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コラム

更新2019.05.08

クルマの買い替え事情は人それぞれ。3代目プレリュードに乗り換えたきっかけと当時の個人売買手続き

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糸井 賢一

「今度、クルマを買い換えるけど、糸井くんはクルマを持っていなかったよね?」

よんどころない事情により都内にあったアパートを引き払い、実家へ戻ることを余儀なくされた20と有余年前。引越が終わった直後、同業の先輩から「下取りに出す予定のクルマを買わないか」との連絡がありました。

はじめての個人売買と自力名義変更



▲実家は最寄りの駅まで10キロ以上、バスは2時間に1本。地方での生活にクルマは必須

実家はチーバくんのわきの下あたりにあり、どこに行くにもクルマがないと不便な地域。その後の仕事のためにも「格安のクルマを探さなきゃ」と考えていたため、先輩の提案は渡りに船なタイミングでした。

とはいえ、先立つ貯えはまったく無く、提示された金額は程度と相場を考えると少々お高め。こちらの懐事情を話してお断りしたところ、代金は後払いでもよく、しかしクルマはすぐに引き取ってもいいとの温情が提示されます。これには私がクルマを持っていないと、一緒に仕事をする上で先輩にも影響が出てしまうといった事情もありました。

クルマのない不便さに困っていたこともあり、この条件で購入を決心。勉強のためにも名義変更の手続きは自力で行うことにしました。

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警察署と自動車検査登録事務所を行ったりきたり



▲自力で名義変更を行うなら車庫証明に注意。申請から発行まで数週間かかる場合もあるので最初に手続きを

今でこそ公的な申請書もWebサイトからダウンロードで入手できますが、当時はまだISDN通信が主力の時代にあり、申請書のダウンロードサービスを行っている機関は限られていました(ISDN通信の速度は最大64キロbpsで、通信制限を受けたパケット通信速度の半分程度しかありません。実測になるともっと速度は落ちるため、用紙1枚ほどのデータ量であってもやり取りには膨大な時間が必要でした)。

当時の名義変更手順は、以下の順番になります。

1 :最寄りの警察署で車庫証明(自動車保管場所証明)の申請書をもらい記入する。
2 :警察署で車庫証明の申請を行う。
3 :管轄の自動車検査登録事務所で譲渡証明書等、名義変更に必要な申請書をもらい記入する。
4 :警察署より届いた車庫証明を持って、自動車検査登録事務所で名義変更の申請を行う。

手間や時間、交通費を考えれば、手数料を支払っても業者や保険会社に代行を頼むのが至極当然な時代です。現在はインターネット環境の発達により書類を取りに行く手間が省けるのですから、自力での申請もやりやすくなりましたね。

ちなみに当時、自動車検査登録事務所は国土交通省ではなく運輸局の扱いでした。先輩とは同じ県の住民ではあったものの管轄が違ったためナンバーの変更も必要となり、最終的には登録料や手数料で5千円近くかかった記憶があります。

参考記事:車検の期間の確認方法とは?

この性能でデートカーなんてとんでもない!


さて名義変更も終わり、正式に所有者が移動。久々にクルマ持ち生活の再開です。クルマはホンダの3代目プレリュード、型式でいえばBA4。男の子ならば一度は憧れるリトラクタブルヘッドライトを搭載したモデルです。一番の特徴は量産乗用車として最初に機械式4WS(四輪操舵)を搭載したことで、クルマ好きな知人に見せると決まってハンドルをきって動く後輪を見せるよう頼まれました。

購入時の走行距離は6万キロほど。黒いボディのあちこちにヘコミやキズがあったもののエンジンは絶好調! アクセルを軽く踏み込むだけで気持ちよくタコメーターが跳ね上がり、アッという間に高速道路での上限速度に達します。また1100キロという排気量のわりに軽い車重のおかげで身のこなしがとても軽い! 雨の日のコーナーではたやすく四輪が滑り出すため、気の抜けない一面もありました。

当時の自動車ガイドブックを読むと、プレリュードの説明文には「人気のデートカー」と記されていました。しかしいざ自分が所有してみると、現在のクルマに負けない加速力と身軽さを持っている、おそろしくヤンチャなこのクルマがデートカー呼ばわりというのは……ちょっと信じられなかったです。

数年後、プレリュードを廃車にし、入れ替わりにシルビアQ’s(S14)を購入します。ところが性能はシルビアの方が高いはずなのに、加速や身のこなしで重々しさを感じました。事実、車両重量は100キロほど重く、手放した後になってなお、プレリュードは「クルマの重さは体感に大きく関わる」と教えてくれました(シルビアの名誉のために記しますが、FR車の持つ高い安定性と素直な操作性を知るのは、もう少し乗り慣れたあとになります)。

プレリュードの前と後にも、それぞれホンダ車に乗っていた時期はあります。それでも「一番、好きなホンダ車は?」と聞かれれば、真っ先にこのプレリュードを挙げるくらい印象深く、多くの思い出をくれた一台でした。

[ライター・カメラ/糸井賢一]

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