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更新2022.09.04

「最新のミニカーは最良のミニカー」なのか?ポルシェとミニカーの意外な共通点とは

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北沢 剛司

数あるミニカーのなかでも、特に高価なコレクター向けのミニカーを買う場合に気になること。
それは、そのミニカーの価値が将来的に上がるのか?あるいは下がってしまうのかということではないでしょうか。


せっかく購入するのであれば、将来的に価値が上がるミニカーを買いたい。誰もがそう思うはずです。
そこで今回は、価値の下がらないミニカーの例として、ポルシェ特注のミニカーセットをご紹介。価値の下がらない理由について考えます。



■ポルシェとミニカーの意外な共通点とは?


ポルシェを語る際によく使われるのが「最新のポルシェは最良のポルシェ」という言葉です。スポーツカーとしての操縦性や動力性能、そして運転の悦びを極めるために常に進化・深化を続けていくのがポルシェの使命。レースからのフィードバックでクルマを進化させていくスポーツカーメーカーの企業姿勢を端的に表した言葉といえます。


それでは、ミニカーの世界ではどうでしょうか。


ポルシェと同じように「最新のミニカーは最良のミニカー」という言葉は確かに当てはまります。素材や塗装、繊細なつくり、そして何よりボディの表現方法が格段に向上し、実車の雰囲気をそのまま表現した製品も少なくありません。



では旧いミニカーには価値はないのでしょうか?


それはスポーツカーと同様に買った人の価値観で決まります。


例えば、スポーツカーに絶対的な速さやパフォーマンスを求める人にとって、型落ちのスポーツカーは価値のないものでしょう。常に勝利を目指して製作されるレースカーと同じ感覚です。



ミニカーも絶対的な出来の良さを追い求めるのであれば、最新のミニカーがベストです。最近の製品は非常にクオリティが高いため、旧いミニカーを売って最新のミニカーを手に入れれば、確実に満足度の高い製品が手に入ります。


その一方で、ポルシェと同じようにクラシックならではの魅力を備えた製品もあります。



確かに絶対的な出来でいえば最新の製品に及ばないものの、その価値が目減りしないアイテムです。ポルシェでいえば、「ポルシェ ドライバーズセレクション」でかつて販売されていたミニカーセットが当てはまります。このセットは「ミニチャンプス」ブランドで知られるドイツのポールズ・モデル・アート社が製造したもので(一部例外あり)、このセットのために製造されたミニカーは基本的に再生産されていません。その意味においても独自の価値を維持しています。


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■ル・マン優勝車をセットにした「The History of Le Mans Collection」



最初にご紹介するのは「The History of Le Mans Collection」。その名の通り、ル・マン24時間レースに出場した歴史的な車両を7台セットにしたアイテムで、限定8,000セット。私が当時購入した価格は40,800円で、当時から高価なアイテムでした。



製造は前述の通り「ミニチャンプス」のポールズ・モデル・アート社が担当。1951年にル・マン24時間レースに初参戦してクラス優勝を挙げたポルシェ 356から、1996年のポルシェ 911 GT1まで、各年代で活躍した車両がセットになっています。



製品自体は旧いものですが、各年代のカラーリングを美しく表現。ミニチャンプスならではの精密感は現在の目で見ても魅力的です。



このミニカーセットには、台座のサイズに合わせて小冊子をセット。このような非常に凝った製品内容がエクスクルーシブ性を高めています。



小冊子の中身は各車両の解説で、独・英・仏・伊の4ヶ国語で表記されています。さらにミニカーの紙箱の背景にはパッケージのイラストがあしらわれ、統一感を感じさせます。クローズドパッケージのため、1982年のポルシェ 956 Cではロスマンズのロゴも最初から再現。通常は再現されないタバコロゴが入っていることも魅力のひとつといえます。


■ドイツのパトロールカーをセットにした「History Collection Police Cars」



次にご紹介するのは「History Collection Police Cars」。ドイツで使用されたポルシェのパトロールカーを4台セットにしたアイテムで、限定5,000セット。当時は売れ残り気味だったので割引価格で買った記憶があります。



「ポルシェ ドライバーズセレクション」で販売されたミニカーセットは、歴代のクラシックモデルやレースカーに関するものがほとんど。そのため、いわゆる「はたらくクルマ」のパトロールカーを製品化したこのセットは、ある意味貴重な存在です。



こちらも製造は「ミニチャンプス」のポールズ・モデル・アート社が担当。パトロールライトやアンテナといった各車両のディテールを精密に再現し、コレクターズアイテムにふさわしいクオリティを備えています。


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■各年代の911ターボをセットにした「The History Collection 911 Turbo」



最後にご紹介するのは「The History Collection 911 Turbo」。歴代のポルシェ 911ターボを4台セットにしたアイテムで、限定5,000セット。私が当時購入した価格は23,400円でした。



930/964/993/996の4世代に止まっているのは、このセットが996ターボの発売を記念して製作されたため。そのため、ドイツのcar.timaというミニカーショップでは、この続編というべき同様の製品内容で後期型の996ターボ、997ターボなどを独自に製品化していました。



このセットの特徴は、前述のル・マンセットと同様にパッケージのイラストをあしらった紙箱の背景と小冊子が付いてくること。なかでもこのミニカーを特別な存在にしているのが、シルバーの外装色とバーガンディ内装の組み合わせ。ドイツのナショナルカラーであるシルバーに落ち着いた色調の赤みを組み合わせることで、特別な仕様であることを主張しています。


ポルシェはこの特別な内外装の組み合わせで、歴代911、911タルガ、スピードスター/ロードスターなどのセットを同時期に発売。それらは当時からプレミア価格で取引されることが多く、現在も入手困難な状態が続いています。


■特別なミニカーには普遍的な価値がある



今回ご紹介した「ポルシェ ドライバーズセレクション」のミニカーセットは、今から20年近く前に発売されたもの。ミニカーの製造技術は当時から飛躍的に向上しているため、単純に出来の良さを比較すれば、現在の製品のほうが素晴らしいことはいうまでもありません。


それでもこれらのミニカーセットのなかには、いまだに高値で取引されているものがあります。その理由は、このミニカーセットが当初から普遍的な価値を持つコレクターズアイテムとして企画されていたため。現在の製品でここまで凝った内容のセットを企画したら、下手をすると10万円クラスになってしまうかもしれません。


そう考えると、「最新のミニカーは最良のミニカー」とは限らないといえそうです。


[ライター・画像/北沢剛司]

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