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コラム

更新2019.04.17

「変な謙虚さ」は美徳ではなく、能力を下げる悪癖?今後、ライターに求められる資質とは

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糸井 賢一

何をもって「ライター」とするか、あるいは自称していいのか?定められた基準はなく、先達ライターの線引きも「ライターという肩書きで名刺を作ればライターだ」や「ライティング一本で食っていけなければライターを名乗ってはいけない」と様々です。

さすがに名刺を作ったものの、一度も文章を発表したことのない状態でライターを名乗るのははばかられますし、何らかの副業を持っている著名ライターも多くいらっしゃいます。ここでは便宜上、「書籍やWebメディアといった商業媒体上にてライティング活動を行い、定期的に発表をしている人」と定義し、話を進めます。

これからライターを目指すならば、他の収入口も確保しておこう



▲ライターになるための資格は特にない。ライターを自称すれば、それで一人前のライターとして扱われる。あとは仕事を勝ち取るだけだが、それが何より難しい!

自動車ライターに限らずWebメディアの隆盛により、ライターを希望する方は大変、多くなりました。需要を供給が上回れば(この場合、募集案件数を希望者数が上回れば)市場原理によりクライアント側が有利となり、報酬の低価格が進むのは避けられません。もちろん「ライターにも生活がある」と理解し、ある程度の報酬を提示してくれるクライアントもいます。しかしそういった心あるクライアントに巡り会うまでは、生き馬の目を抜く乾いた荒野を進まねばなりません。生々しいことを言いますが、これからライターを目指すならばライティング以外の収入先、あるいは切り崩せる蓄え、実家住まいといった支出を抑えられる環境が必要となります。

余談になりますが現在、一部のライターにより「低すぎる報酬の仕事は受けず、報酬の正常化を求める」といった旨の活動が進められています。けれど、うまく広まっていないのが実情のようです。

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必要なのは「才能」でも「文章力」でもなく、「普通のことを普通にできる」こと



ライターを志す人に「ライターに求められる資質はなにか?」と問うと、多くの場合「才能」や「文章力」といった答えが返ってきます。もちろん才能や文章力が高いのに越したことはありませんが、国語が義務教育終了時相当に達してさえいれば、それほど問題はありません(この国語が義務教育終了時相当というのが、ほとんどの人がクリアできていない極めて高い要求だということは、今回の話では置いておきます)。自動車ライターを含めた商業ライターに最も必要な資質は、もっと地道なもの。「普通のことを普通にできる力」だと私は考えます。

「普通のこと」は、例えば「必要な時は、すみやかに連絡を入れる」とか、まさにクライアントへの「ほうれんそう(報告&連絡&相談)」です。「会社員と同じかよ!」と思われるかもしれませんが、クライアントは会社なのですから避けて通れません。むしろフリーランスは守ってくれる組織や法律がない分、会社員よりも徹底しないと、あっという間に切り捨てられます。「そういう会社員のルールが嫌いだからフリーランスになりたいのに!」といった気持ちも、とても理解できます。事実としてフリーランスはルールに縛られない一面もありますから、「ルールに縛られない面がある一方で、より一層、ルールを守らないといけない面もある」という認識でいいと思います。

今までもライターには「営業力」が必要でしたが、これからはもっと広い意味での「営業力」が必要になります。これまた「会社員と同じかよ!」って声が聞こえそうですね。でも、いくら「才能」や「文章力」を持っていても、クライアントに伝えられなければ持っていないのと同じなのです。広い意味でというのは「企画の持ち込み」といった動的なものだけでなく、「クライアントがライターを欲しがった際、すぐに自身が見つかるよう個人でWebサイトを運営するといった、事前の手を打っておく」という静的なものも入るからです。近年では「note」のようなクリエイター向けのWebサービスもあり、これらを活用してサンプルの文章を掲載しておくのも意味はあると思います。意外に編集者は、これらWebサービスにも目を光らせています。


▲自動車ライターを目指すとしても、プラスアルファの知識と経験が付加価値を生み身を助ける。自動車以外にも好きなジャンルや趣味を作っておこう

クライアントより求められるわけではありませんが、自身を守り、ライターを長く続けるために「意思力」は必須です。自分の持つ力を安定して出すには、どうしたって「体力」と「睡眠時間」が必要になります。キャリアを積めば積むほど、その必要性を思い知るのですが、軽くてもいいから運動をし、睡眠時間を確保するといった対応に踏み切れない方が圧倒的です。次第に消耗して能力を出せなくなり、「これが自身の限界」と決めつけて消えていくライターが、どれほど多いことか…。

悪いと感じた習慣を止め、いいと思ったこと習慣を継続するために必要な「意思力」。文章力自体を変えるわけではありませんが、身につけておかねばライターを続けることはできません。

「変な謙虚さ」は美徳ではなく、能力を下げる悪癖



最後に自動車ライターを含め、これからのフリーランスに必要な資質についてお話しします。それは日本人に深く根付く「変な謙虚さ」を忘れる力です。勘違いして欲しくないのですが、普通の「謙虚さ」は社会で生きていく上で絶対に必要です。改めねばならないのは、例えば「●●が上手いね」と褒められたのに、「いえいえ、そんなことありません」と否定してしまう「変な謙虚さ」です。かつてはこういう言動は美徳とされていました。しかし昨今では「自信のなさのあらわれ」や「褒めてくれた相手に対し、それを否定する失礼な言動」と、言葉通りの意味合いに取られてしまいます。また近年、自身を貶める言動は、それが口先だけのことであっても本当に能力を下げてしまうことが明らかになり、「変な謙虚さ」を忘れる重要性はますます高まったといえます。

得意なことは得意、好きなことは好きと素直にいえる人を、人は応援してあげたくなるものです。そして多くの人の支援があってこそ、フリーランスは仕事と報酬をいただけ、生きていけます。もし「変な謙虚さ」を持っている自覚があるのなら、早めに改めるべきでしょう。「変な謙虚さ」を美徳とするクライアントは、これからますます減っていくのですから。

[ライター・画像/糸井賢一]

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