更新2022.09.30
ボルボの自動運転は安全なのか。搭載車種から機能まで解説
外車王SOKEN編集部
ボルボの自動運転は安全なのでしょうか。旧来からクルマの性能と言われるものには馬力や最高速度などがあり、地球温暖化が叫ばれる昨今では環境性能も重要な性能のひとつと言えます。近年では自動運転技術も新たな性能のひとつとして認知されつつありますが、その進化を牽引するリーディングカンパニーと言えるのが今回紹介するボルボです。こちらでは、ボルボの自動運転に関する今後の開発スケジュールや現在販売されているモデルの自動運転性能などについて解説します。
ボルボの自動運転機能の状況
すでに高機能な運転支援機能を搭載しているボルボですが、2020年に自動運転レベル4を搭載したモデルが発売される見込みです。
ボルボの自動運転の歴史は古く、2008年に今も採用の続く「City Safety(衝突回避・被害軽減ブレーキシステム)」を全車に搭載したのが始まりです。
現在のボルボのラインナップには、設定された速度で走行する「ACC(全車速追従機能)」と車線維持を手助けする「パイロット・アシスト」 を組み合わせた「自動運転レベル2」相当の運転支援機能が搭載されています。しかし「レベル2」はあくまでも運転を補助してくれる機能なので、完全自動運転と言えるのは「レベル3」からです。
ただし「レベル3」は条件付自動運転とされており、クルマからの要求に応じて、適時ドライバーが運転に介入する必要があるので、利便性が高いとは言えません。
ボルボは、自動運転として完全とは言い難い「レベル3」をひとつ飛ばした「レベル4」の開発を進めており、2022年に販売が予定されている60・90シリーズ用の新型プラットフォームにて自動運転「レベル4」の搭載・実現を目指しています。
ボルボの自動運転機能が搭載された車種
ボルボは、全てのラインナップに自動運転機能を含めた安全運転支援装置を装備しています。しかし、販売時期やグレードによって機能の内容には多少の違いがあります。ここでは、モデルごとの機能の違いについて紹介します。
V60
V60は、90シリーズ譲りの自動運転機能を備えたミドルレンジモデルです。
V60には上位モデルである90シリーズと同じく17種類もの安全運転サポート機能を含む自動運転機能が搭載されています。その中でも自動運転レベル2相当の「運転支援機能」は車線からの逸脱を防ぐだけではなく、穏やかに自動修正するステアリング・アシストが働き、わずかなステアリング操作でもレーン中央を走行できるように支援してくれます。
また、自動運転中にウインカーを操作すると、追い越しを予測し車両を加速させてスムーズな追い越しを支援する「追い越しアシスト」機能も備えています。
XC40
XC40は上位モデルと同等スペックの自動運転機能を搭載しているエントリーモデルです。
XC40には上位モデルとほぼ同等の16種類の安全運転サポート機能を含む自動運転機能が搭載されています。17種類の機能が搭載されたV60との唯一の違いは「ステアリング・サポート(衝突回避支援機能)」です。
「ステアリング・サポート」は被害軽減ブレーキだけでは衝突を回避できないと判断された場合に、システムがステアリング操作に介入し障害物の回避を支援してくれる機能です。V40には「ステアリング・サポート」は搭載されていませんが、「レベル2」相当の自動運転機能は上位モデルと同性能のシステムが搭載されています。上述の機能は省かれていますが、エントリーモデルのXC40にもフラグシップモデルと同じ性能を持ったシステムが搭載されています。
ボルボの自動運転機能の種類
ボルボは17種類もの自動運転機能によって、安全で快適なドライブをドライバーに提供してくれます。しかし、たくさんある難解な自動運転機能の全てをカタログから読み取るのは大変だと思います。そこで、17種類の自動運転機能の中でも、主要な10種類について解説します。
City Safety
ボルボの自動運転の要となる機能が「City Safety」です。レーダーとカメラで他の車両や歩行者・自転車・大型動物との衝突の危険性を察知して、自動ブレーキや警告を作動させて衝突の回避や被害軽減をサポートします。
歩行者・サイクリスト・大型動物検知機
「歩行者・サイクリスト・大型動物検知機」は検知の難しい夜間の自転車や大型動物にも対応しています。
昼夜問わず前方に迫る歩行者や自転車を識別し、システムが衝突の危険があると判断した場合にドライバーへ警告します。それでも回避行動が取られなければ自動ブレーキを作動させます。また、大型動物検知機能は先述の歩行者などへの動作と同じく、鹿やイノシシといった大型動物を検知すると、警告を発したのち自動ブレーキが作動します。
インターセクション・サポート
交通事故が発生する可能性が最も高い交差点内での安全を支援してくれるのが「インターセクション・サポート」です。
交差点で自車が右折しようとしている場面において、対向車と衝突する危険性をシステムが察知すると、自動ブレーキが作動します。交差点内の事故では、回避行動を取るまでの時間的な余裕がないので、警告を発すると同時に最大の制動が行われます。
対向車対応機能
自車だけではなく他車に起因する事故も回避してくれるのが「対向車対応機能」です。
