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オーナーインタビュー

更新2022.10.09

日本に「ドラッグレース専用コースを作る」べく奮闘する2003年式BOSS HOSSオーナー、増井淑博さん(72才)

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松村 透

趣味が高じて、あるいは好きが高じて・・・という表現を目にすることがありますが、今回、取材させていただいた増井 淑博さん(ますい・よしひろさん)ほどのほとばしる情熱、圧倒的な行動力を持つ方はなかなかいらっしゃらないかもしれません。


増井さんの情熱の源である「日本にドラッグレース専用コースを作る」。そして今年で29回目となるアメ車のイベント「スーパーアメリカンフェスティバル」、そして今年の春に手に入れたばかりの愛車「BOSS HOSS」についてもお話を伺いました。


── オーナー紹介&どんな仕事をされているのですか?



以前は音楽のプロデュースを行っていました。現在は無職・・・になるのでしょうか(笑)。


およそ30年間、アメ車のイベントの企画・運営を行っています。いまは10月23日にお台場で開催される「スーパーアメリカンフェスティバル(以下、アメフェス)」の準備に追われています。


クルマや音楽いずれも、たまたま趣味の延長線上だったものが仕事になった気がします。そういう意味では運が良かったのかもしれません。


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── アメフェスを立ち上げたきっかけを聞かせてください



「当時、自分がプロデュースしていたアーティストにライブをさせる場を作りたかった」ことと「アメリカで観たドラッグレースイベントが強烈だったこと」ですね。


── アメリカでの強烈な原体験がアメフェス開催のきっかけなんですね



1990年に雑誌「A Cars」の取材で生のドラッグレースを観たんです。駐車場でライブが開催されて、いろんな出店があって、あちこちでレース車両を見せびらかして・・・。まるでオモチャ箱をひっくり返したみたいでしたね。


このとき、私は41才。「これを日本でも開催したい!」と思ったんです。


そこから7ヶ月後くらいには、富士スピードウェイで第1回目となる「スーパーアメリカンフェスティバル」を開催することができました。


・・・といってもそんな簡単な話ではなく、まずはドラッグレースをJAF公認にしてもらう必要があり・・・。それも20人。仲間たちに協力してもらい、みんなでB級ライセンスを取得し、JAFに加盟クラブの申請を行ってどうにか公認を取ることができました。さらに私自身も、当時の全財産をかき集めて大金を前払いで支払いました。これでもう、後には引けなくなったんです。


当時、所ジョージさんが民放でクルマの番組をオンエアしていて、そこでも告知してくださったおかげで、多くのお客様にご来場いただきました。嬉しかったのは、アメ車にそれほど興味がない人たちも会場に足を運んでくれたことですね。


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── 日本にもドラッグレース場を作ることが増井さんの夢だとか



そうです。いま、私は72才なんですが、あと3年、75才までは頑張って何とか日本にドラッグレース専用のコースを作りたい!その一心で頑張っています。


かなり前から飛行場やドラッグレースに適していそうな場所を見つけ、これまで150を超える団体や自治体などに話を持ちかけています。実際にはなかなか厳しいところもあるのですが、何とか実現させたいです。


── アメフェスはこれまで1度も雨で中止になったことがないそうですね



今年で29回目になりますが、1度も雨で中止になったことがありません。それでも富士スピードウェイに2度ほど、イベント当日に台風が接近してくるかもしれない・・・ということがありました。でも、奇跡的に台風が逸れたんですよ。それも2回とも。


富士スピードウェイで開催していたときはサーキットの関係者の方も驚いていました。これほど雨で中止にならなかったイベントは他にはないって。何しろ、開催するのに3000万円も掛かるんです。イベント当日に雨が降ったら一巻の終わりです。冗談抜きに夜逃げするしかなかったほどです(笑)。


実は私、お墓参りを欠かさないんです。墓前で【俺がやるイベントで雨降らしたら2度と墓参りはいかねぇぞ】ってご先祖様をおどしちゃったから、そのおかげもあるんじゃないかなぁ(笑)。本当すごい守護霊がついてるんだと思いますよ。ご先祖様には本当に感謝ですね。


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── 増井さんにとってドラッグレースの魅力とは?



