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ドイツ現地レポ

更新2021.06.17

ドイツ在住の日本人から見た「日本に導入すればいいのに!」と思うクルマ:オペル編

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守屋 健

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2006年の日本市場撤退から15年。2021年の後半に、いよいよあの「オペル」が帰ってきます。今回のドイツ現地レポは、オペルの国内販売復帰を祝して「ドイツ在住の日本人から見た、日本に導入すればいいのに」と思う車種をご紹介。今やドイツの自動車産業を支える柱のひとつにまで成長したオペルの、魅力的なモデルをピックアップします。


■オペルとは?



ドイツの中央西部、ヘッセン州(州都はヴィースバーデン)のリュッセルスハイムを本拠地に置く、1862年設立の老舗自動車メーカー、それがオペルです。1929年から2017年までの長きに渡り、ゼネラルモーターズの100パーセント子会社としてヨーロッパ販売を担ってきましたが、2017年にPSAが買収。2021年にはPSAとFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)が合併しステランティスが誕生したため、現在はステランティスの傘下という位置付けになります。


日本においてはヤナセが販売していた時代には人気を博しましたが、燃費の悪さや故障の多さ、メルセデス・ベンツやBMWに比べると地味なブランドイメージから人気が低迷。ゼネラルモーターズの経営悪化も拍車をかけ、2006年をもって日本市場から撤退していました。


しかし2020年2月18日、東京都内でオペルは記者発表会を開き、2021年夏に国内販売復帰することを表明。当初導入されるのは、コンパクトハッチバック「コルサ」、SUV「グランドランドX」、7人乗りのハイルーフワゴン「コンボ・ライフ」の計3モデルと発表されました。


この時期のカムバックとなったのは、オペルがドイツブランドとしての信頼性とブランド力を完全に取り戻し、企業としての業績がとても好調だからといえるでしょう。クルマ自体の評価も高く、2016年には「アストラ」がオペル初の「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー2016」を受賞。ドイツ国内では、ゼネラルモーターズを離れたのち、仕立てのクオリティはさらに向上したともっぱらの評判です。


今回はそんな販売好調のオペルのラインナップから、今はまだ日本導入が発表されていないものの、日本市場でも人気を博しそうなモデルを5車種ピックアップしました。早速見ていきましょう!


■モッカ(MOKKA)



オペルのラインアップ中もっともコンパクトなクロスオーバーSUVがこの「モッカ」。先進的な外観と、シンプルで機能的なインテリア、それにも関わらず手頃な価格で、現地では若者を中心に大人気の車種です。すっきりとしたエクステリアは日本車のデザインとは一線を画していて、個人的には日本への導入が本当に待ち遠しいモデルです。


現行型は2代目で、プジョー・2008Ⅱやシトロエン・DS3クロスバックとプラットフォームを共有。ガソリン車は1.2L直列3気筒ターボエンジンが搭載され、100ps/205Nm仕様(6速MTのみ)と、136ps/230Nm仕様(6速MTまたは8速AT)から選択できます。ディーゼル車やピュアEVも用意。ボディサイズは全長4151mm・全幅1791mm・全高1532mmと、全長が短くコンパクトで筋肉質なフォルムが特徴です。価格は1万9,990ユーロ(約266万円)から。


■ザフィーラ・ライフ(ZAFIRA LIFE)



ドイツではあまりミニバンが一般的ではないのですが、そんなドイツの国産ミニバンの中でメルセデス・ベンツ・Vクラスとともに独特の存在感を放っているのが、この「ザフィーラ・ライフ」です。このモデルの特徴は、なんと言っても多彩なシートアレンジ。最大9席設置でき、また2列目を回転させることで向かい合って座れる、いわゆる「対座シート」を装備した数少ない現行車種となっています。対座シートはメルセデス・ベンツ・Vクラスにも用意されているので、ドイツ人は対面で座ることに何かこだわりがあるのでしょうか……。


