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ライフスタイル

更新2023.05.13

ジープ「チェロキーXJ」で覗きたいオールド・アメリカンの世界「中古車マニアーズガイド」Vol.06

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木谷 宗義

ボルボ「240ワゴン」やメルセデス・ベンツ「Eクラスワゴン S124型」を筆頭に、今“ちょっとクラシカル”なスタイルのワゴンがブームになっていま……いや、正しくはこうした“ちょっとクラシカル”なワゴンへのニーズは、「昔からあった」というべきかもしれません。


たとえば、ビュイック「リーガルワゴン」やトヨタ「マークIIバン」、日産「セドリック/グロリアバン」(どっちもワゴンじゃないけど)は、まさに“ちょっとクラシカル”で人気を博してきたクルマたちでした。





そうしたニーズを満たすクルマが、1970~1980年代スタイルの車種から1980~1990年代スタイルの車種へと変化して、ニーヨンマルやイチニーヨンの人気が高まっていると考えられるのです(中古車価格、ビックリしますね……)。


しかし、マーバンやリーガルが流行った時代と今が少し違うのは、SUVが台頭しているということ。この“ちょっとクラシカル”へのニーズも、SUVへと広がっています。


前置きが長くなりましたが、今回の「中古車マニアーズガイド」は、そんな「ちょっとクラシカル+SUV」を満たすクルマ、ジープ「XJチェロキー」です。


■ホンダ/右ハン/大幅値下げで大ヒット


チェロキーはアメリカンオフロード4WDの先駆、ジープ社が1974年に「ワゴニア」の2ドア・スポーティバージョンとして誕生させたクルマ。カジュアルSUVの先駆けといってもいい存在です。


でも、チェロキーという車名を聞いて多くの人が思い浮かべるのは、この初代モデル(SJと呼んだ)ではないでしょう。日本人に馴染みのあるチェロキーといえば、XJと呼ばれるこの次の世代。しかも、1980年代に販売されたモデルではなく、幾度かのマイナーチェンジを経た1990年代に入ってからのモデルです。より、具体的に言えば「1993年以降」。



▲1974 SJチェロキー

 



▲1984 チェロキーチーフ


▲1996 チェロキーリミテッド

なぜ1993年なのかというと、「ホンダディーラーでの取り扱い」「円高による大幅値下げ」「右ハンドルの登場」が実現して、一気に身近になったから。今ではなかなか想像しづらいですが、チェロキーはホンダディーラー(系列でいうとベルノ店)で売られていたのです!


チェロキーそのものは、おりからのクロカン4駆ブームもあって、日本でも1990年頃から知られた存在となっていました。でも、左ハンドルのみであった上、価格は「ランドクルーザー」や「パジェロ」の最上級グレードよりも高価で、高嶺の花でした。


それが、円高により513万円だった「リミテッド」が372.5万にまで、実に約140万円も安くなったのです。さらに299.8万円の廉価版「スポーツ」を追加し、「国産と同じ価格感で買える輸入車」として大ヒット。日本でチェロキーというクルマが、一躍メジャーになります(その後リミテッドは329万円、スポーツは269.8万円へさらに値下げ!)。



▲XJチェロキーのインテリア

ちなみに、フォード「エクスプローラー」やランドローバー「ディスカバリー」といった同価格帯の輸入SUVも、300万円代を中心とした価格帯に大幅値下げし、販売台数を伸ばしました。


当時を知っている人なら、「円高還元」という言葉を掲げた輸入品の値下げやフェア、セールをよくやっていたことを覚えているかもしれません。それだけ、円高のインパクトは大きいものでした(レンジローバーは890万円から595万円へと一気に300万円もダウン!)。


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■日本の道路事情にフィットするアメ車


販売ネットワークの拡充と大幅値下げによって一気に身近になったチェロキーは、アメリカ車といってもボディサイズは4.3mに満たず(背面スペアタイヤなしの場合)、全幅もオーバーフェンダーを含めて1765mmとコンパクト。この日本の交通環境にフィットするサイズ感も、ヒットの一因だったでしょう。
 



▲1997 チェロキーリミテッド

一方で、まだまだ“自動車のグローバル化”が進んでいない時代のクルマですから、その乗り味は、アメリカンそのものです。


当時の日本とは異なるフィーリングにより、国産車に戻っていった人もいたかもしれませんが、おおらかなアメ車フィールは今となっては貴重。今回、マニアーズな1台として取り上げたのは、この「日本で扱いやすいサイズなのに濃厚アメリカン」という点に尽きるといってもいいでしょう(こんなクルマ、今あります?)。


もちろん、1984年デビューのアメリカ車ですから、設計は相当古く、維持が楽なクルマとはいえないかもしれません。また、4リッターの排気量を持つOHV直6エンジンの燃費も、それなりです(10・15モード燃費で5.9km/Lなので推して知るべし……)。それでもやはり、日常的に使える濃厚アメリカンという点で、尊い1台であることは間違いないでしょう。



▲本国にはピックアップの「コマンチ」も存在した

数多く売れたクルマですから今も生き残っている個体が多く、しかも冒頭で触れたようにちょっとしたブームとなっていますから、メンテナンスが行き届いたクルマに出会える可能性も高いといえます(乗りっぱなし個体もありそうなので要注意)。そういう意味でも、今注目したいマニアーズなクルマなのです。


いろいろなカスタマイズの施された個体が多いので、オリジナル派には選びづらい状況になっているかもしれませんが、“チェロキーを味わう”を目的とするなら、多少のカスタムには目をつぶることにしましょう。


■本格的なクラシックになる前の今がチャンス


今、ジープブランドの代表モデルといえば、押しも押されもせぬ「ラングラー」です。でも、1990年代のラングラーはまだまだモダナイズされておらず、また4ドアもなかったため、販売の主役はチェロキーでした(グランドチェロキーもあったけど、それほどには……)。



▲1994 ラングラー

XJチェロキーはその後、1997年に内外装のデザイン変更をともなう大幅なマイナーチェンジを実施し、2001年まで生産されます。



▲1997 チェロキー

つまり、最終モデルでも生産終了から20年以上が経っているということ。そう遠くないうちに、「ネオクラシック」から「本格的なクラシック」の領域に入ってくる時期がやってきます。


そこまでいってしまうと残存するのは極上個体だけになり、オーナーとなるには金銭的な負担だけでなく、「後世に残さなくては」という心理的な負担も生まれてくるもの。そう考えると、今はまだ所有するハードルはそれほど高くないといえます。


1990年代の日本でアメリカンSUVを身近にした立役者チェロキーは、中古車マニアーズ的に“今、狙いたいお年頃”のクルマなのです。


[画像/JEEP・ライター/木谷宗義]

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