「度胸と速いクルマがあれば、だれでもレースに参加でき、さらに勝てる可能性があること」ですね。


アクセル全開でまっすぐ走って、ブレーキを踏む能力さえあれば優勝できる可能性があるから、底辺が広いレースになるわけです。テクニックよりも度胸です。クルマを所有している人のなかで「自分のクルマで思いっ切りアクセルを踏んで、フル加速を味わってみたい」という方っていらっしゃるはずですよね。でも、公道でそんなことをしたら危ないし、捕まってしまいますから。


当時、アメフェスの会場を富士スピードウェイに選んだのは、このコースのストレートでドラッグレースができるから、なんです。これこそが、アメフェスがスポンサーなしでも実現できたいちばんの理由だと思っています。そこに賭けてみたんです。


── 現在の愛車であるBOSS HOSSを手に入れるきっかけは?



本来であればフォードのTパケットをアメリカで購入して日本に持ち込むつもりだったんです。でも、アメリカのインフレによって価格が倍になりました。


それならば、400万円以下の予算で「安くて目立つアメ車って何だろう?」と考えたとき、思い浮かんだのがBOSS HOSSだったんですね。


そうした、シボレー製のZZ502という排気量8.2L(!)のエンジンを積んだ売りモノが国内で見つかったんです。


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── 日本国内の流通数も限られていると思いますが、どうやって見つけたのですか?



友人たちに「安いBOSS HOSSない?」と相談したら、いちばん仲の良い友人が日本国内で売りに出ているBOSS HOSSを見つけてくれたんです。


前オーナーさんは、350(5.7L)エンジンの仕様とこの個体、2台のBOSS HOSSを所有していて、そのうちの1台を譲ってもらったんです。


とにかく予算内でインパクトのある乗り物が欲しかったんですね。その条件に合致したのがBOSS HOSSでした。トライクであり「軽自動車と同じ扱い」なので。


── 増井さん、目立ちたがり屋さんですか??



目立ちたがり屋だと思いますよ(笑)。


安価で目立ちたがり屋の気持ちを満足させてくれるクルマがフォードのTバケットだったんです。初めてドラッグレースを観た会場で売られていたTバケットを買ったのが最初でしたね。カリフォルニアにあるTバケットのクラブの会長さんが所有するTバケットで、完成したばかりだったみたいです。


予選を合わせると3日間、会長さんが出展していたブースに通い詰めて、「お願いだから譲ってほしい」と拝み倒しているうちに相手も根負けしたみたいで「売ってやってもいい」と。たしか当時、1万ドルちょっとの価格でした。


それを日本に持ち込んで予備検を経てナンバーを取得するまで、全部自分でやったわけです。


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── インターネットが普及する前からご自身でクルマを輸入していたのですか?



そうです。プロに頼めば楽だけれど、その分お金が掛かります。それが嫌なら自分でやるしかないわけです。90年代前半はまだインターネットが普及する以前だから、自分で調べまくりましたよ。


いまならeBayで気に入ったクルマがあれば購入して日本に持ち込めるけれど、当時は「オートトレーダー」という雑誌に載っている個人売買のコーナーを見てクルマを買ったこともありましたね。


モノクロページで画像が数点載っているだけ。10回くらい輸入して、3回くらい失敗したかな。コンテナの扉を開けた瞬間「オイオイ、どこが"スーパーエクセレント"なんだよ」ってこともありましたね。


それだけに、インターネットが普及して、本当に楽になりましたよね。


── アメ車に興味をもったのはいつ頃ですか?



50年くらい前ですね。でも当時はそれほどアメ車が好きというわけではなかったんです。20代の頃、フォード ムスタング2に乗ったのが最初でした。それ以前はホンダのS600クーペに乗っていました。


大学時代からバンド活動をしていて、当時は羽振りが良かったですね。S600クーペやミニで大学乗りつけたりして(笑)。本格的にアメ車に乗るようになったのは40年近く前からだと思います。これまで70台以上乗り継いできましたよ。


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── 歴代の愛車のなかで印象に残っているアメ車はなんですか?



「ナッシュ メトロポリタン」かな。


私が所有していたナッシュ メトロポリタンは、クリームと赤のツートンカラーでした。当時のアメ車をそのまま小さくしたような可愛いクルマでした。


イギリスで生産されたクルマだからなのか、当時の日本車の部品が流用できたんですよね。エンジン関係はダットサン、温度センサーはマツダ製のものが使えたり。


苦労もしましたね。オプションの扇風機(ナッシュのロゴ付き)がついていても、夏場なんて暑い車内の熱気をただ循環させてるだけ(笑)。窓を開けても涼しくもなんともないんですよ。


── BOSS HOSSを手に入れて良かった点、苦労している点を教えてください



●よかった点


とにかく目立ちます(笑)。


あと、トライクなのでヘルメットを被る必要がないことですね。それから、維持費が安い点も魅力です。ユーザー車検を通せば1万6千円くらいで済みますし、自動車税も7千円。高速代も軽自動車と同じ料金です。


●苦労している点


乗っていて暑い!エンジンが近くにある足首のあたりが火傷しそうになりましたから。そういえば、今年の猛暑のなか、BOSS HOSSを運転して熱射病でダウンしました。とにかく夏場は地獄です


今年の春に購入したばかりなので、冬場はどうなのか・・・いまから楽しみですね。


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── 8.2Lエンジンとのことですが、ズバリ燃費はどれくらいですか?



