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更新2022.12.25

「アルファロメオ156」で濃厚イタ車ライフを堪能せよ!「中古車マニアーズガイド」Vol.02

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木谷 宗義

1990年代前半まで、アルファロメオというメーカーのクルマは、ほんの一部のカーマニアのためのクルマでした。


なぜって、手頃な価格の「155」は左ハンドルのMTしか設定がなく、上級モデルの「164」はスポーツセダンを求めるにはちょっと違う。しかも、まだ「輸入車はよく壊れる」と言われていたころのクルマ(しかもイタリア車)だから……。


そんな敷居の高いアルファロメオを一気に身近にしてくれたのが、1997年に登場、1998年に日本上陸を果たした「156」です(イチゴーロクって読みます)。


そんな古いイタリア車、大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、中古車マニアーズ的には“そんな古いイタリア車”だからこそ、オススメしたいのであります。


■アルファロメオ史に残るヒット作



156は世界的にもヒットしたモデルで、21世紀に向かうアルファロメオの方向性を決めたモデルであるといっても過言ではありません。


ヒットの背景には、走りのバランスのよさや高まった信頼性などなどいくつもの理由がありますが、その最大の要因はカーデザイナー、ウォルター・デ・シルヴァ(のちにゴルフ7なども手がける)による流麗なデザインにあるでしょう。



▲リアのドアノブをサッシに組み込むデザインは156が走り


1980年代の日本車も顔負けのカクカクスタイルだった155から一変して、曲線美という言葉がピッタリなグラマラスでスリークなスタイリングは、ドイツ車にもフランス車にも決して真似のできない気品と色気を兼ね備えたものでした。日本でも発売直後から、ヒット。最初の1年で2500台以上を販売する実績を残しています(とはいえ、ゴルフより1ケタ少ないところがイタリア車です)。


しかし、日本でのヒットはそのスタイリングだけが要因ではありません。冒頭の155を思い出してみてください。155には“左MT”しかなかったことを……!


そう、156では、ついに右ハンドルのATが登場したのです。


「2.0ツインスパーク」と「2.5 V6」の2グレードで導入されたこのクルマは、以前の155とは異なり全車右ハンドルで発売。どちらもMT(2.0が5速、V6が6速)のほか、2.0ツインスパークには「セレスピード」と呼ばれる2ペダルMTが、2.5 V6には「Q-SYSTEM」と呼ばれるATが設定されました。



▲インテリアはクラシカルな雰囲気を残すデザインとされた


念願の“右ハンAT”登場により、それまでアルファロメオに手を出せなかった人たちの手にわたり、さらにデザインに惹かれてアルファロメオを知った人たちもこぞって買い……と、販売面では絶好調(似た理由でプジョー206も売れましたね)。価格が359万円~と、BMW 318i(これもMTがあった)より安かったのも、追い風となったことは間違いないでしょう。


2000年頃の景色を知っている人なら、156が決して珍しいクルマではなかったことを覚えているのではないでしょうか?


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■売れたクルマだけにタマ数が多い


では、なぜ中古車マニアーズ的に注目なのか? それはやっぱり“売れたクルマ”だから。タマ数が多ければ、たとえ生存率は低くても、残る数は多いというもの。しかも、最終モデルでも15年以上が経過した今、程度の悪いクルマは減り、大事にされてきた個体だけが残っていくタイミングにきていると言えます。


中古車情報サイトを見れば、10万キロを大きく超えるような走行距離すうの個体も少なくありませんが、これは“それだけ走ってくることができた実績”と見るべき。もちろん、消耗品の交換タイミングはあるかもしれませんが、20年前後も生き残れただけの信頼性を持った個体だとも言えるのです。
 



▲「アルファスポーツワゴン」というワゴンボディもラインナップ


もちろん、古ければ古いほど、そして多走行であれば多走行であるほど、内外装のヘタりや痛みはあるでしょう。この時代のイタリア車の宿命ともいうべき、内外パネルのベタつきは避けられません。でも、“運転することの楽しさ”がアルファロメオを所有する最大の喜び。内外装のヤレは許してあげたいところです。


詳しい人ならば、セレスピードの故障を気にするかもしれません。たしかに、決して信頼性の高いシステムではありませんが、壊れるものはとっくに壊れています(笑)。いま生き残っているのは、幾多のトラブルを乗り越えてきた“整備済み品”である場合も多いですし、予防や修理に実績を持つショップもたくさんあります。それにセレスピードが怖ければ、MTやトルコンATのV6を選べばいいのです(V6サウンドもたまらなくイイ!)。それよりも、センサー類や電装系、エアコンなど心配のほうが大きいかもしれません。


ちなみに、156のモデルライフは「ツインスパークと2.5 V6」の初期モデル、「JTSとV6」の中期モデル、「JTSとV6のジウジアーロ顔」の後期モデルの大きく3期にわけられます。さらに、3.2リッターのスペチアーレなGTAというモデルも設定されました。


 


▲ジョルジェット・ジウジアーロによる後期型フェイス


信頼性というのは新車時のことであって、20年も経ったら関係ない!というのが中古車マニアーズ的な考え方。どれが絶対的に信頼性が高いとか低いということはなく、どれもメンテナンス状況次第なので(しいて言えば直噴のJTSか)、その個体の整備歴やショップさんの信頼度で選ぶことが失敗しない道でしょう。




▲3.2リッターエンジンを搭載する156GTA


■この先こんな身軽なセダンは生まれてこない!


現行世代の「ジュリア」や「ステルヴィオ」も、アルファロメオらしいスポーティで軽快なハンドリングを持つモデルであることは間違いなくて、それはそれで欲しくなる魅力がたくさんあるのですが、全長4430mm×全幅1755mm、車重1300kgという156のような小型軽量なセダンが生まれてくることは、もうないでしょう。しかも、NA(自然吸気)エンジンとなれば、さらに難しいはず。



▲見ても乗っても濃厚イタリア車!


20世紀アルファロメオの集大成とも言うべき156は、これからも色褪せることのない名車であると言えるのです。特に、1979年の「アルファ6(セイ)」に由来するV6エンジンの官能的なサウンドは、マニアーズならシビれること間違いなし(20世紀の無形文化財といったら大げさ?)。


中古輸入車は15年前後で底値を迎え、20年が経つと上昇。30年が経過するとヴィンテージ価格になっていく、というのが定説です。今、156は底値を過ぎて希少価値が出てくるころ。そういう意味でも、中古車マニアーズ的に外せない1台なのです(ハッチバックの147もあるけどね)。20世紀の香り漂うアルファ156で濃厚イタ車ライフ、なんともマニアーズでいい選択ではありませんか!?


[画像/アルファロメオ・ライター/木谷宗義]


 

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