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ドイツ現地レポ

更新2022.03.10

意外?最新のシェアからドイツで勢いのある自動車メーカーを探る

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守屋 健

2022年現在、ドイツ国内で生活していると、インターネットやテレビ、そして街中で見かけるクルマの広告は純電気自動車(以下EV)がほとんど、という印象を受けます。公道を走るクルマを眺めていても、数年前と比べてずいぶんEVが増えたと感じますが、実際の割合はどれくらいなのでしょうか。



実は、ドイツ国内にある全乗用車における動力別の割合は、ガソリン63.9%・ディーゼル30.5%・プラグインハイブリッド(以下PHEV)2.1%・EV1.3%(2022年2月現在、連邦自動車輸送局(以下KBA)調べ)となっています。急激に普及が進んでいるとはいえ、現時点でのEVの割合はそれほど多くありません。肌感覚とはかけ離れた結果に、筆者自身も驚きましたが……。


では、現在ドイツではいったいどのメーカーのクルマが一番売れているのでしょうか? また、昨年に比べて躍進したメーカー、逆にシェアを減らしてしまったメーカーはどれなのでしょうか? 新車販売のうち、EVやPHEVの割合はどれくらいなのでしょうか? 今回のドイツ現地レポは最新データをもとに、このような疑問にお答えしたいと思います!


■シェアを減らしてもなお盤石、フォルクスワーゲン



2022年2月、ドイツで登録された新車の数は20万512台(以下、注釈ない場合はすべてKBA調べ)でした。去年の同じ時期、つまり2021年2月から比べると3.2%増加していますが、それでも「順調に成長している」とはいえない状況です。


なぜなら、ドイツの年間の新車登録台数は2009年に約380万台を記録したのをピークに減少傾向にあり、コロナパンデミックの影響が特に大きかった2021年には約260万台まで落ち込んでしまっているからです。


では、2022年2月のメーカー別登録台数を見ていきましょう。


1位 フォルクスワーゲン(VW) 3万6,889台
2位 メルセデス・ベンツ 1万8,512台
3位 アウディ 1万6,381台
4位 BMW 1万5,619台
5位 シュコダ 1万2,739台
6位 オペル 1万1,698台
7位 フォード 9,176台
8位 セアト 9,060台
9位 ヒュンダイ 7,373台
10位 ルノー 6,074台



全体的な登録数が減少している中、圧倒的な市場リーダーとなっているのはやはりVWです。2位のメルセデス・ベンツを2万台近く引き離しているうえ、アウディ、チェコに本拠地を置く5位のシュコダ、スペインに本拠地を置く8位のセアトもVWグループの一員であることを考えると、ランキング10位のうち実に4社がVWグループという結果となっています。


このランキングで注目すべきは、ヒュンダイの躍進です。昨年の同時期と比べて13.2%増となっており、10位までのメーカーの中ではもっとも成功しているといえるでしょう。次点はメルセデス・ベンツの9.5%増となっています。


逆にシェアを減らしてしまったメーカーについても触れましょう。深刻なのはルノーで22.4%減、次点は11.7%減でフォードが続いています。ちなみにVWが8.0%減、アウディが3.9%減、BMWが5.4%減となっており、いわゆるドイツ御三家とVWの中で唯一メルセデス・ベンツだけが好調を維持しているのは特筆すべきでしょう。


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■ミニ、ポルシェ、メルセデス・ベンツは健闘



ちなみに、ランキング10位以下のメーカーについても紹介しましょう。


ドイツ国内のメーカーでプラス成長を遂げたメーカーはそれほど多くはありません。ミニが12.7%増、ポルシェが4.9%増を記録しましたが、スマートはマイナス15.3%と大幅減、オペルも6%減と、ほとんどのメーカーは芳しくない状況が続いています。


ドイツ国外のメーカーの売上は、全体的に国内メーカーよりも好調です。もっとも大きな成功をおさめたのはテスラで209.9%増、ルノー傘下のルーマニアのメーカー・ダチアは123.8%増、ホンダが110.8%増で続いています。


テスラはベルリンにヨーロッパ初の自社工場「ギガファクトリー」を完成させ、いよいよ稼働開始、という段階になっています。ギガファクトリーでの生産が軌道に乗れば、テスラのヨーロッパのシェアはより拡大すると見られています。


一方で、ドイツ国外のメーカーで不振だったのは、目立ったところでシトロエンの25.8%減、アルファロメオの25.6%減、スズキの23.9%減となっています。


■数字で見るEV・PHEVの躍進



最後に、EVの躍進について触れましょう。2022年2月、EVは前年の同時期に比べて54.9%増を記録しました。実は2022年1月のみ、EVの販売が落ち込んで話題となったのですが、新規登録台数はすぐに回復。現在も補助金制度などの充実から、EVは依然高い人気を誇っています。


一方、ガソリンエンジン車は5.7%減、ディーゼルエンジン車は15.9%減となりました。2022年2月の新車登録台数に関する動力別のシェアは、ガソリンが34.5%、ディーゼルが20.7%、EVが14.1%、PHEVが10.8%となっています。


2021年1月時点でのドイツ国内のEVは約31万台、PHEVは約28万台でしたが、2022年1月現在ではEVが約62万台、PHEVは57万台と、ほぼ倍増しています。EVやPHEVのシェアが増加した結果、新車登録におけるCO2排出量は6.7%削減され、118.0g/kmまで減少するに至りました。


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■ウクライナ侵攻がドイツの未来にも影を落とす


ドイツの自動車産業に暗い影を落としているのが、ロシアによるウクライナ侵攻です。ドイツはロシアから天然ガスなどのエネルギー資源を輸入していましたが、それらがストップしてしまうと、工場などに使用する電力が足りなくなると見られています。電気料金やガソリン代の上昇も問題視されていて、今まで以上にクルマが売れない時代がくるのでは、と悲観的な見方が大半です。


コロナのパンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻、そして深刻化する気候変動。こうした激動の時代に、ドイツの自動車産業界はいかにして活路を見出していくのでしょうか。政府、そして各メーカーは、非常に難しい舵取りを強いられています。


[ライター/守屋健]


 

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