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コラム

更新2020.08.20

これだって輸入車!? 増える日本車メーカーの海外生産車たち

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外車王SOKEN編集部

輸入車と言えば、メルセデスやBMW、VWなど海外のメーカーの車種を思い浮かべますが、中には日本のメーカーが海外の向上で生産し、日本へ輸出することも非常に多くなっています。逆輸入とも言われるこれらの車種は、メーカーによってはかなりの比率を占めており、ひょっとすると貴方が「国産車」だと思って乗っているクルマは、実は思いがけない遠くの国で造られた輸入車なのかも知れません。

普通の国産車では物足りないけど、輸入車は敷居が高くて手が出ないと言う方には、是非とも試して頂きたい海外生産車をご紹介しましょう。

各メーカーの海外生産車と事情




海外生産車を、日本国内において輸入販売するのは、各メーカーによって事情がそれぞれ異なるようです。

日産:マーチ ラティオ(タイ王国/タイ日産)
三菱:ミラージュ(タイ大国/ミツビシモータースタイランド)

この中でも最もエポックメイキングだったのが、日産の「マーチ」で、国内でも主力コンパクトカーであった「マーチ」をタイから輸入するということで、TVのニュースでも大きく取り上げられました。タイで生産した車ってどうなんだ?って思いますよね。でもタイはアジアの国々の中でも優れた生産能力と人材がいるらしく、周りの国々へ輸出してるんです。クルマ以外でも多くの日本企業が工場を可動させています。

「マーチ」は海外において、アジアを中心とする、発展途上国向けの安価な車種としての需要が大きく、それらの市場の中心であるタイで生産した方が、円高の影響も受けず、生産できるとした理由からです。日本向けもこちらで造る方が、輸送コストを加えても安いと言う事でもあったのです。日産ではその後に派生車種の「ラティオ」も同様にタイで生産し、三菱の「ミラージュ」も同じ理由で、タイ生産に切り替えています。

「マーチ」は日本で生産してほしかったと誰でも思ったのではないでしょうか?日産の主力コンパクトカーなんですから、日本のユーザー向けに作りこんでほしかった。コストの問題はあったとしても、売れなければ意味はありません。最近発売されたトヨタの「パッソ」を見ると、その違いは歴然としています。

スズキ:エスクード(ハンガリー/マジャールスズキ)、SX4S-CROSS(ハンガリー/マジャールスズキ)、バレーノ(インド/マルチスズキインディア マネサース工場)

海外生産車を日本に輸入するのに最も積極的なのがスズキです。取り扱う登録車の大半が輸入車となっており、販売するディーラーの店頭に並ぶ車種が、国産車の方が少なく、輸入車販売店のようだと揶揄されることもあるくらいです。利益率の低い軽自動車一辺倒の販売体質から脱却し、普通車のラインナップを増やす必要がありました。欧州市場とインドで高いシェアを誇るスズキは、海外生産・販売の比率が他メーカーよりも大きく、限られた資源を有効に使う為、欧州専用やインド市場用の車種を日本に導入しました。

旧「SX4」もそうでしたが、「SX4S-CROSS」を見た時、これは日本じゃ売れないのではないかと思いました。単純にカッコ悪いのです。「バレーノ」も同じです。海外生産車どうこうよりも、見た目で敬遠されるのは問題外です。せめてフロントグリルぐらいは専用にしてほしかったです。その点、「エスクード」はなかなかいい面構えで、売れてもおかしくないのではないでしょうか。

トヨタ:アベンシス(イギリス/TMUK バーナストン工場)

トヨタの「アベンシス」は、国内で需要が少なくなったステーションワゴンですが、まだ根強い要望もあるため、新たな車種を開発するよりも、コストもリスクも小さくて済む、欧州向け車種を国内にも導入した経緯があります。専門家の評価は非常に良いのですが、欧州向け車種をそのままラインナップさせても、さすがにトヨタでも売れず、はたしてどれだけのユーザーが欲しがっていたのか、トヨタらしくない方法と言えます。
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海外生産車ってどうなの?


購入するユーザーにとって、このような海外生産車を購入するのは、通常の国産車と何か違いはあるのでしょうか?

まず、一番心配な品質についてはまったく心配がありません。生産地が海外というだけで、生産体制や品質については、メーカーが指導管理していますので、問題はありません。一番の違いは、想定するユーザーなんです。日本国内のユーザーに向けた商品ではないので、それをどう受け止めるかが国産車との違いになります。

新興国向けの車種の場合、新興国向けの車種である「マーチ」や「ミラージュ」が非常に分かりやすいのですが、実用本位で飾りっ気は無く、悪く言えば安っぽいのです。主なマーケットである新興国では車にかかる税金も高く、車両価格は抑えなければ一般市民には手が届かなかったり、そもそも収入が少ない人向けですから、とにかくコストをかけない車造りになっています。これを目の肥えた日本のユーザーに販売しようとしても、チープさばかりが目立ってしまい、販売も低迷するのも当然の結果です。

逆に欧州向けの車種の場合は、主力市場の欧州に供給する車種を、なるべく近い欧州の国々で生産する日本のメーカーは多くあります。発展途上国とは異なり、自動車先進国である欧州の国々へ向けた車種には、装備や装飾よりも、車本来の実力が何よりも必要となり、VWやメルセデスといった競合とも、争わなければならないのです。

その為、国境を越えてのロングドライブも想定し、動力性能や高速安定性などの走行性能や、余裕あるサイズのシート、十分なラゲッジスペースも必要不可欠です。それらの車は、日本で乗ってもまるでVWのような、しっかりとした足回りなどに驚くはずです。ただし、税制の異なる国の仕様ですから、1.6Lなど、日本では不利な排気量だったりします。

お勧め海外生産車と自動車業界にもたらす影響


今、注目したいのが、クロスオーバーSUVの「スズキエスクード」です。1.6Lエンジンは特別パワフルでもなく、ハイブリッド車のように低燃費でもありませんが、実用上不足のない動力性能と欧州基準の優れた足まわりは、専門家での評価も高く、オシャレになり過ぎた国産クロスオーバーSUVに違和感を感じる方には、最高の選択と言えます。

最後に海外生産車が日本の自動車業界にもたらす影響について考えてみたいのですが、今回のテーマである海外生産車は、当然国内の工場で生産されるわけではありませんから、雇用という意味では影響があるといえます。とくに「マーチ」や「ミラージュ」の様な主力量販車が、モデルチェンジを機に海外生産に変わるとなると、社会問題になるほどです。しかし、その後はこれほどの量販車の海外生産はなく、スズキはもともと海外でしか生産していなかった車種を導入しているので、販売店のラインナップが増える効果以外に影響はないでしょう。

現在販売されている海外生産車の内、「マーチ」と「ミラージュ」は購入者がほとんど意識しておらず、スズキの場合は欧州製ということにプレミアム感が感じられるようです。

[ライター/CL編集部]

外車王SOKENは輸入車買取20年以上の外車王が運営しています

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