車買取20年以上の外車王が運営しています

外車王SOKENは輸入車買取20年以上の外車王が運営しています
輸入車に特化して20年以上のノウハウがあり、輸入車の年間査定申込数20,000件以上と実績も豊富で、多くの輸入車オーナーに選ばれています!最短当日、無料で専門スタッフが出張査定にお伺いします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。