更新2023.05.14
完全な電気自動車として生まれ変わった新型「smart」をドイツで発見
高岡 ケン
2023年2月6日、欧州にて新型スマート#1の注文が開始された。
スマートと聞くと、誰もが2シーターのコンパクトモデル「Fortwo」を思い浮かべるだろう。
しかし、今回新しく発表されたスマートはこれまでのスマートとまったく異なるコンパクトSUVモデルとなる。
2014年以来、おおよそ9年ぶりとなる新型スマートの発表に世界中が注目する中でEVとしてまったく新しいスマートへと生まれ変わった。
今回は新型スマート#1のスペックや欧州市場での人気について解説していく。
■スマートとはどのような会社?
1994年にスイスの時計メーカーであるSwatchとメルセデス・ベンツにて設立されたスマート社。
現在はメルセデス・ベンツと中国の自動車メーカー吉利汽車の子会社となっている。
名前の由来はSwatchのSとMercedes BenzのMと芸術のartを掛け合わせてSmartと名付けられた。
1998年にはスマートブランド初のフォーツーが発売され、カラフルなボディカラーと超小型モデルであることからコンパクトシティカーとして注目を集めた。
その後、4シーターのフォーフォーとロードスターが続いて発表され、どのモデルもコンパクトカーに位置付けされるサイズであることからドイツではシティクーペとして親しまれるようになった。
今回発表されたスマート#1は2019年に吉利汽車が50%の株式を取得して以来、初の新型車となる。
■無駄のないコンパクトな電気自動車
全長は4.27m、幅は1.82m、高さは1.63mのスマート#1は、MINIクロスオーバーやVWゴルフ、マツダCX-3などと同等のサイズ感となっている。
フロントトランクには充電ケーブルを収納するため、15Lのスペースとリアトランクには323Lのスペースが確保されている。
さらに後部座席は折り畳み式だけでなく、前後にスライドすることもできる。
後部座席を折り畳んだ際のトランク容量は最大で411Lになり、これはボルボXC40のトランク容量に相当する。
必要に応じてトランク容量を増やすことができ、分割可能なリアベンチシート(60:40)と組み合わせることで、最大限の柔軟性を確保しながら、同時に利用可能なスペースを最適に活用できる。
車内はコンパクトSUVとは思えないほど、それぞれのシートにゆとりあるスペースが確保されている。
従来のスマートとは異なり、普段使いからファミリー層にも選ばれるクルマへと生まれ変わった。
■車輌スペックは高級SUV並み
現在発表されているグレードは全部で4つ
#1 Pro+ €42,490〜
#1 プレミアム €44,990〜
#1 ローンチエディション €46,290〜
#1 ブラバス €48,990〜
エントリーモデルのPro¥+は後輪駆動で272馬力を発揮し、0-100km/hは6.7秒、最大航続可能距離は420kmを実現する。
最上位モデルのブラバスは428馬力のツインターボエンジンを搭載し、0-100km/hは驚異の3.9秒を記録する。
長距離移動をする場合は、150kwの急速充電を利用すると10%から80%までの充電プロセスに30分もかからない。
装備も充実しており、アダプティブLEDヘッドライト、自動開閉テールゲート、パノラマルーフ、64色のアンビエントライト、自動パーキングアシスト、360°カメラ、Beatsサウンドシステム、アダプティブクルーズコントロールなどなど。
コンパクトSUVにしては充実すぎるほどの装備となっている。
■まとめ:2023年もっともアツい電気自動車のひとつ
スマート#1のインテリアは非常に高級感があり、12.8インチのタッチスクリーンディスプレイに加えて、9.2インチのコップピットディスプレイがスマートな印象を与える。スマートだけに。
いずれにせよ、初回生産分は販売開始からわずか数時間で完売となった新型スマート。
ドイツではまだ街中で見かけることはないが、おそらく2023年もっとも注目された電気自動車となるだろう。
今後どこまで販売台数を伸ばすのか。
スマート#1はスマート史上もっとも売れたベストセラーとなるだろう。
[撮影・ライター/高岡ケン]