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ドイツ現地レポ

更新2021.09.16

鍵になるのは道路事情か、それとも?ドイツのトナラー事情とは

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守屋 健

駐車場はとても空いているのに、なぜか隣にぴたりと寄せて駐車してくる、いわゆる「クルマのトナラー問題」。日本でもたびたび話題になるこの行為ですが、自動車大国のドイツでも、こうした問題は存在するのでしょうか。ドイツ現地からレポートします。



■ドイツでも「トナラー問題」は存在するのか



結論からいってしまうと、ドイツにおいてトナラー問題はほぼ存在しません。それにはいくつかの理由が考えられます。


ひとつめは、駐車スペースそのもののかたちが日本とは異なる、という点です。ドイツでは路上に駐車できるスペースが日本よりも多く確保されており、都市部でもパーキングチケットが一般的です。そのため、クルマを停める際は「路上に縦列駐車」することが多く、日本のように「横方向に広がる駐車場」ばかり、という状況とは少々異なります。


「横方向に広がる駐車場」は、都市部なら駅周辺にある大型の地下駐車場や立体駐車場、郊外なら○クドナルドや○ケア、ショッピングモール、アウトバーンのサービスエリアなどで見かけることはありますが、ドイツでクルマを停める場合、「路上に縦列駐車」する機会は日本よりも多くなります。



ふたつめは、そもそもドイツの人口密度が低く、土地のスペース利用に余裕がある、という点です。筆者が住む首都ベルリンでも、東京と比較すれば人口密度は約10分の1程度。朝の通勤時間帯こそ道路の流れが悪くなることがありますが、日本のような「がっちりと詰まってまったく動かない」というような渋滞が発生することはありません。


バスや電車の車内も、日本に比べると格段に空いていて、いわゆる「通勤のラッシュアワー」でも「席には座れないけれども、ぎゅうぎゅう詰めではない」というくらいです。昼間の時間帯であれば乗客はスカスカ、ほとんどの場合は席に座れるといってよいでしょう。


首都の中心部でそもそもそれくらいの人口密度ですから、郊外で見かける横に広がる駐車場も、ほとんどの場合がガラ空きです。建物の入口近くにまとまって停まる傾向はあるものの、基本的には一台一台離れて駐車しているイメージです。


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■ドイツで実際に「トナラー」をやったらどんなことが起こるのか?



みっつめは、「実際にやったら、トラブルに発展する可能性はゼロではない」という点です。


先ほどの「昼間の、とても空いているバスの車内」を想像してみてください。乗客はあなたひとりで、他の席はいくらでも空いているのに、となりに見知らぬ人が座ってきました。そのとき、あなたはどのような行動をしますか?


ドイツでこんなことをした場合、まず間違いなく「悪意や害意がある」という判定になります。多くの場合、すぐに席を移動するか、「なぜ、こんなに空いているのに隣に座るのか?」と問いただし、なにか不審な点があれば即警察に通報するような事態です。


基本的には、人と人の距離が広く取れるのが普通ですから、上記のような事態になることはほとんどありません。逆に、人との距離が取れない場合、警戒心は非常に高まり、またストレスを感じやすい状況になるといえるでしょう。


クルマの駐車時でも同様です。駐車場がとても空いていて、建物の入口近くでもないのに、隣にぴたりと停めたりしたら「悪意があるのでは?」と疑われます。ドライバー同士が鉢合わせてしまったら、多くの場合問いただされる事態にはなるでしょう。もちろん、ほとんどの人はそうした衝突は避けたいので、「典型的なトナラーの停め方」をすることはほぼ見かけません。


 ■クルマ好き同士の「意図的なトナラー」はドイツでもあるのか?



日本では、同じ車種同士に乗っているもの同士が隣に停める「意図的なトナラー」行為は、クルマ好きであると一目でわかるような趣味的な車種の場合、好意的に見られることが多いですが、ドイツではどうなのでしょうか?


ドイツでは、こうしたクルマ好き同士の場合でも、横にぴたりと寄せて止める、ということはほとんどありません。観光地の屋外駐車場でもぎっちぎちに詰まるということはほとんどありませんし、アウトバーンのサービスエリアの駐車場でも同様なので、クルマ好き同士が自然発生的に停めたのかな、という場合でも、少しスペースを空けて停めるのが一般的ではないか、と感じます。お互いが大事にしているクルマをドア開けなどで傷つけたくないですしね。クラシックカーのイベントなどでも、日本より横方向にゆったりとしたスペースが確保されている場合が多いように感じます。


ドイツにはほとんど存在しないものの、隣に寄せて停めると衝突の種にもなりかねない「クルマのトナラー問題」。クルマ好き同士であっても、ドイツでは駐車時に適度な距離感を保つ方が無難かもしれませんね。それでは、また次回の記事でお会いしましょう。


[ライター/守屋健]

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