アイキャッチ画像
ドイツ現地レポ

更新2019.03.21

端正なデザインのカブリオレ、「プジョー205CTI」。ドイツでも再評価され、じわじわと値上がり傾向に!

ライター画像

守屋 健

変わりやすい天気の続く、3月も後半に入ったドイツの首都ベルリン。街の所々にある公園では、日本から持ち込まれた梅や桜が開花の兆しを見せる中、気温は未だ10度前後の寒い日が続いています。せっかくカブリオレに乗って外出するも、突然降り出す雨に慌てて幌を閉める様子もしばしば。3月の終わりにはもうサマータイムが始まりますから、街の人々も「春が待ちきれない!」という感じで、なんとなくそわそわした雰囲気です。

今回ご紹介するクルマも、せっかくのカブリオレにもかかわらず、不意の小雨の下でひっそりと幌を占めて駐車していました。近年ヨーロッパでも再評価の機運が高まり、じわじわと値上がりしているプジョー205シリーズ。そのカブリオレモデルである「205CTI」の魅力に、今改めて迫ります。

プジョーを救った救世主




プジョー205といえば、言わずと知れた1980年代前半から1990年代後半を代表するコンパクトカーです。ピニンファリーナとプジョーの合作の、美しく流麗なデザインのハッチバックは、1983年に発売されるや否や瞬く間に市場を席巻。1998年に生産を終えるまでに、全タイプ合計で約527万8千台を売り上げる大ベストセラーとなりました。

1970年代まで、プジョーはどちらかといえば「地味で堅実だが、質の良い実用車を長いスパンで生産する会社」というイメージで、かつ1970年代末には深刻な赤字経営に陥っていました。プジョー205は、たった1車種でブランドイメージを一気に若返らせ、優れた販売実績でプジョーを赤字から救う立役者となったのです。

外車王バナー外車王バナー旧車王バナー旧車王バナー

世界的なベストセラーに




日本においては、ホットモデルである「205GTI」と、カブリオレである「205CTI」が販売の中心でしたが、ヨーロッパでは純粋な「大衆車」として、質素かつベーシックなグレードが販売の中心でした。「GTI」「CTI」には1.6リッターまたは1.9リッターの直列4気筒SOHCエンジンが搭載されていましたが、ヨーロッパでは1.0リッター、1.1リッター、1.3リッター、1.4リッター、1.6リッター、1.9リッターのガソリンエンジンと、1.8リッター、1.8リッターターボ、1.9リッターのディーゼルエンジンをラインナップ。伝説的なグループBホモロゲーションモデルの「205ターボ16」まで含めると、膨大な数のエンジン・バリエーションが存在したのです。

プジョー205は、1985年から1986年にかけて、ドイツにおいても「最も成功した輸入車」となりました。ドイツ国内での45万台以上の販売実績は、同じくプジョーの「206」が追い抜くまで、同社がドイツで最も多く販売した車種として記録に残っています。

日本で販売されていた「205CTI」は、当初は1.6リッターの115PS。のちに1.9リッターの100PSとなり、最終的には120PSを発揮することになるのですが、ドイツでは結局120PSのバージョンは販売されませんでした。実はこの120PSのエンジン、ホットモデルである「205GTI」に搭載されていたエンジンと同じもの。日本での最終型はこのエンジンと4速ATが組み合わせられて販売されましたが、ドイツでの販売の中心はやはり5速MTでした。

高まる再評価の機運




「205CTI」の美しいデザインは、名門カロッツェリア・ピニンファリーナの手腕が存分に生かされています。設計と製作は、ピニンファリーナの手によるもの。当初手動だった幌の開閉も、後期には電動式となり、手軽に乗れる美しいカブリオレとして、男性のみならず女性にも人気の車種となりました。今見てもまったく古さを感じさせない、クルマのデザインにおける「模範解答」のひとつ、とまで言うと、少し言い過ぎでしょうか。

「205GTI」は、それほどパワーのあるホットハッチではありませんでしたが、軽量なボディとレスポンスの良いエンジン、そして「猫足」と呼ばれるしなやかな足回りが生む素晴らしいハンドリングで、現在に至るまで「ホットハッチのベンチマーク」として君臨しています。「205CTI」はカブリオレではありますが、走りはまさに「205GTI」ゆずりと言って良いでしょう。

「205CTI」はオープンモデルでありながら1トンを切る軽量ボディで、プジョー独特の「猫足」も健在。燃費もよく、ハンドリングもよく、デザインもよいという、三拍子そろったコンパクト・カブリオレとして、多くの人々に愛されてきました。

世界的にじわじわと値上がり傾向にあるプジョー205シリーズ。まだ電子デバイスがクルマを支配し始める前、アナログ感が色濃く残るこの年代のクルマが、今再び注目を集めています。プジョー205CTIのプリミティブな操縦感覚は、今後も多くの人を魅了していくことでしょう。

春の到来後、幌を開け放ったプジョー205CTIと遭遇する機会もあるかもしれませんね!

[ライター・カメラ/守屋健]

外車王SOKENは輸入車買取20年以上の外車王が運営しています

外車王SOKENは輸入車買取20年以上の外車王が運営しています
輸入車に特化して20年以上のノウハウがあり、輸入車の年間査定申込数20,000件以上と実績も豊富で、多くの輸入車オーナーに選ばれています!最短当日、無料で専門スタッフが出張査定にお伺いします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。