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更新2023.07.15

アウディ「TT」生産終了で考える理屈ぬきでカッコいいクルマの価値「中古車マニアーズガイド」Vol.07

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木谷 宗義

生産終了が発表されると、急にそのクルマが愛おしく見えてきてしまうのは、クルマ好きの性というもの(ですよね?)。2023年の今、その対象はアウディ「TT」ではないでしょうか?



▲初代アウディTT

遊びなんてナシ!クルマは技術と性能じゃ~と言わんばかりに真面目を貫いてきたアウディが、1998年に投入した2+2クーペ(とロードスター)であるアウディTT。2006年に2代目へ、2015年に3代目へとフルモデルチェンジを実施しても、コンセプトやスタイリングを大きく変えず、クルマ好きを魅了し続けているのは、ご存じのとおりです。


初代誕生から25年目の2023年に、生産終了となることが明らかに。惜しむ声が、多くのクルマ好きから上がっています。


中古車マニアーズのみなさんも、きっとこの生産終了のニュースに何らかの気持ちを抱いたはず(そして、中古車情報サイトをチェックしたはず)。今回の中古車マニアーズガイドは、そんなアウディTTに焦点を当ててみます。


■左・6MT・クワトロの「マニア仕様」で始まった


アウディTTは、マニア度の高い人ほど「初代のスタイリングこそ至高!」と思っている人が多くいます。たしかに、あの実用性を度外視したスタイリングは、インパクトのあるものでした。


上下に薄いサイドウィンドウは、顔を出すのもままならないほど小さく、リヤシートはシート自体しっかりしているものの、低いルーフのおかげで人が乗るのは困難。まさにデザインコンシャスという言葉がピッタリな、異端児だったのです。



▲初代アウディTT

しかも、当初は日本でも「左ハンドル/6MT/クワトロ」しか販売されておらず、それもマニア心をくすぐりました。「ベースボールグラブ」という野球のグローブをモチーフにした、レザーのインテリアもカッコよく、「違いのわかる大人のクルマ」を感じさせてくれたものです。



▲ベースボールグラブ内装の初代アウディTTロードスター

中古車マニアーズとしても、この初代/初期型/ベースボールグラブ内装は究極のアウディTTとして崇拝しますが(大げさ?)、実際に乗るとなると25年前のクルマはもはやネオクラシック。気軽に手を出せるクルマかというと、難しくなってきているお年頃だといえるでしょう。


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■「TTの世界」はどの世代にも


では、マニアーズとして乗るべきTTは何か? こんなふうにいうと元も子もありませんが、「TTなら何でもいい」と私は思います。


なぜって、スタイリングの美しさは初代から今に至るまで大きく変わらず、さらにボディサイズもそれほど大きくなっていない。つまり、「TTらしさ」は、どれを選んでも味わえる。ならば、「この仕様じゃなきゃイヤだ」なんて言わず、TTらしさを味わってみようじゃありませんか!というわけ。
 



▲初代アウディTTのインテリア

上下に薄いサイドウィンドウがついたドアを開け、低いシートに腰を下ろせば、そこには他のどのクルマにもない世界観が待っています。エンジンをかけて走り出せば、日常のすべてがスポーツドライビング。



▲2代目アウディTTのインテリア

こだわり抜いた1台を愛でるのも素敵なマニアーズライフですが、この世界観を体験しておくことがマニアーズ人生の中で大きな価値になると思うのです(お前も乗れよ!というツッコミ歓迎)。


とはいえ、3世代25年にもわたって生産されてきたバリエーションは多岐にわたります。ある程度は絞り込まなくてはいけないでしょう。そこで、「もしも自分が乗るなら」と考えて、マニアーズ的TTを選び出してみます。


■筆者が選ぶのは2代目後期「1.8TFSI」


今、手頃な価格でTTを手にするなら、2代目(8J型)。2006~2015年に生産されたモデルで、初期モデルこそ15年が経過しているものの、まったく古く見えず、またメカニズム的な信頼もあがっているといえるからです。しかも、価格は100万以下から。いわゆる“100ドロ”的な楽しみ方ができます。
 



▲2代目アウディTT

この世代はMTが用意されず、全モデルがDCTのSトロニックとなるものの(TT RSを除く)、ダウンサイジングターボならMTよりもATのほうが合っていると言えるでしょうから、ここは問題なし。大きな選択はFFかクワトロAWDのどちらにするか、でしょう。


1998年当初のコンセプトに忠実なのはクワトロですが、日常づかいなら軽快で故障箇所も少なくなる(はず)のFFで十分。さらに、パワフルでないほうが日常的にガンガン踏める楽しさがあると考えるタイプなので、211psの2.0リッターではなく、後期モデルで設定された160psの1.8リッターを積極的に選びたい。



▲2代目アウディTT S

S-lineパッケージもレザーシートもないけれど(オプション仕様)、シンプルなスタイルでカジュアルに乗ってみたいと思うのです。ボディカラーも、造形が際立ちグリルなどとのコントラストもキレイな、シルバーで。


もちろん、2.0TFSTクワトロの盤石さや272psの「TTS」340馬力もの大パワーを発生する「TT RS」もそれぞれに魅了があるので、これはもう本当に好みの問題。予算を200万円級まで上げれば3代目だって視野に入りますから、選び出すとキリがなくなります(笑)。今回の個人的ベストTTは、2代目後期の1.8TFSI(FF)としておきましょう、


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■二度と生まれない理屈ぬきのカッコよさ


SUV人気が加速している昨今、クーペは下火。クラウンやプジョーのセダンまで、クロスオーバーになる時代です。車高の高いSUVは床下にバッテリーを搭載しやすいパッケージングであることからも、この傾向はこれからも変わらないでしょう。


ということは、「乗用車ベースのスポーツカー」というクルマも、生まれにくくなるはず。そういう意味でも、アウディTTの存在はこれからますます稀有なものになっていきます。マニアーズ的には、初代から新車までタマ数も多く選びたい放題の今、アウディTTはもっとも旬なとき。



▲3代目アウディTT ファイナルエディション

コンセプトを色濃く反映した初代を選ぶのも、筆者が考えるように100万円の2代目を日常的に乗るというのも、そして最後の新車を買っておくのも、どれも間違いのない選択になるでしょう。なんたって、理屈ぬきに魅力的なクルマなんですから!


[画像/Audi・ライター/木谷宗義]

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