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ドイツ現地レポ

更新2019.12.08

毎年恒例!数々の名車・珍車が集結する「オールドタイマー・メッセ・ベルリン2019」をレポート

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守屋 健

みなさん、こんにちは!今回のドイツ現地レポは、毎年秋に行われている「オールドタイマー・メッセ・ベルリン」をレポートします。ベルリンを代表する展示場「メッセ・ベルリン」を会場として、いつも盛大に行われる自動車イベントですが、今回はどんなクルマが集結したのでしょうか?早速見ていきましょう!

最大手はやはりドイツ車!




2019年の「オールドタイマー・メッセ・ベルリン」は、11月18〜22日に行われました。導入部で「盛大に行われる」と書いたのですが、実は今年初めて「BOOT & FUN」という、ボートやクルーザー、ヨットの見本市と同時開催となったためか、「オールドタイマー・メッセ・ベルリン」の展示エリアは例年に比べてかなり狭まっていました…。参加している企業は目に見えて減り、去年まで見かけた名物ブースが今年は撤退しているなど、個人的には若干のさびしさを感じました。







とはいえ、天井が高く、開放感のある空間にゆったりとクルマが並べられているのは例年通り。レースゲームに熱中する子どもたち、子どもたちを差し置いて大人が真剣に遊んでしまうスロットカーの様子も「いつものドイツのクルマイベント」という印象で、ちょっと一安心です。





1957年製メルセデス・ベンツ・190SL。メルセデス・ベンツ専門のレストア業者が手掛けた渾身の一台で、どこを見ても最高の仕上がりです。今年は「300SL」を1台も見つけられなかったのですが、逆に190SLは5台以上が集結する大盛り上がりでした。ちなみにこちらの個体、普段は17万9千ユーロで販売されているのを、イベント中の特別価格として15万9千ユーロ(約1,924万円)まで値引き!



1994年製BMWアルピナ・B10 Allrad。231psを発生する3リッターの直列6気筒エンジンを搭載した4輪駆動モデルです。ドイツ国内には現在3台しか存在しない貴重な個体で、すでに18万kmを走行しているとは思えないほど、良好なコンディションを維持していました。販売価格は2万9千ユーロ(約351万円)。スタッフの方曰く「今日乗って帰ることもできるよ!」とのことでしたが、丁重にお断りしました…。





ドイツ本国のイベントなだけあって、ポルシェ・911は会場のそこかしこで見かけます。上段は集結した911ナローのタルガと、下段は1983年製911SC。この911SCの価格は3万9千8百ユーロ(約481万円)。ドイツ国内の空冷911の値段は落ち着きつつあるように感じるのですが、ナローと993だけは例外で、ここ数年は非常に高値で取引される傾向にあります。



サファリラリー仕様の1977年製911SC。2007年のモンテカルロラリーで走行した個体で、ボディの各所にスタッフやメカニック、ドライバーたちのサインが書き込まれています。多数の穴が開けられたバンパーが大迫力!





フォルクスワーゲン・タイプ1をこよなく愛するクラブ、その名も「Käfer Klub(ケーファー・クルップ。ケーファーはドイツ語でカブトムシの意)」のブースに鎮座していた、1974年製1303。本気の「走り屋仕様」になっていて、エンジンはなんと2.1リッターまで拡大、176psを発生するとのこと!特注のチタン製コンロッド、大型オイルクーラー、マーレ製ピストン、ウェーバー製ツインキャブ、特注のクロスレシオミション、ザックス製レース用クラッチを組み込み、足回りはポルシェ924や944から移植して、さらにコニ製ショックアブソーバーに換装。1983年製のBBS製16インチホイールを履かせ、レカロ製シートを装着し、ボディカラーはポルシェの「ダイヤモンドブルーメタリック」で仕上げた、「そこまでやるか?!」というレベルのビートル。会場での人気者でした。



ゴリゴリのカスタムモデルとはうって変わって、こちらはジウジアーロによる端正なエクステリアが今なお新鮮な印象のフォルクスワーゲン・ゴルフ、その記念すべき初代モデルです。この個体は1978年7月に生産されてから、当時壁に分断されていた東ベルリンに「輸出」され、そこでずっと大切に使われてきたという稀有なヒストリーの持ち主。塗装は当時のまま、事故も一度も起こしていないという、初代ゴルフの「新車当時の様子」を今に伝える貴重な個体となっています。



