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ドイツ現地レポ

更新2017.10.05

日本には正規輸入されなかった2代目フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント(B2型)。使い込まれた外観がむしろ美しい

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守屋 健

ドイツ人は、雨が降っていてもあまり傘を差しません。筆者の住むベルリンは季節によらず天気が変わりやすく、雨に濡れないためには折り畳み傘が必須なのですが、持ち歩いている人は少なめです。雨が降ってきても、建物の軒下で小降りになるのを待つか、早足で歩くか。長時間に渡って雨が降り続けることが少なく、空気も乾燥しているため、「少し濡れてもすぐに乾く」という考え方なのでしょうか。

そんなことを思いながら、突然の小雨に見舞われたベルリンを足早に歩いていた時のことです。筆者の傘の隙間から、真夏の青空のような明るい水色のボディが目に飛び込んできました。なんとも味のある、ドイツらしい使い込まれたヤレ感をまとったHナンバーのステーションワゴン。そう、今回の主役、フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント(B2型)です。

パサートの歴史はゴルフよりも長い?


フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント(B2型)

パサートというと、現行型が2015年に欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことも記憶に新しいですね。現行型のB8型は、初代から数えると8代目となり、その歴史は意外にも長く、同じフォルクスワーゲン社のゴルフを上回る長寿モデルとなっています。初代パサートであるB1型がデビューしたのは1973年、初代ゴルフ1がデビューしたのは1年遅れの1974年でした。

ここにご紹介する2代目パサートのB2型が発表されたのは1980年10月のことでした。当初用意されたボディタイプは5ドアと3ドアのハッチバックと、5ドア・ステーションワゴン「ヴァリアント」の3種類で、翌年1981年にはメカニズムやプラットフォームを同じくする4ドアセダン「サンタナ」が発売されました。写真の個体は、1985年にマイナーチェンジされる前のB2前期型ヴァリアントです。

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2代目パサートは日本に輸入されず


フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント(B2型)

ベースとなったモデルは、当時同じグループ内にあったアウディ・80(2代目)で、エンジンは縦置きとなっており、1984年にはアウディのクアトロ・システムを引き継いだ4輪駆動モデル「シンクロ」も発表されます。日本ではこの2代目パサートは正規輸入されず、ヴァリアントの「シンクロ」モデルがわずかに並行輸入されたのみとなっていて、日本の路上でお目にかかることは滅多にない1台と言えるでしょう。

エンジンは1.3リッターの4気筒〜2.2リッターの5気筒ガソリンエンジン、1.6リッターのディーゼルエンジンのターボあり・なし、と多種多様なエンジンが搭載されました。この個体のリアには「TURBO」のシールが付いていて、額面通り受け取れば1.6リッターのターボ・ディーゼル搭載モデル、ということになりますが、実際のところはエンジンルームを見てみないとわからないですね。見るからに走り込んでいて、様々な場所の凹みはそのまま、色も合っていない塗料でちょいちょいとタッチアップしているところをみると、オーナーは自分で直したりいじったりするのが好きな方なのかもしれません。

Hナンバーを掲げていても、クルマの程度は様々


フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント(B2型)

CLでは多くのHナンバー車をご紹介してきましたが、今までCLに掲載されたクルマたちはどれも綺麗な外観を保った個体が多かったため、「Hナンバー車=綺麗に維持されたクラシックカー」というイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。ところが、ドイツ現地ではそれこそ「こんな状態で走れるのか?」というようなボロボロのクルマから新車同様に維持されたクルマまで、様々な程度のクルマがHナンバーを掲げて走っています。

フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント(B2型)

このパサート・ヴァリアントは、今まで見てきてたHナンバー車の中でも特に、オーナーが肩肘張らずに気楽に愛車との生活を楽しんでいる様子が伝わってきて、筆者はとても清々しい気分になりました。古いクルマの楽しみ方は人それぞれ。自分なりのペースで、愛車を手入れしながら維持していく。いつの間にか雨は上がって、ウインドウに残った雨粒がきらきら反射するパサートを筆者はとても美しいと感じました。このパサートはこれからもきっと、オーナーとの二人三脚でドイツの地を走り続けていくことでしょう。

[ライター・カメラ/守屋健]

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