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カーゼニ

更新2016.10.24

カーキチたるもの、年金は車に突っ込んでフィナーレを飾れ

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伊達軍曹

今現在こそ、都内住みにもかかわらず2台分の月極駐車場を借り、勝手気ままなカーキチ生活を送っている不肖筆者ではある。しかし齢40代後半ともなれば、そろそろ「将来」のことを真剣に考えねばなるまい。

若衆らにとって「将来」とは、基本的には希望に満ちあふれたものであろう。しかし筆者のような年齢の者にとっての「将来」とは、「定年退職後、どうすればカーキチ生活を維持していけるか?」あるいは「そもそも生活そのものを維持できんのか?」というのが論点となる単語だ。

「評論家先生」以外のライターは早期定年退職となる?


まぁ筆者の場合は会社員ではなく自営のライターなので、本来は定年もクソもないわけだが、しかし「実質的な定年」は確かに存在している。

……考えてもみてほしいが、あなたは「フリーライターの遠藤幸吉、60歳です。今日はホットペッパーグルメ『激選スイーツ大特集!』の取材と撮影でお邪魔しました」などと店頭でやっているライターを見かけたことがあるだろうか? あるいは身体を張った面白ネタをロケットニュース24に発表している58歳のフリーライターがいるか?

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いない。そういった仕事ができるのは、せいぜいギリギリ40代までなのだ。それ以降の年齢になっても執筆業にてしっかりとゼニを稼ぎたい場合は「先生」になるほかないのである。

例えば自動車関係でいえば、「伊達軍曹先生、いつも大変お世話になっております。で、このたび日本市場に導入する○○GTにつきまして、公式サイトでインプレをティーザー的に先行掲載したいのですが、つきましてはぜひ伊達先生の玉稿を賜りたく……」などと、広告代理店の者に手土産付きで言わせる立場にならないと難しいだろう。いちライターのままでは、50代は雑誌やウェブサイトの仕事でギリギリなんとかなったとしても、60歳ともなれば完全に「単なる失業者のおっさん」である。

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「早期肩たたき」となるリスクは会社員にも?


ということで、不肖わたくしも「失業者のおっさん」になるのは避けたいため、なんとかセンセイになれないかとは思うが、実際は難しいだろう。席はすでに埋まっており、仮に空いたとしても、わたくしのようにトンチキな中古車原稿ばかりを書く者のところに、大手広告代理店が手土産を持って来日する可能性はきわめて低い。

となれば、なんらかのオリジナルな自衛策というかサバイバル戦略を練り、来るべき引退後の人生に備えるしかないわけだ。ということで、どうせヒマなので、これからそれを考えてみたい。

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ここまで読んで「あ、そう。まぁオレにはあんま関係ないな」と思った40代ぐらいの会社員諸兄もいるかもしれない。……たしかにあなたが例えばNTTドコモとかにお勤めであれば、現在の高給と定年退職後の確かな厚生年金および企業年金により、定年後も安泰なカーキチ人生を送れる可能性は高い。しかしそれとは全然違うビミョーな会社にもしもお勤めであるならば、「あなたもわたしも老後のリスクについては似たようなもんじゃないですか?」と、いちおう申し添えておきたい。

人口減少で住宅がダブついたら中古戸建てを格安購入


エニウェイ、今後の戦略・戦術を考えてみよう。時は流れ、今は「2030年」であるとイメージしてみる。そのとき不肖筆者はおよそ60歳。50代は、フリライターとしての仕事量は年々シュリンクしていきながらも「生活の固定費を減らす」「土下座営業をしてでも、小さな安い仕事をニコニコ引き受ける」「スーパーのお刺身が特売価格になるまで近隣で待機する」などの策でなんとか乗りきった。が、60歳となってライター仕事はさすがに途絶えた。しかし年金が支給されるまではまだ5年ある……というタイミングだ。そのとき、年金支給開始年齢が今と同じ65歳かどうかはわからないが。

で、そうなると家賃の支払いも困難になりホームレス化するおそれがあるわけだが、しかし心配はいらない。都心部は2030年においても人口が増え続け、不動産も高騰が続いているが、それは都心部だけの話。2030年は、首都圏であっても都心から離れた埼玉、千葉あたりは人口減少により住宅がダブつき、資産価値もダダ下がり。そのため、おそらく500万円も出せば中古の戸建てが買えるはずだ(たぶん)。

