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ドイツ現地レポ

更新2017.06.22

ポルシェの新たな一員はミツバチ?ポルシェの養蜂プロジェクトが本格始動!

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NAO

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「ポルシェが6万の従業員を新たに雇用!」というニュースを聞いて驚くのは、ドイツ在住の筆者だけではないはずです。業績がよかったため、今年のボーナスは全従業員に9111ユーロ(911にちなんで)を支払ったという『太っ腹ポルシェさま』でも、なにもそこまで?と思い、真相を探るべく、同社ホームページをのぞいてしまいました。すると、ポルシェの一員となったのはなんと人間ではなく、「ハチ」。これはポルシェが養蜂場を事業誘致した、という話で、ミツバチ、そして牛や馬などの動物たちがポルシェに仲間入りしたというのです。

ドイツ人にとって欠かせない「ハチミツ」




ミツバチの贈りものであるハチミツは、ドイツ人の食卓に欠かせないものです。食べ方や蜜の種類にもこだわりがあり、専門店などもよく見かけますし、スーパーでさえ品揃えは驚くほど豊富です。ドイツは、はちみつの品質基準を定めた「ハチミツ純正法」という食品法もあり、世界でも「ハニースタンダート」とよばれている国です。

それほどハチミツは重要な存在なのですが、世界的にミツバチの数は年々減少しています。ドイツでもこの問題は深刻で、国内560種のミツバチの約半分が「絶滅危惧」のカテゴリーに入っています。気候変動・病原菌・免疫機能不全・農薬や殺虫剤・遺伝子組みかえ農作物でミツバチたちの生態系が破壊されているのが原因といわれていますが、ドイツに約250万いた養蜂家の数もここ60年で100万以下に激減しました。

そこで、ドイツのハチミツを守るべく立ち上がったのがポルシェでした。ポルシェは今年5月よりライプツィヒ工場敷地内にて、養蜂スペースを提供し、25の養蜂家たちを誘致したのです。

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ポルシェの養蜂プロジェクトが本格始動


ドイツ東部に位置するポルシェ・ライプツィヒ工場は、生産力強化のために2002年に設立されました。広大な敷地にはテストコースもそなえており、生産はもちろん、一般訪問者向けの見学、イベントも行っているオープンな施設です。年間3万台超の生産能力をもち、現在は人気上昇中のカイエン、マカンとパナメーラの生産を担当しています。



養蜂場はライプツィヒ工場のオフロードゲレンデ内にあります。オフロードゲレンデの総敷地面積は132ヘクタール。オフロード面積は33ヘクタールを占め、残り99ヘクタールを農牧地帯とし、うち40ヘクタールが養蜂エリアとなっています。

もともとオフロード敷地内は自然が豊富でしたが、さらにミツバチが集まる「さんざし」、「アカシア」、「シナノキ」を植樹。養蜂エリアにて飼われるミツバチは各養蜂家にて6万匹、合計で1億5000匹となっています。さらに野生ではすでに絶滅しましたが、ドイツが家畜種として復元させたオーロックス75頭とイギリスの希少種エクスホーン・ポニー27頭を保護飼育することにしたのです。そのほか、以前よりカエル、野鳥、野うさぎ、こうもりなどもこの敷地内に生息しています。



誘致後初のハチミツは6月中に収穫され、1つの養蜂家敷地から年間約55㎏収穫できる見込みとなっています。収穫後のハチミツはポルシェ・ライプツィヒ工場内で加工され、まず同工場の社員食堂にて提供されるようです。また、今年秋からはカスタマーセンターにて一般販売もする予定となっています。私たちが「ポルシェ製」ハチミツを味わえる日も近いかもしれませんね。

ポルシェは一番「地球」を考える企業だった




今回の養蜂家の誘致事業を通して、ミツバチの個体種を守り、生態の多様性を保つことができる非常に価値の高いプロジェクトだとドイツの農林水産大臣もポルシェを高評価しています。排気ガスによる大気汚染をはじめとする環境問題に対し、各自動車メーカーはエコロジー技術をクルマへ採用することで改善に取り組んできています。その中でもポルシェは、自社製品への配慮はもちろん、その環境問題によって特に生態系がおびやかされる動植物の保護にみずから力をいれてきた唯一の企業でもあるのです。



今回のプロジェクトだけではなく、ポルシェは以前から各工場敷地内外に湿地・草原地を増やし、生態系保護に取り組んでいました。これは日本でも、そしてドイツでもあまり知られていない話なのかもしれません。ポルシェとハチミツ、なかなか結びつくことがないであろうこの関係。しかしポルシェほど未来の地球環境を考えているスポーツカーメーカーはほかにいないのではないでしょうか。

[ライター・画像/NAO]

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