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コラム

更新2020.02.08

旧車のレストアについて考える[part4:ラジエター編]

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ユダ会長

part3からレストアについてよりリアルに書きはじめたのだが、前回のブレーキに引き続き、今回は水回りについてまとめてみることにする。エンジンを冷却する重要な部分であり(水冷の場合)、旧車を購入した際は必ずチェックしておきたい部分でもある。

ユダ会長 HCC95

水回りのレストアは必要なのか?


良心的なショップでレストアされた個体を購入するのであれば、水回りのたいていの箇所はオーバーホールされていると思われる。しかし、現在は良心的なショップ自体が確実に減ってきているように思う(そのあたりについては、またの機会に詳しく書く予定)。これまでの経験を振り返ってみると、水回りに関していい加減なショップが特に多い印象だ。そんな事情もあり、旧車に関して言えば、ラジエター液を交換しただけで果たして大丈夫なのであろうか?と思ってしまう。

著者の場合、長く放置されていたMGBの水回りのレストアに着手したとたん、次から次へと問題点が出てきた。最終的に、これがひとつの原因でエンジンのオーバーホールまで行うことになってしまったのだから、安易に考えられる部分ではないのである。

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エンジン冷却に必要なレストアパーツは?


これは、あくまで水冷エンジンを例に挙げた説明である。

我が家のガレージに収まる乗り物たちを考えてみたら、水冷エンジンはMGBしかなかった(笑)。MGB以外では、フィアット 500、1992年製のハーレーダビッドソン、1980年製のベスパといったラインナップだ。MGB以外はすべて空冷エンジンなので、この点にだけ関しては問題ないといえる。

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話がそれてしまったが、水冷エンジンに関する水回りで、できれば交換やオーバーホールした方がよい事例を下記に挙げてみた。

1.ウォーターポンプの交換
2.サーモスタットおよびシールの交換
3.ホース類およびジョイント部分やクランプの交換
4.ヒーターコックの交換
5.ラジエター内の洗浄
※実際はヒーターのラジエターやエンジン内のウォーターラインなど、後々トラブルになる部分もたくさんあるのだが、今回は割愛する

水回りのオーバーホールを行う


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水回りのオーバーホールを行う際、最初に着手したのは、サーモスタットとウォーターポンプの交換だった。しかし、当時はこのような連載を行うと予想していなかったこともあり、この箇所の撮影を行っておらず、割愛しなければならない。

余談ではあるが、以前、ロータス ヨーロッパのウォーターポンプの交換を行ったことがある。エンジンを降ろしてヘッドも外し、さらにタイミングベルトなどを外さないとウォーターポンプの交換ができなかった(対策品で外付けもでているものもあるようだ)。この部分にかんしていえば、車種によっては厄介なケースもあるので事前に調べておくことをおすすめする。

まず行いたいのはホース類の交換だ。外からの見た目だけで劣化が判断できない場合もある。交換されていない(と思われる)場合は、できれば手を付けておきたい箇所だといえる。筆者の場合、ホース類は海外から購入。クランプはホームセンターでステンレスのものを購入した。

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実際に交換前の状態を見てみると、見た目の劣化こそ分からないものの、経年劣化によって状態が非常に悪く、クランプのサビもかなり進行していた。まさに「交換するべき状態」と言ってよいであろう。

こういったパーツは消耗品として考え、交換するほうが無難である。走行中などに液漏れ等がはじまると応急処置できない場合もありえるため、「安心を買う」と思えば安い出費だといえる。

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ホース類はヒーターを含めて$50くらいクランプは金額を忘れてしまったが1000円はしていないはず。

また、今回オーダーしたホースを見てみると、オリジナルのホースではスチール製のジョイント部分が、対策品としてホースとの一部分としてゴム製となり一体化していた。

これは実際に外してみて分かったことだが、サビが原因で状態が悪すぎた。

おそらくどの車両も同じ状態であろう。この状態ではジョイント部分が原因でラジエター液が漏れることは十分に考えられる。

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またホースを外してみると、信じられないことにスプリングのような鉄くずが引っかかっていた。このような状態でまともに水が流れると思えない。外して正解…というよりもかなり危険な状態であった。

これまでいろいろな旧車を見てきたが、実際に外したり、バラしたりしてみると常識では考えられない状態に遭遇することがある。何十年もの時間のあいだに一体何があったのか不明であるが、やはり交換して正解であった。

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次に英国の旧車の場合、よく聞く話であるがヒーターコックは消耗品と考えるべきである。

この平開の弁から液漏れを起こすことは自分でも経験があるし、他の方たちからもよく聞く話だ。

MGBはヒーターがまったく効いておらず、その原因の追求を後回しにしようと思っていたのだが、ここを外してみたら一目瞭然だった。なんと完全にラインの穴が塞がれていたのだ!これではヒーターが効くはずもない。

何が原因でこのような状態になったかは不明だが、ラジエターの漏れ止めなどを入れてこうなった可能性も否めない。

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液漏れ以前の問題であるので、この部分も新品へと交換した。

ちなみにパーツ代は$20程度だ。

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ラジエター内の洗浄に関していうといろいろなケミカルが販売されている。しかし実際のところ、どこまでの効果があるのかいまひとつ分からない。ちなみに今回は、昔から行われている「サンポールを水で希釈して流し込み、半日ほど置いてから水で洗浄する」というアナログな手段を実施した。本当かどうかは別として、この方法は「ラジエターに穴が開く」などと言う人もいるので、あまりオススメはできないが、かなり良い状態となった。

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オーバーホール後の結果


このMGBはコア増ししてあるためオリジナルと比較はできないのだが、6年ほど乗って真夏の渋滞時でも一度もオーバーヒートを起こさなかった。水温が90度を超えることがなく、かなり優秀な方ではないかと思う。

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コツコツ自分でレストアしながら、そのクルマの歴史を自分なりのものへと変えていくのもあり


今回はラジエターを例にとって挙げてみたが、旧車は長い期間のあいだに経年劣化はもちろんのこと、色々と手が入って維持されてきているはずだ。車両を手に入れても、過去にどのようなメンテナンスが行われてきたのかは部品を分解しないと推測できないものも多い。ひとつずつ自分でレストアしながら、そのクルマの歴史を自分なりのものへと変えていくことも、長く維持するには大切なレストアだと著者は考えている。

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旧車のレストアについて考える:過去記事一覧


https://current-life.com/column/yuda-restore-columm-part3/

https://current-life.com/column/yuda-restore-columm-part2/

https://current-life.com/column/yuda-restore-columm-part1/

[ライター・撮影/ユダ会長]

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