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ドイツ現地レポ

更新2022.10.27

時価総額は日本円で約11兆円!上場したポルシェに対するドイツ国内の反応は?

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守屋 健

2022年9月最初に噂となっていたポルシェの上場。それは実際に9月29日に実行され、ポルシェとしても、ポルシェが属するフォルクスワーゲン・グループとしても、約91億ユーロという大きな利益を手にすることに成功しました。



このことについて、ドイツ国内ではどういう反応があるのでしょうか。ドイツ在住のライターが現地からレポートします。


■好調な滑り出しを見せたポルシェの上場



9月29日、フォルクスワーゲンの子会社であるポルシェはフランクフルト証券取引所に上場しました。公開価格は上場前に想定されていた価格のほぼ上限の82.5ユーロ(当時の為替レートで約1万2千円。以下すべて当時の価格)で、初値はさらに1.8%上回る84ユーロをつけるなど、非常に好調な滑り出しを見せました。


現地ではもっぱらIPO(新規株式公開)と呼ばれることの多いこの手続きは、ひとまず成功をおさめたと言われており、時価総額は780億ユーロ(約10.9兆円)にのぼりました。これは、ドイツの通信における最大手・ドイツテレコムが1996年に上場した時に次ぐ、ドイツ史上2番目の大型上場となりました。


この時価総額は、ドイツ国内のライバル企業たちを圧倒しています。メルセデス・ベンツの時価総額は約560億ユーロ、BMWは約460億ユーロにとどまっており、スポーツカーメーカーとしてはもちろん、ドイツのすべての自動車ブランドの中でも、もっとも価値の高いブランドということを示したといえるでしょう。


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■ポルシェCEO、オリバー・ブルーメ氏の思惑とは?



今回フォルクスワーゲンが公開したのは、議決権のないポルシェの優先株12.5%で、ポルシェの経営権は引き続きフォルクスワーゲンが握っています。


このことについては、ドイツでも意見がわかれるところです。ポルシェは以前のような独立性を再び獲得した、という意見もあれば、ポルシェはフォルクスワーゲン下のブランドにとどまることになり、今回の上場で得た利益はすべてフォルクスワーゲンが吸い上げられた、という意見もあります。


意見が割れる大きな原因は、現在のポルシェのCEOであるオリバー・ブルーメ氏が、フォルクスワーゲン・グループのCEOも兼任しているからです。彼は今回の上場の結果について、ドイツのメディア大手ターゲスシャウのインタビューに対し「歴史的な日になり、非常に感慨深い」と語っています。



ブルーメ氏がインタビューに答えた内容によると、今回の結果はポルシェが近年の様々な危機を乗り越えてきたことを投資家が評価してくれたからだ、今回得た利益はEVにおけるバッテリーやソフトウェア、新車種の開発や工場の建設、なにより従業員の給料に還元していきたい、としています。


また彼は、フォルクスワーゲンとポルシェが「独立性も保ちつつ協力関係もあるという、お互いにとって良い関係を保っている」と強調。ただ単にグループが一丸となって開発を進めるのではなく、いくつかの独立した組織がそれぞれ開発を進めるメリットをアピールしました。


■ドイツ国内では上場について否定的な見方も強い?



しかし、ドイツ国内において「上場する」という手続きは、一時的な資金調達の方法にしかならない、という批判的な意見も根強く存在します。というのも、先に名前を出したドイツテレコムしかり、他の様々な企業の上場事例を振り返ってみると、長期にわたって価値を維持できている企業はごくわずかしかないからです。


まして、自動車業界がEVに一気に舵を取る中、ニッチな「スポーツカー」を中心に生産するブランドが今後どれだけの市場価値を維持できるかは「極めて不透明で、確実性がない」という意見も多く見られます。


また、オリバー・ブルーメ氏が、今回のポルシェの成功に味をしめて、フォルクスワーゲン・グループが所有する他のブランド、つまりランボルギーニ、ベントレー、ブガッティ、アウディなどの上場も行うかもしれない、とささやかれています。


ポルシェの上場は、ドイツ国内はもちろん、世界に対しても大きなインパクトを与えました。EV開発には巨額の資金が必要であることを暗に示した今回の上場でしたが、今後ポルシェの株価はどのように推移していくのでしょうか。しばらくは目が離せない状態が続きそうです。


[ライター/守屋健]


 


 

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