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更新2022.11.27

「W126 Sクラス」バブルの象徴は今が最旬!「中古車マニアーズガイド」Vol.01

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木谷 宗義

特にクルマを買う予定はないけど、中古車情報サイトとオークションサイトは毎日のように見てしまう――。


あなたもそんな1人ではないでしょうか? もしもそうなら、あなたは立派な中古車マニアーズ!



新連載「中古車マニアーズガイド」では、日々、マニア視点で中古車をウォッチする筆者(1981年生まれの自動車編集者)が、いま注目するマニアなモデルをピックアップしていきます。あくまでも「中古車マニアーズガイド」であって、「中古車バイアーズガイド」ではないことは、予めご了承のうえでご覧ください。必ずしもオススメできるとは限らないので!!!


ではでは、さっそく本題に迫っていきましょう。第1回で取り上げる車種は、メルセデス・ベンツ2代目 Sクラス。「W126」というコードネームでもよく知られる、バブル期を象徴するようなクルマです。



「いきなりそんな王道かよ~」という声が聞こえてきそうですが、このモデルは中古車として今が最旬。なんたって、私自身が購入したのですから!


■そもそも「W126」ってどんなクルマ?


なぜ、今中古車が旬なのかを知る前に、まずはW126型Sクラスについておさらいしておきましょう。


W126は、1972年に誕生した初代Sクラス(W116)がフルモデルチェンジする形で、1979年に発表され、1991年までの長きにわたって生産されたモデルです。一般にW126と呼ばれますが、このコードネームはショートボディ(SE)のもの。ロングボディ(SEL)の正式なコードネームは、「V126」となります。



▲ロングのSEL


全長5020mm(ロングは5130mm)×全幅1820mm×全高1430mmのボディサイズは、当時を知る人なら“巨大なクルマ”という印象だったでしょう。しかし、全幅が初代モデルから50mmもダウンサイジングされているところは、意外と知られていないところです。当時、1870mmという全幅は大きすぎたのでしょうね……。



▲初代Sクラス「W116」


製造期間の長いモデルゆえ、幾度もの改良が行われ、エンジンバリエーションも多彩ですが、日本で主力となったのは、「300SE」など直6ガソリンエンジンと、「420SEL」「500SE」「560SEL」を中心としたV8ガソリンエンジン搭載モデルです。



1986年にいわゆる“サッコプレート”が採用されるマイナーチェンジが行われ、トップグレードの「560SEL」もこのとき登場(ゴーロクマルってやつです)。1989年にはモデル末期に向けて、装備の充実を図るマイナーチェンジが実施されています。



モデルライフが長かったこともありますが、世界的に販売は好調(560SELは1500万円近くしたのに!しかも当時はもちろん税抜き!!)で、現在のところ(そしてたぶんこれからも)歴代Sクラスの中でもっとも販売台数の多かったモデルでもありました。ちなみに、歴史2位は2013~2020年に作られた先代「W222」です。


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■なぜ「今が最旬」なのか?


W126は、生産終了からすでに30年が経過しています。この30年という時代感が、大きなポイントで、「今が最旬」と考える理由は大きく3つあります。


(1)極上車と“それ以外”程度の二極化が激しくなってきた
(2)中古車からヴィンテージカーの価格になってきた
(3)海外流出のため、タマ数が少なくなっている
(4)W124/S124が高すぎる


極上車とは、ほぼワンオーナーで車庫保管、走行距離5万キロ未満でずっとディーラー整備を受けているといった、新車のような状態を維持しているクルマのこと。


しかし、こうした極上個体はすでに500万円を超えるようになっていて(560SELだから560万円という値付けも多い)、本当の本当の超絶極上車になると1000万円を超えるようになっています。ここまでくると価格的にはもちろん、「この極上車を維持しなくては……」という心理的な負担も大きくなってきて、現実的な選択肢にはなりづらい……。


一方で、まだまだ100万円台の個体もたくさんありますが、これはこれで選ぶのが難しいのです。なぜって、見た目と走行距離だけでは判断できないから。


そこそこ大事に乗られてきた個体であれば、一見すると程度もよさそうに思えます。この時代のメルセデスは塗装品質が高いため、ツヤがなくなったりサビが浮いてきたりといったことが起こりづらく、見た目から状態を見抜くのが難しいのです。



