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よもやま話

更新2023.11.22

今年は「カトレーヴ」と親しまれるルノーキャトルと!(FBM2015に行ってきました)

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中込 健太郎

すっかり秋の風物詩となりましたね、長野県車山高原でのフランス車の祭典「フレンチブルーミーティング」今年で29回目だそうです。今回も取材かねがね、出かけて参りました。今回はシトロエンDS誕生60周年、またシトロエンC6誕生10周年が重なる年。前日からこころなしか大型シトロエンのエントリーがいつもにも増して目についた印象です。

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以前は私もシトロエンBXを所有し、それで出かけたこともありました。しかし今は手元にフランス車がありません。それこそマセラティなどイタリア車もちらほら会場にいたりするので、それでもいいのですが、何かせっかく遠出の機会です。普段乗らないクルマに乗ってみるというのも悪くありません。そんなところに東京大田区、私のマセラティ430を納車してくださりいつもお世話になっているイタリア車とフランス車を中心に個性豊かなクルマを紹介しているショップ「アウトレーヴ」さん(お店の詳細はこちら)のご厚意で「カトレーヴ」と親しまれる、オリジナルペイントを施した、ルノーキャトルを拝借することになりました。乗っている方に言わせると「なかなか他のクルマには乗りかえられない」と言うお言葉なども聞くキャトル、以前より一度乗ってみたいと思っておりました。アイドル回転数は600回転ほどで控えめながら安定した状態にセッティング。自然とドライブに出る気持ちが高まります。今回はこんなルノー・キャトルで秋深まりつつある信州車山高原に出かけて参りましたので、少しこのクルマについて触れたいと思います。

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乗った瞬間なじんでこその「ユニバーサルデザイン」

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このクルマはダッシュボード(というようなボード、板こそありませんが、メーターの横あたり)から飛び出した「棒」を押したり引いたり、左右に倒したりしながら変速するタイプの4速マニュアルトランスミッションです。見るからに最初は特殊であり、正直うまく運転できるだろうか、、、そんな不安が頭をよぎりました。しかし実際乗ってみると、自然と体が動くのです。このクルマをどう扱うかは疑問の余地がないものでした。今回お借りしたクルマでも1987年のクルマで、古くは1961年から製造しているそうです。かなり古いクルマながら、必要にして最低限の装備しか持たないこのクルマは、「誤使用」「曲解」自体おこるはずのない作りになっているのです。このクルマの成功があったからこそ、フランス車のコンパクトカーの水準が上がったわけですし、後のサンクやルーテシアといった数々の小さいがしかし、ひたすらにクルマ好きをうならせつつクルマに全く興味のない人でも不満を抱えることなく使用できるクルマができたと言ってよいでしょう。いわば大衆車で、贅沢なものは何もついてないが何も不満に感じない。そしてこの説明が無くてもしっかりその合理性の上で自然と使うことができる操作方法の明快さには、今で言うところのユニバーサルデザインのような一面を感じずにはいられません。

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「そこまでして」も手に入れたかったサスペンションストローク。

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↑右側の後輪の取り付け位置です。

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↑左側の後輪の取り付け位置です。この差がホイールベースの差に現れているのです。

コンパクトなボディで街中でも極めて取り回しがいいのは初めて乗るものにも優しさのようなものを感じます。しかしいざ乗り込むと、胴が納まる部分は微妙に外側に膨らんでおり、狭さを感じません。窓も小さいながら取り付け位置の関係で閉塞感を深いに思わせるようなことがないのです。さらに少し余裕を持たせたヘッドクリアランスのおかげでむしろ快適さをあくまでも担保するキャビンのユーティリティ。そんな運転席に座り、どこかたぐり寄せるようにシフトノブを操作すれば、見せつけるようなパワーのかけらもないのに、ちゃんと必要最低限のトルクはどの回転数でも引き出し可能。そんな懐の深さはフランス車として、というか実用車として何か見識のようなものを感じます。

そして、長距離にそのまま乗り出しても全く苦にならないのはさすがです。シンプルにしてしっかりと下掛け心地の、ボディサイズの割にたっぷりとしたシート、そして何より、サスペンションストロークのおかげで粘る、フラットに乗り越える。ひらりひらりと高速でのレーンチェンジもこなします。なんとこのクルマ、左右でホイールベースが異なるのです。その理由は、小さなボディながら、室内のユーティリティを殺さないようにと横向きに配置されたサスペンションストロークを稼ぐため、左右で平行に前後して配置されている為です。拳一個分程度はことなるかもしれません。そこまでしても死守したかったこのクルマのサスペンションストロークが生み出すグランツールズモとしてのキャラクターは是非一度機会があったら皆さんに試していただきたいところ。一気に200キロ走ったあたりで、しかしいいなあ。と物思いに耽ることになるかもしれません。

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キャブレターでノンパワーのステアリングは機能として十分な上に「エバーグリーン」

このクルマはインジェクションではなくキャブレターでエンジンに燃料が供給されます。さらにステアリングにはパワーアシストはありません。しかし乗ってみると、そのことによってスポイルされることはありません。むしろノンパワーアシストのステアリングなど、しかるべきハンドルの操作方法をおさらいするのにはむしろ好都合かもしれません。据えきりしない、まっすぐにしてギヤをかえる。こういうことをしっかり扱えるようになると、クルマを長持ちさせる為の術が身に付くかもしれません。そしてこうしたシンプルな作りこそ、何かあっても治せる根拠となるのです。何十年かして、まだ使えるのはこういうシンプルな作りのクルマだったりして・・・そんな気さえするのです。

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たまたま4番に停めたキャトル。

車山に行くためだけでは勿体無い!

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このクルマのオーナーは、結構今でも普段んおアシにされている方がいらっしゃるようです。フランス車好きの方の中でも、一般論として、2CVではなかなか日常のアシにちょっときついと思っても、キャトルなら問題ない、という壁があると言う話を時々聞きます。まあ、2CVもあのクラスエンジンの大きさではかなり長距離もこなせる方でしょうが、確実にこの二台の間に壁があり、区別されているのは事実と言えそうです。年に一度、車山高原にフレンチブルーミーティングに行く為のクルマ、古いフランス車だからといって、それは勿体無い話かもしれません。まあ、オリジナルではエアコンはありませんが、そんなのもこの時代ですので方法はあります。しかし、フランス車の窓から吹き込む風に心地よさも是非味わっていただきたいところ。人生を豊かにするキャトル。私も一度、手元においてアシにしてみたい、そんな気がした400キロ、2日間でした。

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ちなみにアウトレーヴさん、この「ギザ」ルノーマーク、キャトルにペイントするにあたり、原案をフランスのルノーに確認しているそうで、「ペイントしたキャトルを作りたいのだが」という要望に対し「oui」の返事がほどなくしてきたと言う。そういう対応のエピソードを聞くと、余計に愛着がわいてしまう。

・フレンチブルーミーティングの公式サイトはこちら
http://www.kurumayama.com/fbm/

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