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ドイツ現地レポ

更新2020.11.13

いきなり路上デビュー!日本とは異なるドイツの教習所事情とは?

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守屋 健

みなさんこんにちは!筆者の住むドイツの首都ベルリンでは、11月末まで緊急ロックダウンが実施されていますが、街中を行き交う人々の数はそれほど減っていません。その理由のひとつとしては、今回のロックダウンでは学校は閉鎖されず、通常通りの授業が行われているからです。

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一般的な学校とは少し違いますが、自動車の教習所もコロナ対策を実施しつつ通常通り開講しています。ドイツの自動車教習所は日本とは違い、街中でそこかしこに存在し、その数はベルリンだけでもなんと300以上!今回は、そんなドイツと日本の教習所事情の違いについてじっくり紹介していきたいと思います。

■ドイツは仮免試験なしで、いきなり路上教習!


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日本で取得した自動車免許は、ドイツの免許センターで現地の免許に書き換えることが可能ですが、教習所の教え方や進め方には共通点は多いのでしょうか?1年ほど前にドイツで免許を取得した知人に話を伺ったところ、教える内容はともかく、授業の進め方については大きく異なる点ばかりで驚きました。

まずは教習所のスタイルです。日本では一般的に教習所内のコースで基本的な運転技術を習得し、仮免許試験に合格して初めて路上教習が始まりますが、ドイツではそもそも「教習所内のコース」というものが存在しません。運転講習の初日から、いきなり路上教習が始まります!

これについては筆者も本当に驚きましたが、現地の人々にとっても相当なプレッシャーを感じるらしく、日本での「教習所内のコースでまずは練習」という実態を話すと「それはいいアイディアですね……」と苦笑していました。

教習所の多くは街中のビルの一階に位置しており、通りに面した場所に受付と事務所、奥に20人ほどが講義を受ける部屋があるだけ、と非常にシンプルな作りになっています。

学科講習と技能講習を並行して進める、早い段階で応急救護講習を受けておく、という点は日本とほぼ同じです。ただし、日本では入学時に運転教本一式がまとめて渡されますが、ドイツでは教科書等は一切渡されず、学科に関するテキストは教習所のウェブサイトを参照するか、必要であれば自分でプリントアウトして勉強するのだそう。学科の講習を受ける際、真面目な人は講義の該当部分のプリントを自分で用意したりノートを取ったりするのですが、適当な人は手ぶらで講義を受けて、受講のサインだけもらって帰るのだとか。

学科講習は約20のテーマに分かれていて、1回の講義は90分。技能講習は1回45分前後が一般的で、特別講習として「アウトバーン講習」「夜間講習」、そして「郊外運転講習」を数時間ずつ受けなければいけません。ドイツでは都市と都市の間の一般道の制限速度は100km/h。都市に入れば一気に50〜30km/hまで減速しなければいけないので、そうした走り方を学ぶ「郊外運転講習」がカリキュラムに組み込まれているんですね。

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■ドイツでは教官の私物のクルマが教習車?


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日本とまったく異なるのが、教習に使うクルマ事情です。大手の教習所は日本と同じく、教習所それぞれのペイントが施された専用車を使用します。しかし、それほど大きくはない教習所だと、教官の私物のクルマ(助手席にブレーキ追加等の改造済み)か、教習所から教官に支給されたクルマ(特にペイント等は施されず、見た目にはほとんど普通のクルマと変わらない)が使用されています。例えば、技能講習で「教え方が合わない」などの理由で教官を変えると、それに伴って教習車も変わるという場合もあるんですね。

学科講習が修了し、技能講習も終えると、あっという間に教習所の卒業時期です。教習所の事務所にて、コンピュータを使用した学科修了試験に合格すると、本番の学科・技能試験に受けられるという内容の証明書を得て、教習所の修了となります。

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教習所修了〜本番の学科・技能試験の流れは学校によってかなり異なるようですが、知人が実際に受けた方法を紹介しましょう。学科と技能の試験を行うのは、日本でいうところの警察や免許センターではなく、ドイツの認証機関であるDEKRA(デクラ)かTÜV(テュフ)です。学科の試験会場は、どちらかの機関の施設内で行います。

学科の試験は現在iPadのようなタブレット端末が用いられ、複数の選択肢から正解を選ぶ、という形式で行われています。問題によっては、動画が使用される場合もあるそうです。試験は30問で制限時間は40分とされているものの、ほとんどの人が時間内に解いて席を立ってしまうのだとか。隣の部屋に行くとその場で合格・不合格が言い渡され、不合格の場合は再試験まで2週間日にちをあけないと受けられない決まりになっています。ベルリンの場合、学科の試験はドイツ語のほか、英語、イタリア語、クロアチア語、ルーマニア語、ロシア語、フランス語、ギリシャ語、ポーランド語、ポルトガル語、スペイン語、トルコ語、およびアラビア語でも受けられるようになっています。

技能試験のやり方も独特です。まずは自分と、自分の通っていた教習所の教官と、DEKRAまたはTÜVの試験官の3者間で試験の日程を決めます。試験の当日は、教官のクルマに乗って、講師と自分のふたりで試験官の事務所の前まで行き、試験官ふたりが後部座席に座って「では試験を始めます」となるそうです。試験官の指示通りクルマを走らせ、隣に座る講師が一度もブレーキを踏まず、各種禁止事項に抵触しなければ晴れて合格となります。知人の話では、合格率は決して高くなく、2回、3回と技能試験を受け直す人も珍しくないとのこと。たしかに、後部座席に試験官ふたり座らせての試験は、かなり緊張しそうですね。

■ドイツ人がマニュアル免許を取る理由は「アウトバーンで退屈しないから」


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ドイツでは正しい運転姿勢で運転している人が一般的ですが、それは教習所できちんと習うのかを聞いてみたところ「特に厳しく言われたりはしないですね」とのこと。郊外の一般道やアウトバーンでの速度が速いので自然とそうしているのでは?という回答でした。

もうひとつ気になっていたのが「今でもマニュアル免許を取る方が主流なのか?」ということなのですが、これについては「マニュアルが主流ですね。私の友人も、マニュアルの方がアウトバーンで退屈な気分にならずに楽しく運転できると言っています」との返答が。ドイツでマニュアル車が主流なのは、結局「運転していて楽しいから」というシンプルな理由からなのかもしれませんね。

教習にかかる費用は日本とあまり変わらず、1800€から3000€くらい(約22〜37万円)かかってしまうのが通常のようです。飲み込みの早い人はもっと安く、進みの遅い人は逆にもっと費用がかかってしまう場合もあるとのこと。

ここまでドイツの教習所事情について紹介してきましたが、いかがでしたか?筆者としては、ペーパーレスでの講習・試験が進んでいることと、「いきなり路上教習」ということの2点についてはかなり衝撃でした。とはいえ日本もドイツも、しっかり勉強と練習をしなければ免許を取得できない点については共通しています。せっかく苦労して取った免許です。いつまでも大事にして、安全運転を続けていきたいですね!

[ライター/守屋健]

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