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メンテナンス

更新2018.04.18

やってみると楽しいDIY整備。知識ゼロでもできる愛車メンテナンスでトラブルを回避しよう

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鈴木 修一郎

筋金入りのクルマ好き揃いのCL読者の皆様といえども、全員が全員DIYで整備をしているというわけでも無いと思います。自分でエンジンのヘッドカバーを開けたことがある、駆動系のシャフトを外したことがあるという人はそうそういないでしょう。ましてや、筆者みたいに、自宅の軒先でコンプレッサー回して腐食したフレームを切開して安物のアーク溶接機でボンデ鋼板を継ぎ足したなんて事をしてる人はかなりの希少種だと思いますが……


▲安物のアークなので溶棒のダマをとにかく盛っての繰り返しでした。周囲からはさっさと半自動買えといわれています

法律でも定められている適切なメンテナンス


CLの読者の方であれば、セルフ給油SSで軽自動車に軽油を入れようとしてSSスタッフが慌てて飛んできたとか、ボンネットの開け方すら分からないという方はまずいないと思いますが、ディーラーや整備工場にまかせっきりではなくDIYで自分で愛車のメンテが出来るようになりたいけど、何処から始めたらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか?今回はメカの知識ゼロからでもスタートできるDIYメンテについて書きたいと思います。

道路運送車両法第四十七条 では「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。」と定められおり、四十七条の二では「自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。」とあり、不具合があれば「当該自動車について必要な整備をしなければならない。」と本来、日常的な点検・整備は自動車のオーナーの義務になっています。

筆者の行きつけの整備工場の社長から「本来、自動車の整備や車検は所有者がすることなんだが、特に整備は設備や高度な技術も必要なため、所有者が全部やるというのも無理な話なのでウチみたいな整備工場が所有者に代行して金を貰って修理や車検を請け負うというのが本来の形、だから金貰って請負う以上責任をハッキリさせるために整備士の国家資格や認証工場という制度がある」という話を聞いたことがあります。オーナー自ら愛車を検査場に持ち込んで車検を受ける事をユーザー車検といいますが、素人お断りの雰囲気漂う検査場も本来の趣旨から行くと、ユーザーが持ち込んで検査を受けるのが正しい姿という事になります。厳密な事をいえば法的には灯火器類や油脂類の目視点検くらいはクルマの使用者が出来なければいけないのです。

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洗車時のメンテナンスポイント


まず自分でできるクルマのメンテナンスの第一歩といえばやはり洗車です。洗車がメンテナンスの内に入るの?と思われる方もいるかもしれませんが、定期的に洗車をすることで目視によるボディの外傷は勿論、特に灯火器類やバックミラーの破損等の異常の発見にもつながります。


▲昔のクルマを水洗いするという事に関しては賛否ありますが、筆者の場合使用頻度も高いので中途半端に拭き掃除で済まして泥が残って湿気を吸うより、水で洗い流してしっかり拭きあげて、出来ればその辺を走って水気を飛ばすという方法を取っています



専用の施設以外での自家用車の洗車が禁止されているドイツですら、ガラス窓の水洗いだけは自宅ですることが認められてるといいます。ガラス窓を常に綺麗にしておくというのも安全性を確保するための重要なメンテナンスなのです。

このときワイパーゴムの状態もチェックしておき、もしひび割れがあったら要交換です。自分で出来る自信がなければ無理せず近くのガソリンスタンド、カー用品店、整備工場で依頼すればいいでしょう。自分で交換するのは日常点検にある程度慣れてからでもいいと思います。


▲古いクルマに限らず下回りは泥が溜まりやすく湿気を含んで錆の原因になります


▲これからの季節は融雪剤が撒かれることもあり、錆や腐食の原因になりますので定期的に下回りの洗車をすることをお勧めします

下回りを定期的に洗う事が、オイル漏れや下回りのパーツの破損に早めに気づく事につながります。もし異常に気付いたらそのまま整備工場等に相談してください。まずは自分で直せる、直せない以前に「不具合に対して早めに気づくようになる」というのがポイントです。症状が軽いうちに簡単に直せる時点で気づくか、気づかずに重篤化して修理困難になったり、最悪走行に支障をきたして事故につながるかでは大違いです。

ガラスコーティングしつつ他の部分もチェック



▲ちなみに筆者の洗車時の友は「シュアラスター・ゼロドロップ」

ガラス系の簡易コーティング剤ですが、通常のワックスと違いボディコーティング車のケア用にも使え、ガラスの撥水コートや内装にも使えるという優れものです。水に濡れたままでも使えるだけでなく、埃が浮いている程度なら水なしでもちょっとした空き時間にボディケアが出来るので、「ちょっとでも暇があるとしょっちゅうクルマを磨いてる」と呆れられる事も……(苦笑)



凝る人向けにホイール専用のコーティング剤というのもありますが、このスプレータイプのコーティング剤でホイールを拭いておくとブレーキダストも付きにくくなります。



こうしてタイヤ、ホイールを自分で掃除しているだけでも、自然にタイヤのエア不足や溝の減り、ひび割れに目が行くようになります。筆者のヴェレデステインも装着から4年、タイヤの溝も五部山を切ったといったところでしょうか(法的には残り溝1.6mmまでとなっています)トレッド面外側のクラックも目立ってきました。そろそろ交換も考えなきゃいけない時期でしょう。むしろ、思ったよりもロングライフだったくらいかもしれません。勿論次のタイヤもヴェレデステイン・スプリントクラシックです。