サイズは全長4606〜5306mm・全幅2010mm・全高1890〜1940mmと堂々としたもので、車長はS・M・Lの3種類から選べます。エンジンはディーゼルの1.5L(120ps/300Nm)と2.0L(144〜177ps/340〜400Nm)で6MTか8ATが組み合わせられるほか、EVもラインナップ。価格は4万750ユーロ(約542万円)から。


■クロスランド(CROSSLAND)



日本に導入されるされる予定の「グランドランドX」の弟分で、先ほど紹介した「モッカ」よりもさらに安価なモデルが、この「クロスランド」。オペルのラインナップ中、もっとも低価格のクロスオーバーSUVとなっています。「モッカ」がトレンドに敏感な若者向けのモデルとするならば、「クロスランド」は結婚したばかりの若い夫婦向けのモデルといえるでしょう。PSAとの協力で生まれたモデルで、2021年にフェイスリフトが実施されたばかりです。


サイズは全長4229mm・全幅1765mm・全高1605mmで、「モッカ」と比較すると少しだけ長く、幅が狭く、背が高い一般的なプロポーションで、室内空間もわずかに広いです。エンジンはガソリン仕様が1.2L(83ps/118Nm)と1.2Lターボ(130ps/230Nm)で5MT・6MT・6ATとの組み合わせとなり、他にディーゼル仕様も用意されています。価格は1万8,995ユーロ(約252万円)から。


■インシグニア(INSIGNIA)



オペルのフラッグシップモデルが、この「インシグニア」。セダンの「グランスポーツ」とワゴンの「スポーツツアラー」がラインナップされています。フラッグシップと呼ぶにふさわしい作り込みは、オペルのブランド力を飛躍的に高め、ワゴンモデルは特にドイツ国内で「カンパニーカー」として数多く導入されました。日本に導入した場合、販売台数を結果的にあまり伸ばせなかったとしても、日本市場に「オペルはプレミアムブランドだ」ということをアピールできるきっかけのひとつになるかもしれません。


サイズはかなり大柄で、全長4897〜5004mm・全幅1863〜1871mm・全高1455〜1525mm。エンジンはもっとも強力なグレード「2.0 ターボ 4x4 GSi」が230ps/350Nmを発揮、9速ATとの組み合わせで最高速度は237km/h(セダンモデル)となっています。価格は3万1,265ユーロ(約416万円)から。


■アストラ(ASTRA)




今月に入って新型のティザーイメージが公開された「アストラ」。現行型が日本に入ってくる可能性は低そうですが、それでもオペルを支え続けた主力モデルであることに変わりはありません。2016年にはオペルに初の「ヨーロッパカー・オブ・ザ・イヤー」をもたらし、オペル復権をヨーロッパ全土に強くアピールしました。次期アストラはPSAプラットフォームが採用されるため、さらにクオリティが上がるのではないかと期待されています。日本への新型の導入も待ち遠しいですね。


サイズは全長4370〜4702mm・全幅1814mm・全高1485〜1510mmと手頃な大きさで、5ドアと5ドアワゴンがラインナップ。エンジンはガソリンが1.2Lターボ(110〜145ps/195〜225Nm、6MTのみ)と1.4Lターボ(145ps/236Nm、CVTのみ)で、他には1.5Lディーゼル(105〜122ps/260〜300Nm、6MTまたは9AT)が用意されています。価格は2万2,465ユーロ(約298万円)から。


■これからのオペルに期待するもの


オペルは今回のカムバックにあたり「今後は撤退はしない」と明言しており、アフターサービスの充実も含めて日本市場を長くサポートしていく姿勢を見せています。今後発表される新型車は、ゼネラルモーターズとの関係終結以降のプラットフォームを採用し、信頼性や仕立てのクオリティはさらに向上すると見られており、前回の轍を踏まないための準備は抜かりなく進んでいる様子です。


ドイツでは小型車からバンサイズの商用車までフルラインナップを揃えるまでに復権したオペル。世界の中でも「クルマに対する消費者の目が厳しい」と言われる日本で成功をおさめるには、魅力的な新型車ときめ細かいアフターサービスは必須といえるでしょう。これからのオペルの躍進に期待したいですね!


[ライター/守屋健]