更新2025.04.28
事故車を高く売却する完全ガイド!保険を使った最適な対応方法とは
外車王SOKEN編集部
事故に遭ったクルマを手放すとき、少しでも高く売却したいと考えるのは当然です。事故車は通常の中古車と比べて買取価格が大幅に下がってしまいますが、保険をうまく活用すれば損失を最小限に抑えられます。
本記事では、事故車の定義から保険金の活用法、適切な売却先の選び方まで、事故車を少しでも高く売却するためのコツを解説します。
そもそも事故車とは
事故車の売却を考える前に、まずは「事故車」とはどのようなクルマを指すのか、そして事故車の価値がどのように決まるのかを正確に把握しておきましょう。
事故車と見なされる基準とは?
事故車と一口に言っても、その定義は明確に決まっています。事故車とは、クルマの骨格部分である以下の9ヶ所のいずれかに損傷や修復歴がある車輌のことです。
・フレーム
・ルーフパネル
・クロスメンバー
・ダッシュパネル
・ピラー
・インサイドパネル
・フロア
・トランクフロア
・ラジエーターコアサポート
多くの方が「交通事故を起こしたクルマが事故車だ」と思いがちですが、実際には事故の有無にかかわらず、上記の重要部位に損傷や修復歴がある場合は事故車として分類されます。たとえば、長年の使用による骨格部分の歪みなども該当します。
一方、上記以外の部分の損傷や修復歴があっても、それだけでは「事故車」とは見なされません。バンパーやドア、フェンダーなどを交換した程度では、修復歴車には該当しないのです。
事故車の価値評価の仕組み
事故車の価値評価において重要なのが「時価額」と「評価損」です。
時価額とは、事故発生時点でのクルマの市場価値のことを指します。保険会社は中古車市場の相場や自動車価格月報を参考に、同じ車種・年式・グレード・走行距離の車輌の価格を基準に算出します。
一方、評価損とは、事故によってクルマの価値が下落してしまうほどの損害のことです。たとえば、修理で見た目は元通りになったとしても、事故歴や修復歴があることで中古車市場での評価は著しく下がってしまいます。
この価格落ちは大きな経済的損失と言えるものの、多くの保険会社はこれを補償の対象として認めたがらない傾向があります。
事故車を売却する際の保険活用術
事故車を売却する際に重要なのが、保険をいかに有効活用するかという点です。事故の種類や状況によって、活用できる保険や請求方法が異なるため、詳しくみていきましょう。
自損事故と対物事故での保険金活用の違い
事故は大きく「自損事故」と「対物事故」の二つに分けられ、それぞれで活用できる保険が異なります。
自損事故とは、自宅のガレージにクルマをぶつけてしまったり、電柱に衝突したりするなど、相手がいない単独事故のことです。この場合、自分が加入している任意保険の車両保険を利用します。ただし、車両保険を使用すると翌年の等級がダウンし、保険料が上がるため、修理費用の額によっては保険を使わないほうが得策な場合もあります。
一方、対物事故は他のクルマや物を巻き込んだ事故のことで、この場合は過失割合に応じて相手の保険会社からも保険金を受け取ることができます。たとえば、事故の過失割合が自分4割、相手6割の場合、相手の保険から修理費用の6割分の保険金が支払われます。
なお、保険金は必ずしも修理のためだけに使う必要はありません。事故車を修理せずに買い替える場合でも、基本的には修理費用相当額の保険金を受け取ることができます。ただし、全損と判断された場合はクルマの時価額が上限となり、所有権が保険会社に移ることもあるため注意が必要です。
事故車の評価損を保険会社に認めさせるコツ
前述したように、事故による「評価損」は実際に大きな経済的損失であるものの、保険会社はこれを補償の対象として認めたがらない傾向があります。しかし、適切な交渉と証拠の提示によって、評価損の補償を認めさせることも可能です。
大事なのは、口頭での交渉ではなく書面でのやり取りを行うことです。保険会社が評価損を認めない理由を書面で提示してもらい、それに対して反論する材料を揃えましょう。