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エンジンルームを開けてみよう




筆者が洗車をする場合必ずするのが「エンジンルームを開ける」ことです。メカの事は全く分からないという方もいらっしゃると思いますが、まずはわからなくてもいいので、とりあえずは定期的にボンネットを開けてエンジンルームを眺めるという事をお勧めします。

ルーティンでエンジンルームを眺めても意味ないんじゃないか?と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。最初は何をみてもサッパリかもしれませんが、何度も何度も見ているうちに、何処にどんなパーツが、どういう状態で取り付けられているかをなんとなく覚えるようになり、パーツの欠落や破損、油脂類のにじみ等、何か不具合が発生した時に「何か違和感がある」と気づき、重篤な故障に至る前に回避できる可能性が高くなります。

筆者もいつも通りエンジンルーム全体を眺めはじめた瞬間に何かおかしいと思ったら、チャコールキャニスターのボルトが緩んで落ちそうになっていた……なんていうことがありました。時折、整備工場やディーラーに行っては担当の営業マンと世間話をしてくるという方もいると思いますが、そういう時に「洗車のついでにエンジンルームを見たらちょっと違和感を感じた」と伝える、まずはそんな感じで良いと思います。



呆れる方もいらっしゃるかもしれませんが、筆者はエンジンルームもゼロドロップで磨きます。こうしてエンジンを常に磨いて綺麗にする事で、オイルのにじみや煤の発生などで不調を察する事が出来るようになります。

ただし、エンジンルームは鋭利なパーツがあったり、高温になったりしている部分がありますので怪我や火傷には注意して下さい。またウェスをエンジンルームに置き忘れると、車両火災の原因になりますので特にウェスの置き忘れには注意してください。

エンジンルームに見慣れたらやってみよう




ある程度慣れたら油脂類・フルード類のチェックにも挑戦してみましょう。何処に何のタンクがあるかは車種ごとに違うのでそこは車載の取り扱い説明書などで調べてください。筆者のセリカはそろそろワイパーのウォッシャー液を補充したほうが良さそうです。

ウォッシャー液は必ず自動車用品店で売っている専用品を使いましょう、家庭用洗剤などを入れると詰まり原因になります。また真水をそのまま入れた場合、冬季に凍結したり藻が発生することがあります。



ラジエターのクーラントは大丈夫そうです。ラジエターのクーラントは水温が上がってキャップに圧がかかっている時にあけると高温の水蒸気が噴き出し火傷を負う危険性があります。開けるときは必ずエンジンが冷え切ってからにしましょう。クーラントには赤色(主にトヨタ車)と緑色(主に日産車)の二種類があります。筆者のセリカはトヨタ車なので当然赤色となります。昔はクーラントというと缶入りの原液を薄めて補充していましたが、今はプラ容器で薄めずそのまま補充できる物が売られています。筆者のような古いクルマのオーナーはプラ容器入りで薄めずそのまま使えるクーラントを常備しているのをよく見ます。また最近は赤・緑両方に使える補充用クーラントというのもあります。

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ベルトやオイルのチェックポイント




ベルト類も指で押してみて緩んでいたり、ベルトにひびが入っているようであれば整備工場に相談しましょう。また、エンジンをかけた時、エアコンを作動させたときに「キュルルルル~」という甲高い音が聞こえた場合、ベルトが緩んでいるもしくはベルトが寿命を迎えている可能性があります。



お約束のオイルレベルゲージのチェックです。オイルレベルゲージは車種によってついてる場所が違うためこちらも、お手元の説明書で何処にあるかをまず調べてください。

手順はクルマを水平な場所に停め、エンジンを切り5分ほど置いてから1度ゲージを抜き取り、ウェスでオイルを拭きとってから、もう一度差し込んで引き抜きます。

Lのマークより上までオイルが付いていれば一応許容範囲です。しかし、車種にもよりますが近年の国産車で数千kmでLのマーク近くまでオイルが減っているようであれば何か異常があるかもしれません。車種によって指定の違いはありますが一般的にはオイル交換は5000kmもしくは半年、二回に一回はオイルフィルター交換といわれています。ちなみに筆者のセリカは前回のオイル交換から2000km、オイル管理にはシビアな古いクルマなのでオイルは常に3000kmで交換しています。

ちなみに余談ですが、車種によっては何度もボンネットを開閉する事でヒンジやフードに摩耗や歪が発生し、特有のチリのズレ方をすることから中古車の品定めで「ボンネットを頻繁に開閉している=こまめに点検されている」と判断される事があるそうです。

ドアヒンジのグリスアップもおすすめ




せっかくなのでドアヒンジのグリスアップもしておきました。よくヒンジなどの可動部分の潤滑剤というとCRC等の浸透性潤滑剤をイメージされる方も多いと思いますが、CRC本来の使い方としては、サビや古いグリスが固まって固着した可動部分に注油して動きをよくするものであり、蒸発しやすく油膜の保持能力は高くなく、潤滑効果は一時的な物と考えたほうがいいかもしれません。それどころか浸透しやすいため元のグリスやマシン油を溶かしてしまうためかえって油膜切れを起こす原因にもなります。ドアヒンジ等の可動部分にはスプレーグリスもしくはマシン油を使いましょう。


▲レストアしたとはいっても何しろ古いクルマのため定期的にグリスアップしておかないとすぐ軋み音が出るようになります(苦笑)

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まずは始めて見ましょう


とりあえず、今回は予備知識が無くても出来るようなメンテナンスからまとめてみました。まずは難しい事は考えず「目視による点検」に慣れる事から始めるといいと思います。また機会があれば、機能部品の動作の点検やちょっとした部品交換についても触れたいと思います。

[ライター・カメラ/鈴木修一郎]

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