とはいえ、「100万キロは持つ」とも言われているほどのクオリティで作られている「最善か無か」の時代のメルセデスですから、きちんと整備をして大事に乗っていれば、走行距離が多いことにネガティブはありません。要は、「消耗品の消耗具合がどれぐらいなのか?」ということ。「10万キロ乗りっぱなし」よりも「30万キロ超絶整備」の方が安心できることは、これをお読みのマニアーズのみなさんなら、きっとよくご存知のことでしょう。


しかし、問題は(2)です。超絶極上車が高額なのは当然として、並の程度の個体も、この2020年を超えたあたりから価格が上がってきています。


だいたい、20年落ちぐらいまでのクルマは「普通の中古車」として扱われるもの。わざわざ15年目のクルマを実用車として買う人は少ないですから、底値となります(W221とか激安でいいですよね~)。


でも、20年を超えると徐々にネオクラシックとしての価値が生まれ、30年を超えるとヴィンテージカーの域に入ってきて、価格もどんどん上がっていきます。特に、ここ数年は世界的にクルマの価値が高まっていて、高騰/急騰といえるほどです。「いつか乗りたい」と思っていると、日を追うごとに遠ざかっていく……といっても過言ではないでしょう。


それに拍車をかけているのが、(3)「海外流出のため、タマ数が少なくなっている」です。価格上昇しているとはいえ、日本でのメルセデスの価格は世界的に見れば安値。世界のマニアーズが、日本のメルセデスを狙って輸出をしています。


(4)「W124/S124が高すぎる」は、日本特有の現象かもしれません。



 ▲人気の「S124」


日本では、Sクラスよりもサイズが手頃で、なおかつワゴンボディも選べるEクラス(ミディアムクラス)の人気が高く、Sクラスよりも全般的に高価なのです。ならば、「より安く当時のフラッグシップを味わってみてはどうでしょう?」というわけ。



ちなみに、次の世代のコードネーム「W140」は、電子化や部品の樹脂化が進んでいますから、W126より維持は難しくなると思われます。そういう意味でも、W126/V126は狙い目だと言えるのです(W140のV12は気になるけれど)。


■俺の"イチニーロク"300SE


実際にW126を所有してみてどうだったか。それはもう快適そのもの。燃料計の正確性が怪しかったり、エアコンのフラップ切り替えが動作していなかったりはするものの大きな不調や不便はなく、トラブルも皆無(パワーシートのスイッチが割れてしまったけど、DIYでなんとかなりそうなのでトラブルとは言わないことにする)。18万9000kmで迎えた今年の車検は、1つの部品も換えることなくパスできたほどです。



▲俺の“イチニーロク”300SE


このクルマのバトンを受け取ってからやったことといえば、寿命を迎えたHIDバルブの交換(もちろん純正はハロゲン)とオンダッシュカーナビの撤去、オーディオの換装をしたぐらい。カーナビの撤去もオーディオの交換も、より当時の雰囲気を感じられるようにするのが目的で、オーディオは派手さを抑えたデザインにしています。



GQ Japan「俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記」に取り上げてもらったのは、ちょっとした自慢。撮影もかねて運転した永山絢斗さんが取材後、「メルセデスよかったなぁ」とつぶやいていた(Twitterじゃなくて、リアルに)のに感謝感激しました。


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■あのころ"ならでは"の味わいを今


今回は、主に中古車市場の側面からW126が今「最旬」であることをお伝えしてきましたが、それは「クルマとしての魅力があるから」というのが大前提です。



「最善か無か」の哲学で作られた当時のメルセデスは、今乗ってもボディはしっかりしているし、乗り心地も極上。シートに座われば背筋がピンと伸びて「丁寧に運転するぞ」という気にさせてくれるし、ボールナット式ステアリングのしっとりとしたフィーリングは、現代のクルマには絶対にない“味わい”です。8速や10速も珍しくなくなった今、右足で変速をコントロールできる2速発進の4速AT(=事実上3速)も、丁寧な運転を助長させてくれます。


そして何より、「そこにW126がある景色」が素晴らしい! 今でも、クルマを降りて振り返るとニンマリしちゃうんですよね。「あのころのがよかった」とは言いません。でも、「あのころ“ならでは”のよさがあった」のは事実。30年落ちのフラッグシップ、中古車マニアーズの方は、ぜひ今ご注目を!


[ライター/木谷宗義]

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