1968年製ハインケル・154。第二次世界大戦後、メッサーシュミットやハインケルといった軍用飛行機メーカーは、航空機の製造を禁じられてしまったため、こうしたいわゆる「バブルカー」や「スクーター」を生産して、会社をなんとか存続させようとしていました。BMW・イセッタとの共通点も多く感じるハインケル・154は、1956〜1958年に約5千台が製造されましたが、現存している数はあまり多くありません。4サイクル単気筒204ccのエンジンは10psを発生し、4速ミッションを介して、車重285kgのボディを最高速度86km/hまで引っ張りました。





1975年製BMW 3.0CSI。アルピナ製のホイールやフロントスポイラーが印象的な1台です。3リッターの直列6気筒エンジンは200psを発生。ツーリングカーレースで活躍した「3.0 CSL」を彷彿とさせるディテールに、思わずニヤリとさせられます。

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少数派ながらキラリと光る!フランス、イギリス、イタリア勢






1994年製アルファロメオ・155 V6 TI DTM。DTMの1994年シーズン、ドイツのシューベル・エンジニアリング走らせていたマシンで、ドイツ人ドライバーであるクリスチャン・ダナーがドライブしていた個体そのものです。筆者は、ハイテクで武装した当時のDTMマシンに夢中だったので、このマシンの前では思わず「おっ!」と声を上げてしまいました。ギリギリまで低く、そして車体中央に搭載された2.5リッター自然吸気V6エンジンは420psを発生。最高出力発生回転数は1万1千5百回転という、超高回転型エンジンとなっています。







アルピーヌのブースには歴代モデルがずらりと勢揃い。赤いA610や、初代A110、最新のA110Sなどが特に注目を集めていました。こうして見ると、初代A110って本当にコンパクトですよね。



シトロエン・SMが3台も揃ったシトロエン・クラブのブース。一番手前に置いてあるシトロエン・SMのコンバーチブルは、以前の「ドイツ現地レポ」でも紹介した個体でした。それにしても、SMはいつまで経っても見慣れないというか、いつ見ても強烈なインパクトを与えてくれるデザインです。



1964年製プジョー・404クーペ。プジョー・404は、1960年の生産開始からフランス本国では1975年まで、国外生産はなんと1988年まで生産が続けられた超ロングセラーモデルです。日本ではほとんど見かけませんが、シリーズ全体の総生産台数は約289万台と、プジョーの歴代モデルの中でも屈指のヒット作となりました。流麗なデザインはピニンファリーナによるもので、写真の個体は88psの1.6リッターエンジンを搭載しています。







イギリスのスポーツカーの雄、ジャガー。ジャガーで特に注目を集めていたのはこの2台でした。上2枚の写真は、1953年製XK120。フルレストア済みのボディは、どこにも曇りがなくまさに新車同様!一番下の写真は1973年製Eタイプ・シリーズ3・2+2。2+2は1973年に生産終了したので、この個体は最終型ということになります。搭載されるエンジンは5.3リッターのV12で、272psを発生。お値段は11万9千ユーロ(約1,440万円)!

現在存在しないメーカーのクルマも




会場内で最年長のクルマが、この1923年製NAG・C4b。1920年代のベルリンは、「黄金の20年代」と呼ばれるほど、多くの文化や芸術が花開いた時代でした。NAGも、そんな時期のベルリンに存在していた自動車メーカーです。2.5リッターの4気筒エンジンは40psを発生し、最高速度は100km/h。当時のドイツ国内のレースでは好成績をおさめていましたが、NAGは1934年に自動車の生産そのものを停止。第二次世界大戦後まで存続することはできませんでした。



良質なヒストリックカーが数多く集まった「オールドタイマー・メッセ・ベルリン」ですが、こうして改めて振り返ってみると、集まっているクルマの量も質も去年に比べて若干さびしい、という印象は拭いきれません。ドイツにおけるヒストリックカーの人気は、むしろ高まっているはずなのですが…。来年以降、以前までの規模に戻るのか、このまま縮小していってしまうのか、これからも見守っていきたいと思います。それではまた!

[ライター・カメラ/守屋健]

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