ドイツ現地レポ 更新 2016.02.19 公開 2016.02.19

“6.3”を想起させる、Hナンバーのメルセデス・ベンツ300SEL3.5

“W109”とくれば、日本では、メルセデス・ベンツ300SEL6.3を思い浮かべる方が多いかもしれません。“メルセデス・ベンツ300SEL6.3(以下6.3)”は、五木寛之氏の小説にもしばしば登場しますね。私も、“6.3”の存在を知ったのは、五木寛之氏の作品でした。その当時はインターネットもなく、“6.3”とはどのようなクルマなのだろう…と、自動車関連誌を読みあさりました。

そして、ついに“6.3”の記事を見つけたとき「あまりの素っ気なさ」にいささか面食らいました。「なんだ。全然フツーのクルマじゃん」正直そう思いました。まだ高校生。当時現役のメルセデスは「外装はブルーブラック。内装はブラックレザーがお約束」のような時代でしたから、“6.3”はずいぶん線の細い、あっさりしたクルマにか思えなかったのです。むしろ、同じ雑誌で見つけた600プルマン(W100)に惹かれました。周りの同級生は、運転免許を取ったら、いつかR32GT-Rや、いわゆる70スープラを買うぞなんて話していた時代です。いま振り返ると、ずいぶんとませた高校生です。

その後、大人になり、そのさりげない佇まいの“6.3”に改めてベタ惚れしました。しかし、“6.3”はすでにまったく手の届かない存在になっていました。こういったクルマは、自宅にしっかりとしたガレージがあり、点検整備に糸目を付けない方のところに嫁いだ方が幸せになれるはずので、はっきりいって私では役不足です(…と自分にいい聞かせています)。

“6.3”を想起させる、Hナンバーのメルセデス・ベンツ300SEL3.5

そんな“6.3”への想いを再認識させてくれる画像がドイツより届きました。Hナンバーを取得しているメルセデス・ベンツ300SEL3.5(以下、3.5)。一瞬、あの“6.3”か!?と、思わず画像を二度見してしまったのはいうまでもありません。この“3.5”は、日本にも正規輸入されていました。ヤナセ(ウェスタン自動車)が販売していたのです。V8 3.5Lエンジンは、0〜100km/hを9秒で掛け抜けたそうです。さらにエアサスペンション仕様の足回りは、当時のオーナー氏にはどう映ったのでしょうか?

先日、カタログを観る機会に恵まれたのですが「スリーポインテッド・スターをつけたニューモデルは、純粋な技術的改善が達成された時にのみ市場に送り出されます」、「多年に亘って生命のある型状のみが正しい型状です。それは、メルセデス・ベンツが続く限りー長い年月続くのです」(いずれも原文のまま)という記述があります。まさにメルセデスの自信がみなぎっている表現ともいえそうです。当時、オーナーとなった方は、このコピーを読んで、密かに喜びをかみしめたことでしょう。

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「最善か無か」の考えのもとに造られたこの年代のメルセデスは、現代の技術でレストアを施せば、限りなく当時の雰囲気が味わえるほどに甦ってくれるはず。もちろん、相応の対価を支払うことになりますが、後の世に引き継ぐ役割を任ぜられ、その「一時預かり金」を支払っている。そんな価値のある1台だと思えてなりません。

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