具体的な交渉材料としては、日本自動車査定協会が発行する「事故減価額証明書」が有効です。この証明書は、事故によってクルマの査定評価額がどれくらい減額されたかを客観的に示すもので、国の権威がある公的機関の証明であるため説得力があります。
また、中古車販売サイトなどで自分のクルマと近い条件(車種・年式・走行距離など)のクルマの販売価格を調査し、修復歴の有無による価格差を提示することも効果的です。さらに、裁判例で評価損が認められたケースを引用して主張することも考えられます。
保険会社は「新車でなければ認められない」「乗り潰せば評価損の差はなくなる」「修理すれば元通りに直る」などと主張してくるケースが多いですが、これらの主張に対しては「価格落ちを認めた裁判例がある」「いつ売るかは所有者が決めることで、保険会社が制限すべきことではない」「修理しても中古車市場での価値は戻らない」などと反論できます。
事故車の最適な売却先とその選び方
事故車を売却する際、どのような業者に依頼するかが重要なポイントです。適切な売却先を選ぶと、同じ事故車でも査定額に大きな差が出ることがあります。
事故車専門買取業者のメリットと上手な活用法
事故車を売却する場合、一般的な中古車買取店よりも「事故車専門の買取業者」に依頼するほうが高額査定が期待できます。
事故車専門の買取業者は、修復歴があるクルマでも独自の販路を持っているため、比較的良心的な価格をつけてくれる可能性が高いです。また、事故車の状態や修復履歴にも詳しいため、査定がスムーズに進むというメリットもあります。
また、複数の業者から相見積もりを取ることも重要です。1社だけの査定で決めてしまうと、本来ならもっと高く売れた可能性も見逃してしまいます。理想的には、一般の中古車買取店、事故車専門業者、廃車専門業者の3種類から見積もりを取り、最も条件の良い業者に売却するのがおすすめです。
廃車買取と一般買取の違い
事故車の状態によっては、通常の買取ではなく「廃車買取」を選択すべき場合もあります。廃車買取とは、クルマを1台の中古車としてではなく、パーツやスクラップとして価値を見出す買取方法です。
一般的な買取では価値がつかないような重度の事故車や不動車でも、廃車買取であれば価格がつくケースがあります。なぜなら、廃車専門業者はクルマを分解してパーツ単位で再利用するビジネスモデルを持っているためです。1台のクルマとして価値がなくても、エンジンやトランスミッションなどの主要部品が健全であれば、それらのパーツとしての価値を評価してくれます。
さらに、廃車専門業者は廃車手続きも請け負ってくれるため、面倒な手続きの手間が省けるというメリットもあります。廃車手続きには多くの書類が必要で時間もかかりますが、専門業者に依頼すればこうした煩わしさから解放されます。
どちらが得かの判断基準としては、クルマの状態を第一に考えます。骨格部分の損傷が軽微で走行に問題がなければ一般買取、重度の損傷があり修理費用が高額になる場合は廃車買取というのが基本的な目安です。また、クルマの年式が古く走行距離が多い場合も、廃車買取のほうがお得になることがあります。
まとめ
事故車を売却する際には、以下のポイントを押さえることで、より高値での売却が期待できます。
まず、事故車の定義を正確に理解し、自分のクルマが修復歴車に該当するかどうかを把握しましょう。骨格部分に損傷や修復歴がある場合は事故車として扱われ、査定額が下がることを念頭に置いてください。
次に、保険金の活用方法を検討します。自損事故なら自分の任意保険、対物事故なら相手の保険も含めて、適切な保険金を請求しましょう。特に評価損については、日本自動車査定協会の「事故減価額証明書」など客観的な証拠を用意して交渉に臨むことが重要です。
売却先の選定においては、一般の中古車買取店、事故車専門業者、廃車専門業者から複数の見積もりを取り、最も条件の良い業者に売却することをおすすめします。手数料や買取額の内訳が明確で、還付金の説明も丁寧な業者を選びましょう。