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更新2025.11.25

プラレール号の記録簿 vol.18:永遠につきまとう?「RSルック」問題について考える

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松村 透

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先日、とあるイベントにプライベートで参加したときにも聞かれました。「これホンモノですか?」という問い。まさに「似て非なるもの」な、ホンモノのカレラRS2.7とプラレール号ではありますが、どう頑張ってもオリジナルには近づけられない点がいくつかあるのもまた事実です。


■これまで何人に聞かれたか覚えていない「ホンモノですか?」という質問



イベント会場やSA/PAなどにプラレール号を止めていると、かなりの確率で聞かれるのが「これ、ホンモノですか?」という質問。聞いている本人に悪気はありません。好奇心によるものだと思います。そしてこちらが「RSルックなんですよー」と答えると、安心したようなガッカリしたような、さまざまな表情をします。これは本当に人それぞれ。ホンモノじゃなくてゴメンナサイ。


ロールケージが組み込まれている時点で(クレーマー製の当時モノのロールケージなので実はレア)、ホンモノのカレラRS2.7にはやらない(もったいない)と思う人がいても無理はありません。おそらく自分だってやらないはず。


ここでマニアックな人は「ホンモノと何が違うんですか?」と突っ込んだことを聞いてきます。そもそも搭載されているエンジンがカレラRS2.7に採用された「83型」ではありませんし、パステルブルーのボディカラーもオリジナルのカレラRS2.7には(スペシャルカラーを含めて)設定がありません。もっとも近い色は16台のみ生産されたグレイサーブルーでしょうか。オフィシャルのミニカーでも市販されていたので、並べてみると雰囲気が近いことが分かるはずです。


…というわけで見比べてみました。プラレール号とグレイサーブルーのミニチュアモデル(1/43スケール)を真横から見るとこんな感じです。



ちなみに、「ホンモノ」のカレラRS2.7を所有するとあるオーナーさんは、アイリッシュグリーンという珍しいボディカラーゆえ、同じような質問をされるそうです。たしかにダークグリーンのカレラRS2.7があるなんてイメージないですよね。


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■簡単そうで難しい? ホンモノとRSルックの見分け方について



もっとも確実な見分け方は車体番号です。ホンモノのカレラRS2.7であれば「9113600011〜9113601590」のどこかに該当します。フロントフードを開けたところに貼られているプレートの打刻を確認すればいいのですが、まさかオーナーに「プレート見せて」とは、よほどの強心臓の持ち主(鈍感力?)でなければいえないでしょう。人によっては「なんでアンタに見せなきゃならないんだ」と、不機嫌になってしまいますから(笑)。それ以外に見分ける方法がないのか…といえば、素人目にはこれがなかなか難しい。


パッと見では「タコメーター」がひとつの目安です。カレラRS2.7は7200回転がレブリミットなので、赤いラインが「7」よりも下にあります。これが911Tベースだと赤いラインが「7」よりも上にあるので「見た目だけカレラRS2.7仕様」であれば、タコメーターがひとつの判断基準となりそうです。ただし、プラレール号は911Sがベースなので、カレラRS2.7と同じ7200回転レブリミットのメーターです。つまり、タコメーターだけでは判断がつかないということ。ややこしい…。


結論としては、パッと見でホンモノのカレラRS2.7か、はたまたRSルックなのかを見極めるのはなかなか難しい場合が多いということを意味します。


■日本における「カレラRS2.7=白×赤デカール」のイメージが強い理由とは?



日本でカレラRS2.7といえば「白×赤デカール」のイメージが強いです。これには理由があって、当時の正規輸入代理店だったミツワ自動車が「白×赤デカール」の仕様を最初に発注したことが挙げられます(後に他の仕様も発注しています)。事実、白いボディカラーのデカールには赤だけでなく青・緑・黒があり、新車でオーダーした初代オーナーは自由に選ぶことができました。いい換えると、それ以外の色の「Carerra」デカールはレプリカなのです。


そして、なんといっても「サーキットの狼」の存在です。主人公「風吹裕矢」にとって宿命のライバル「早瀬佐近」の愛車が「白×赤デカール」のカレラRS2.7でした。このイメージが強烈に残っているスーパーカー世代の方も多いはず。



言うまでもなく、プラレール号のデカールもレプリカ。一見すると黒に見えますが、実はダークネイビーを選んでいます。見た目にはほぼ黒なので、まだ気づかれたことはありません。



総生産台数1580台のうち「白×赤デカール」は185台、「白×青デカール」は205台なので、世界的にはこちらの方が数が多いんです。ちなみに「白×緑デカール」は60台と少数派です。正規輸入車でも各仕様が日本に輸入されています。しかし、カレラRS2.7のボディカラーにおける最大勢力は「ライトイエロー」で、生産台数は296台。「白×赤デカール」はその次に多いのです。


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■最近、RSルックが減った理由について考える



それこそバブル期には、オリジナルのナローポルシェよりもRSルックの方が多く市場に出まわっていた記憶があります。なかにはRSルックのコンプリートモデルとして販売していたポルシェショップもあったほど。


しかし、近年はRSルックよりもオリジナルの方が多い気がします。その理由を自分なりに考えてみました。まず1つめとして、本来の姿である「オリジナルの良さが見直されたこと」、次にここ10数年続いている空冷バブルに伴う「オリジナルの方が価値が高い」こと。さらに「ベースとなるナローポルシェが高くなりすぎたため、わざわざ改造する人がいない」ことが考えられます。少し前まで、200万円台のナローポルシェがゴロゴロしてたんです。500万円くらいの予算があれば、そこそこのコンディションのナローポルシェを手に入れて、エンジンや足回りをその道のプロに仕上げてもらう・・・なんてことができたんですね。


それならなぜプラレール号を「RSルック」にしたのか?と疑問に思われても不思議ではありません。その理由として「手に入れたときの状態がエンジンレスであった」こと、そしてその時点で「RSルックだったこと」が挙げられます。もしもナンバーマッチングのエンジンがそのまま載っていたら、レストアする際にオリジナルの姿に戻しただろうといまでも思います。しかし、手に入れた時点で本来の姿に戻すのが極めて困難な状態であり、レストアをする際に自分色に染めるのだから、最後まで責任を持って維持していこうという覚悟の表れでもありました。


■まとめ:プラレール号がどう思っているかは分からないけれど…



オリジナルでは「タンジェリン」という名のボディカラーだったプラレール号。少なくとも鮮やかなオレンジから白、そして自分のところに嫁いできて、パステルブルーに全塗装。さらにRSルックの状態のままレストアされ、現在にいたります。実はプラレール号、正規輸入車(D車)なんです。ファーストオーナーはとんでもないお金持ちだったんでしょうね…。


ここ2、3年でプラレール号と同じ70年製の911S(D車)に接する機会が何度かありました。いずれもほぼオリジナルのコンディションを保った個体ばかり。ほぼオリジナルの70年製911S(D車)ということは、ひとたび市場に出れば郊外なら一軒家が買えるくらいの値段です。躊躇なく買っていくのは例外なく現代のお金持ちばかり。財力では歯がたたないので、せめて愛情だけはお金持ちのオーナーに負けないくらい注いでいこうと考えています。


ゆくゆくは「現存しているだけでも価値がある」という時代が訪れることを願いつつ、コンディション維持に努めていきます。


[画像:Porsche / 撮影:松村透]


 


 


 


 


 


 

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