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コラム

更新2019.09.28

なぜ、旧いクルマのデザインは秀逸なのか?[part2:テールデザイン編]

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ユダ会長

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シリーズ2回目となる「旧い車のデザインは秀逸なのか?」

今回は、各国で分かれるデザインの特徴を挙げてみることにした。現代のクルマに引き継がれているものもあれば、その逆もあると思うのだが、50年代から60年代の特徴あるテールデザインを参照しながら、その美学を考えていきたい。

魅惑のテールデザイン


ユダ会長 HCC95

はじめに申しあげておくが、筆者は決して「お尻フェチ」ではない。しかし、クルマに限ってはかなりの「お尻フェチ」なのかもしれない。フロントマスクのデザインはもちろんのこと、リアビューの美しいクルマには惚れ惚れしてしまう。

こと旧車に関しては現代では考えられないような「無駄の美学」とでもいうべきか、どのような発想から生まれたのかと思うような秀逸なデザインのクルマが多い。
※この「無駄」とは、自動車の構造上、空力などを含めて「エコ」など考慮せずにデザインされた著者が思う最大の賛美である

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やはり50年代のアメ車は最高!


ユダ会長 HCC95

大戦後の好景気もあり、贅沢極まりない作りの50年代のアメリカ車、特にフルサイズのリアデザインは秀逸だった。

そのなかでも特に有名なクルマを挙げるとしたら、キャデラック・エルドラドだろう。いわゆるテールフィンのデザインでは代表格といえる。流れるようなテールフィンに組み込まれたテールランプは、もはや芸術以外の何物でもない贅沢極まりない造りである。

マニアックなところでは1958年のマーキュリーのワゴン(シューティングブレーク?)だろうか。本国でもほとんど造られなかったようだが、リアドアから「エグるように」テールへと流れるデザインは、驚愕を超えてもはや嫉妬のレベルだ。なぜ、少数生産のクルマにこのようなデザインが生まれたのか、謎としかいえない領域である。

これは余談だが、運転してさらに驚愕したのは、ATのレバーのボタンを押してDレンジやRレンジに入れることであった。

優雅なデザインの「おフランスの旧車」


ユダ会長 HCC95

こちらもお国柄が非常に反映しているのだろうか。

クルマの構造上、無駄がないように思えて実は複雑な構造だったり、「宇宙船レベル」な常人の常識をはるか先までぶっ飛ばしてしまうほど強烈でインパクトがあるデザインがフランスの旧車の特徴ではないだろうか?

有名なところでは、やはりシトロエンDSであるが、このクルマもワゴンがあるのをご存知だろうか?

たまたま大黒PAで見かけた、アメ車とはまったく異なるテールへと流れるようなライン。そして屋根やナンバーなどの見せ方など、どこをとっても近未来的で、SF映画に出てきてもおかしくない。

さらにこのクルマは、普段の仕事の道具を載せた実用車だったのに驚かされた。

他にも著者が特に好きな「パナール」などは逆に無駄がなく、アルミボディーと思えないスッキリとしたデザインで、まさに「優雅」そのものである。

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丸みを帯びたデザインでロングノーズの逆バージョン?

このクルマに関しては、あらゆる部分のデザインが秀逸なのである。

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美を追求したイタリアンデザイン


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クルマのデザインの美しさでいえば、イタリアに勝るものはないのかもしれない。

これほど数々の有名なデザイン工房を持つ国は他には、あまりないと思う。そして、イタリア車のリアデザインはボディーの造形美につきる。

テールランプにいたるまでのデザインこそシンプルなものが多いが、それがクーペやセダンを問わず、Cピラーからトランクまでのデザインを注目すると、他国のクルマではありえないほどの美しいラインなのである。

まさに「お尻フェチ」にはたまらないデザインとでもいおうか。

アルファロメオGTAを例にとっても、派手さはないが、パーフェクトというしか言葉が見当たらないほど美しく、そして流れるようなデザインだ。もし見る機会があれば、じっくりと舐めるように眺めてほしい。

トランクの広さなんまったく考えてないのかもしれない。

それでも「デザインは美しい」に限るのがイタリアなのである。

オープンベースのクーペが美しい英国車


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これは完全に著者の独断であるが、オープンカーベースのクルマをクーペに仕立てたモデルが大好きなのである。

トライアンフのスピットファイアがベースのGT6、MGBのGT、そしてやっぱり一番好きなのは「ジャガーE-Type」だ。このクーペのデザインは、英国車のなかでも最高に素晴らしいデザインだと思う。ロングノーズでクーペにするには難しいはずだが、ここまで綺麗にまとまっているのは「エンツォ・フェラーリが嫉妬した」とまでいわれるのも納得である。

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質実剛健だけでは語れないドイツ車


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ドイツ車といえば質実剛健でカッチリしたイメージが先行する。

これは旧車に関しても間違いなく言えることかもしれない。

しかし、ことデザインでいえば、ポルシェ博士の時代から独特の感性をクルマに反映している。
ポルシェにしろ、フォルクスワーゲンワーゲン ビートルにせよ、独特のデザイン文化を現在にいたるまで色濃く継承しているのはドイツ車かもしれない。

古い話になるが、BMWを「ベームベー」といっていた時代のマルニ(BMW2002)などのテールはいまだに好きだ。最近のBMWはフロントグリルの大きさに緘して賛否両論だが、テールもマルニ(BMW2002)をモチーフにしてくれることを願っている。

現代のクルマに欲しいリアビューとは?


ユダ会長 HCC95

各国の旧車のリアビューの特徴を挙げてみたが、現代のクルマにはこの流れが受け継がれていないように思えてならない。

「エコ」や「自動運転」などが主流となりつつある現代のクルマ事情。1台のクルマを造るにあたって排出する二酸化炭素なども管理され、さまざまな厳しい要件もあると思うが、この流れが少し落ち着いたら、多少の無駄があっても素晴らしいデザインの方向へとシフトしていくのではないのだろうか?…と密かに期待はしているが、あまりにも時代の流れが早すぎて、そう簡単ではないのだろうか…。

とはいえ、「もっと美しく優雅にデザインされたクルマに乗りたい」と思うのは。ユーザー視点から考えると当然の願望であることに異論の余地はないだろう。

[ライター・撮影/ユダ会長]

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