あんまり気にしてないからきちんとは測っていませんが、だいたい3~4km/Lです。


ガソリンタンクはメインが30L、サブタンクが約20Lです。それぞれのタンクに給油する構造です。ただ、タンク自体は連動していて、切り替えるときは足元の切り替えスイッチを使います。でも、サブタンクは極力使わないようにしていますね。


── 予算抜きで増井さんが興味があるクルマを教えてください



やっぱりフォード Tバケットですね。安くなったらまた買いたいです。


Tバケットでいいんですよ、またTバケットが安くなったら買いますよ。


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── 増井さんにとって究極の1台とは?



2台あります。


1台目は1941年ウィリス クーペ。アメリカでドラッグレースを観たとき、博物館に飾ってあったのがこのクルマでした。


2台目が1963年シボレー コルベットです。この年式だけスプリットウィンドウなんですね。ただ、ものすごく高くなってしまったので、ちょっと手が出ません。


── 増井さんにとって、BOSS HOSSはどんな存在ですか?



(考えて)・・・相棒なんですかね、相棒でしょ。


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── 最後にアメフェスについてメッセージを



20代のアメ車乗りを増やしたいと思っています。若い世代の方にアメ車の魅力を伝えたいし、もっともっと多くの方に知ってもらいたいです。


アメ車って壊れるイメージがあるけれど、それはきちんとメンテナンスしていないからなんですね。


「手が掛かるほど可愛い」ところも含めて、ご自身でクルマを所有してみないと分からない世界があること、機械として、クルマとしてきちんとメンテナンスしていれば壊れるモノじゃないことを、アメフェスのイベントを通じて伝えていきたいです。


そして・・・アメ車のファンを増やしつつ、ドラッグレース専用コース実現に向けて引き続き活動を続けます!


── 取材後記



失礼ながら72才という年齢をまったく感じさせないエネルギッシュな増井さん。


真っ白なTシャツがお似合いで、BOSS HOSSに貼られた高齢者マークが逆に違和感を覚えるほど若々しいほどです。


アメフェスを通じてアメ車の魅力を若い世代の方に伝えたい、そしてドラッグレースのコースを日本国内に作るという情熱が少なからず影響しているのでしょうか・・・。



サポートしてくれるメンバーはいるものの、アメフェスの運営は実質的に増井さんお一人。


イベントの企画から協賛企業や媒体などへの声掛け、参加者全員に向けた書類作成、発送・・・やることは山のようにあります。


10月23日はぜひ会場である、秋晴れの「お台場ウルトラパーク(ダイバーシティ東京とBMWの間)」へ!


究極の晴れ男である増井さん主催だけに、天気の心配はいりません。


自他ともに認めるアメ車好きはもちろん、ちょっと興味があるんだよね・・・という方にこそ、足を運んでいただきたいイベントです。


外車王SOKENでも取材に行きますよ!


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── オーナープロフィール



お名前:増井 淑博さん
ご年齢:72才
ご職業:無職
現在の愛車(年式およびグレード):2003年式BOSS HOSS


── 第29回スーパーアメリカンフェスティバル イベント情報


●SUPER AMERICAN FESTIVAL Vol.29
・日時:10月23日(日)
・会場;お台場ダイバーシティ前ウルトラパーク
・開場:9:00~16:00
・前売り1000円/当日1500円(前売りが圧倒的にお得!)※小学生以下無料
・チケット購入方法
http://plaza.rakuten.co.jp/fujisaf/5000/


*下記のアドレスで10枚以上の購入の場合は10%割引き
uchinonekowadebu0215@yahoo.co.jp


・カーショーエントリー(当日エントリーも可能)
http://plaza.rakuten.co.jp/fujisaf/3000/
・スワップミート・ディーラーブース・ピンストライパーブース
http://plaza.rakuten.co.jp/fujisaf/4000/


・問合せ:スーパーアメリカンフェスティバル事務局
・FAX:048-465-6275
・メール:uchinonekowadebu0215@yahoo.co.jp
・HP:http://amefes-since1992.net/




[ライター・撮影/松村透]

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