更新2025.08.29
単なる「倦怠期」かも。愛車を手放そうか迷っていたら知っておくべき5つのこと
松村 透
職業柄、クルマに関してさまざまなな相談や悩みごとを聞く機会がしばしばあります。
とりあえず誰かに聞いてもらいたいことから、おすすめのクルマやドライブレコーダーなど、内容はさまざまです。
そのなかで意外と多いのが「クルマ、手放そうと思うんだけど…」という相談です。もちろん、理由はさまざまではあるのですが、なかには「なんとなく」というケースも少なくないのです。
■1.その場の勢いで手放すと後で悔やむことに
その「なんとなく」について紐解いてみると「飽きてきた」とか「乗っていてワクワクしなくなった」とか「気分を変えたくて」など、倦怠期のカップルとか夫婦じゃないんだから!とツッコミたくなるような理由で「そんなの好きにしなさいよ」といいたくなることもしばしば。
グッと堪えていると「どうすればいいと思う?」と、なんだか恋愛相談のような展開に。相手にもよりますが、基本的には「その場の勢いで手放すとあとあと悔やむんじゃない?」と答えるようにしています。ここで「そうだよねー」と返す人と「でも…」と返してくる人、いろいろです。
まぁ、当事者のなかでは答えが出ていることが多く、背中を押すのがこちらの役割。人によっては、自分に言い聞かせるように手放す理由を並べてくることもあります。そこで次の一手を打ちます。
■2. 「1度手放したら2度と戻ってこない」という覚悟はできているかどうか
それなりの愛車遍歴を重ねてきた人であれば1度は経験しているかもしれませんが「1度手放したら2度と戻って」きません。専門店に売却したのであれば店頭に並べるかもしれません。買取専門店に売却した場合は全国のオークション会場に出品され、競りに出されます。そして買い取った中古車販売店が店頭に並べます。
1度、売買契約書にサインしてしまったら解除はできません。もし心変わりして買い戻したくなった場合、四方に網を張り、先述したタイミングで買い戻す必要があります。それにしたってライバルがいれば確実に買い戻せるという保証はありません。
やっかいなのはバックオーダーを抱えていたり、海外に流れてしまうケースです。権利がなければオークションで落札することができないため、中古車店などにお願いをして代理で落札してもらうことになります。ヤフオクと同様に、ここで競り負けたら万事休すです。
■3.身近な人に譲ったからいつか戻ってくるという保証はない
友人・知人、あるいは親族などに譲れば手放したクルマの所在が分かっているのでひとまず安心ですが、これでは済まされないこともあります。旧車やネオクラシックカーと呼ばれる年代のクルマであればなおさらです。
売却時、そして手放したあとも、それこそことあるたびに「売るときは声掛けて」といっておかないとあっさりと手放してしまうこともあるのです。特に注意したいのが譲ったときよりも相場があがってしまっているとき。数年前までは100万円台で売られていたものが、いまや500万円台があたりまえなんてケースも珍しくなくなってきました。
当然ながら、買い戻すときも現在の相場が基準になることが一般的です。50万円で売ったクルマを300万で買い戻した…といったケースも現実に起こっています。金銭で揉めるとその後の人間関係にも大きく影響することがあり、それなりのリスクと覚悟が必要です。
■4.運良く買い戻せても別のものになっている
さまざまな偶然と幸運が重なり、無事に愛車を買い戻せたとしましょう。残念ながら、これにて一件落着…とはなりません。いざ自分のところに戻ってきた瞬間、ある異変に気づくでしょう。前オーナーがまったくいじらず、そのままだったとしても、です。
それは車内の匂いです。臭(くさ)いとかじゃなく、別の人の体臭がしみついてしまっていることに気づきます。密閉した車内に何時間、何十時間もいることになるわけですから、匂い(臭い?)が上書き保存されてしまうのです。エアコンをオンにすればなおさらです。
そして、ステアリングやシフトノブなど、手を触れる機会が多い部分も同様です。他人のクルマを借りてきた、レンタカーを借りたときのような感覚に感覚なのです。時間をかければ元に戻ることもあるし、慣れてしまえば気にならない場合もあります。ただ「元愛車」であっても、かつてのような距離感を取り戻せないと感じるのは気のせいではないと思います。
■5.万が一のときのために愛車以外の「逃げ場」を作っておく
さまざまな方を取材していると、ときどき「愛車がすべて」という方に出会います。文字どおり、自身の人生を愛車に捧げているレベルの方です。もちろん、買い替えなんて発想はこれっぽっちもありません(足車の増車はありますが)。
これはこれで素晴らしいことだと思いますが、もし万が一、勢いだけで大切な愛車を手放してしまったら…。1つのことに「全振り」していて、対象を失ってしまったとき、本人も想像がつかなような喪失感に襲われるはずです。過去の取材では、これが分かっているからあえて深入りしないという人もいました。ドライといえばそれまでですが、個人的には「あえて一線を引く」のもありだと感じています。とはいえ、一線を引くことができば苦労しないよ!という人も(筆者自身を含めて)いるはず。そこで必要なのは愛車以外の「逃げ場」を作っておくことだと感じています。
キャンプや釣りでもいいですし、マラソンでもロードバイクでも乗り鉄でもプラモデルでもいい。インドア・アウトドア問わずです。かといって、好きでもないのに無理矢理はじめても長続きしません。だって楽しくないんだから(経験者)。クルマがダメになってしまったからじゃあこっち、とは簡単にいかないことも理解できます。かといっていざ考えてすぐに見つかるものでもありません。
いざというときのために、ふだんから「逃げ場」を確保していくことをおすすめします。
[ライター・撮影/松村透(株式会社キズナノート)]