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ということで、現役時代に貯めたお金の一部を拠出し、わたしは海が近い千葉県某所で中古戸建を格安購入する。これで「住む場所の問題」はとりあえず解決である(ちなみに固定資産税とかの話は、どうせ雀の涙レベルなので割愛する)。
【ここでのポイント:現役時代にそれなりの貯蓄(2000万円ぐらい?)は形成しておく】

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釣りと車を楽しみながら「小さな幸せ」を追い求める


お次は「生活費」だ。贅沢を言えばキリがないが、つつましく暮らすことを心がければ、下記ぐらいでなんとかなるはず。60歳を越えたわたしに派手な暮らしは必要ない。

●食費:3万円/月(1日1000円の食材でなんとかするイメージ。あとは近所の堤防で魚を釣ってどうにかする)
●水道光熱費・通信費:2万円/月
●日用雑貨費:3000円/月(ロヂャースとかで安く買う)
●被服費:5000円/月(ユニクロ!)
●遊興費:4.5万円/月(1日1500円ぐらいを目安に、本を買ったりお茶を飲んだり。あと釣りのルアーやエサを買ったり)
●車両費:2万円/月(ガソリン代と、もしもEV時代になってるなら電気代。あとは整備費用とか保険料とか)
●予備費:3万円/月(何かあったときのためのバッファー)

以上で計15万3000円。これに加えてさらなる予備費4万7000円を計上し、「とりあえず月に20万円が必要」と見ておこう。……20万円ぐらいならなんとかなる気がしてきた。60代以降の我が人生に希望の光が見えてきた気がする!
【ここでのポイント:つつましい暮らしでも幸せを感じられる癖をつけておく】

働けるうちはしっかり働き、年金はすべて車趣味に投入する


では、その20万円をどうやって稼ぐかだが……まぁこれはなんとかなるだろう。運良く知り合いの会社が、事務員兼社内報の編集/ライター主任として月給20万円ぐらいで雇ってくれるかもしれない。または50代前半で始めた(と仮定する)なんらかのネットビジネスがある程度軌道に乗り、月に20万円ぐらいの利益は出せているかもしれない。それらがすべてダメだったとしても、いわゆるプライドにこだわらなければ、仕事はなんでもある。20万円ぐらいなら、たぶんなんとかなる。
【ここでのポイント:60歳を過ぎても働ける体力づくり・健康増進に励んでおく】

そして、そうこうしているうちに65歳の誕生日を迎える。その時点の年金支給開始年齢は現状の65歳ではなく68歳か70歳ぐらいになっている嫌な予感もあるが、まあ仮に65歳のままだとしておこう。筆者の場合、自営業者なので「ショボい国民年金だけ」というのが基本だが、こう見えて意外と堅実なため「国民年金基金」も上乗せして払っている。大したことはない掛け金なので大したリターンではないが、それでも国民年金とあわせて月に10万円ちょいは支給されるはずだ(年金制度が破綻していなければ)。

しかしこちとら高齢者とはいえ、月20万円は稼げる誇らしい仕事を持っているので(身体を壊さなければ)、10万円ちょいの年金を生活費になどしない。「車両費」とするのだ。

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その年齢でローンを組むのもアレなので、10万円ちょいをボチボチ貯めながら、貯まったところで「お気に入りのシブい中古ガイシャ」を買う感じだろうか。例えばシトロエンGSに乗ってる60代後半の自分をイメージすると、なかなかワクワクしてくる。うむ、これで老後のカーキチ人生にはいっさいの憂いなし、完璧である! 最高である!
【ここでのポイント:カーキチたるもの、年金は車に突っ込んでフィナーレを飾る】

以上のプランを練りに練ったわたしは、某編集部へ納品に行ったついでに連載担当者の前で誇らしげに開陳した。自分は60歳以降もカーガイとして生きていけることがわかったんですよ! ホント良かった! と。すると担当者は浮かぬ表情をしながら言った。

「……60歳以降のプランはまあいいとして、この計画の穴は、伊達さんが『50代』を生き延びられるかどうかですね。あ、ていうかこの媒体、この号を最後に休刊することが決まりましたので、納品は今日が最後で結構です。長い間お疲れさまでした」

わたしは呆然としながら駅前へと歩き、サラリーマン諸兄よりはちょっと早い時間に立ち飲み屋へ入った。そして煮込みとホッピーセットを注文し、脳内で計画の修正作業を開始した。

が、名案はなかなか浮かばなかった。その後ホッピーの「中」を追加したため、会計は1180円だった。

[ライター/伊達軍曹]

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