対向車が自車の走行車線に侵入してきて正面衝突の危険がある場面において、 衝突を回避できないとシステムが判断した場合、衝突による被害を軽減するために自動ブレーキが作動します。
自車が対向車線へ進入することを抑止する機能は他のメーカーにも搭載されていますが、自車線への対向車の進入に対応した機能を有しているのはボルボだけです。
ステアリング・サポート
自動でクルマの向きを変えることによって、障害物との接触回避を補助してくれるのが「ステアリング・サポート」です。
自動ブレーキだけでは障害物との衝突を回避できないとシステムが判断した場面において、システムが操舵を補って障害物との接触回避を補助する機能です。この機能はV60以上のモデルにのみ搭載されていて、残念ながらXC40などのエントリーモデルには搭載されていません。
オンカミング・レーン・ミティゲーション
自車がうっかり対向車線にハミ出した場合に、対向車との正面衝突を防いでくれるのが「オンカミング・レーン・ミティゲーション」です。
自車が対向車線へ進入し、対向車と正面衝突する危険があるとシステムが判断した場面において、元の走行車線への復帰を支援する機能です。ただし、この機能はハッキリと車線が確認できる道路を60km/hから140km/hで走行しているときにだけ使用できます。
LKA(レーン・キーピング・エイド)
不注意でセンターラインを越えそうになっている時に、自車線内に留まれるように支援してくれるのが「LKA(レーン・キーピング・エイド)」です。
無意識のうちに自車がセンターラインを越えて対向車線に進入しそうになると、センターラインを越えないようにシステムが操舵を支援してくれます。さらに、システムの支援を越えてセンターラインに接近したり、対向車線に進入した場合には、警告音やハンドルの振動でドライバーに注意喚起を行います。先述の「オンカミング・レーン・ミティゲーション」が作動する前の段階や、60km/h以下の速度で走行しているときにのみ作動します。
DAC(ドライバー・アラート・コントロール)
ドライバーの疲労具合を観察して適切なタイミングで休憩を促してくれるのが「DAC(ドライバー・アラート・コントロール)」です。
走行中、システムは左右車線と自車の位置関係、そしてドライバーのハンドル操作を常に解析しています。そして、疲労によるふらつき運転などをシステムが感知すると、警告音と共にメッセージを表示してドライバーに休憩を促してくれます。
ランオフロード・ミティゲーション(道路逸脱回避支援機能)
自車の道路外への逸脱をシステムの直接的な介入で阻止するのが「ランオフロード・ミティゲーション(道路逸脱回避支援機能)」です。
自車が65km/hから140km/hで走行中に、道路から路肩方向に逸脱するようなハンドル操作が行われた場合に、ハンドル操作の支援と必要に応じた自動ブレーキの作動によって道路からの逸脱を防止します。先述の「オンカミング・レーン・ミティゲーション」や「LKA(レーン・キーピング・エイド)」が対向車線方向への逸脱防止を「サポート(支援)」するのに対し、「ランオフロード・ミティゲーション」は「運転操作への介入」という直接的な作用で道路外への自車の逸脱を防止します。
アダプティブクルーズコントロール
ボルボの最も自動運転らしい機能と言えるのが「アダプティブクルーズコントロール」です。
高速道路や幹線道路などの加減速の少ない走行環境において最高速度を設定すると、その速度を上限として加速・巡航・減速を交通の流れに応じて自動的に行ってくれます。また、渋滞などで先行車がいる場合には、一定の車間距離を保ちつつ前車の加減速や停車に合わせて自動で走行します。この機能は、動作条件が限定的とはいえ、自動運転的な働きをしてくれるので長距離ドライブの疲労軽減に繋がります。
ボルボの自動運転は絶対に安全?
便利なボルボの自動運転技術ですが、現状の機能だけでは絶対に安全とは言えません。
ボルボの自動運転機能はシステム全体の信頼性が高く精度が優れており、他メーカーと比較すると安全運転機能のパイオニアとして長い歴史を持ちます。
このように、ボルボの自動運転技術は現在でも十分安全と言えるのですが、現状はドライバーの監視が必要な自動運転「レベル2」から脱しておらず、自律型の完全自動運転と言える「レベル4」の性能を獲得するのは、先述のとおり2022年を待たなければなりません。
つまり、現状では自動運転機能に頼り過ぎず、ドライバー自身が主体的に操作することを前提として運転に臨まなければ、かえって危険な状況に陥ってしまうでしょう。
ボルボに興味がわいたら試乗してみましょう
購入時期を迷っているのなら、一度試乗してから考えてみることをおすすめします。
クルマを選ぶ条件に日々進化する自動運転技術を加えると、購入のタイミングが難しいと感じるのではないでしょうか。ボルボの自動運転「レベル2」の性能は、円熟の極みと言えます。また、ボルボの自動運転機能は必要なタイミングでプログラムのアップデートが行われるので、いま「レベル2」が搭載されたボルボを購入しても、すぐに陳腐化することはありません。
2022年に販売が予定されている「レベル4」まで購入を待つべきか、現在販売されている「レベル2」で十分なのか、試乗を通して直接感じてみることが、自分とっての最適解を導き出す1番の近道と言えるでしょう。
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