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更新2021.09.12

1/43スケールもいまや1万円クラスが主流?高価になったミニカーとの幸せな付き合い方とは?

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北沢 剛司

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最近は世の中のいろいろな分野で二極化が進んでいますが、ミニカーの世界でもその傾向があります。実車のようなリアルさを特徴とする精密ミニカーが数万円で販売されている一方、数百円で買える手軽なミニカーが高い人気を集めています。


ミニカーは全体的に高額化していて、手頃な値段で買える良質なミニカーが入手しにくい状況にあります。なかには定価が10年前の2倍に上がったブランドもあるほどです。また、2021年7月にはミニカー専門店最大手の「ミニカーショップイケダ」が閉店するなど、買う側も売る側も厳しい状態にあります。


そこで今回は、ますます高価になっていくミニカーと今後どう付き合っていくべきかを考えてみます。



■どんどん高価になっていくミニカー


▲PGM社の1/64 250 GTOは、わずか7cm弱の1/64ダイキャストミニカーでフル開閉を実現した驚異のモデル。価格も驚きの13,200円(税込)


ミニカーの世界では以前から世界的な値上がり傾向にありましたが、その流れは現在も続いています。理由としては、生産工場のある中国の賃金上昇に加え、原材料費・輸送費の高騰、そして多品種少量生産が多くコスト圧縮が難しいなど、さまざまな要素があります。


まずは世界的なトップメーカーとして知られるドイツの「ミニチャンプス」の例を見てみましょう。発売時期によって多少値段が変わるのであくまでも一例ですが、1/43スケールのロードカーの場合、ダイキャスト製で8,580円。レジン製の場合は12,100円になります。今から10年前の2011年にはダイキャスト製が4,410円で買えていたので、消費税の増税分を加味しても約2倍前後に上がっていることがわかります。


同社は価格が高くなりすぎたことへの危機感もあり、内外装の塗り分けを簡略化してコストダウンを図った「マキシチャンプス」という新たなブランドを立ち上げています。それでも価格は5千円台で、決して安いとはいえません。


比較的リーズナブルで出来もそれなりに良く、価格とクオリティのバランスが良いメーカーがマカオの「イクソ」です。こちらの10年前の価格は1/43ロードカーで3,990円。現在の価格は6,380円です。実に6割も値上がりしていることがわかります。


レースカーを中心としたラインアップで人気の高いマカオの「スパーク」製品は、当初からレジン製ミニカーを製作していて、ダイキャスト製ミニカーより高い値段で販売されていました。スパークの10年前の値段は7,140円が主流で、現在は8.980円に上がっています。「ミニチャンプス」や「イクソ」の値上がり率に比べれば比較的緩やかですが、それでもジワジワ上がっていることは間違いありません。


▲マカオの「スパーク」と「イクソ」ブランドの1/43ミニカー。どちらも以前より値上がりしている


■値上げについていけないファンが離脱


さすがにこれだけ値段が上昇するとついていけない人たちが出てくるため、ミニカー趣味から離れてしまう人たちが増えています。また、ミニカーを買い続けている人たちも、購入する数を減らしています。例えば、今まですべてのカラバリを揃えていた場合は1色だけに絞ったり、F1の場合は同じチームのモデルをドライバー2人から1人に絞ったりするなどして対応しているのです。


それでも、最近の高品質なレジン製1/43ミニカーは1台2万円を超えるものがあるので、それらは諦めるという判断をする場合も多々あります。


面白いのは、このような高級ミニカーのカテゴリーにおいて、輸入品と国産品の価格的な逆転現象が起きていることです。


例えば、フェラーリのオフィシャルミニカーを製作するイタリアのBBR製ミニカーは、安くても2万円以上の価格のため、別格の存在でした。しかし、今は日本の「アイドロン」や「イグニッションモデル」が非常に高品質なミニカーを製作しているため、BBR製品より高額な場合も少なくありません。相対的に見て「BBR」が安く思えるようになる時代が来るとは想像できませんでした。


▲BBR製の1/43 フェラーリ ローマ。直販サイトでの販売価格は132,50 ユーロ(約17,230円)で、同スケールの日本の高級ミニカーより安い


■1/18スケールが主流で1/43が少数派に


さらにミニカーのスケールも、それまで主流だった1/43から1/18に移りつつあります。その理由のひとつには、1/43で製品化できそうなアイテムはほとんど出尽くしたということ。レッドオーシャンの中で競作をつくってもカニバリするだけなので、ブルーオーシャンの1/18スケールに進出するという流れになっています。当然、1/18スケールのほうが値段が高くなるわけで、ミニカーの高額化に拍車をかけています。


例えば、「ミニチャンプス」の1/18ロードカー、それにマニアックな欧州車が多いレジン製ミニカーブランドの「ottomobile」は1万6000円前後。日本の「京商」はレジン製で約2万円、ダイキャスト製のフルディテール製品で約2万4000円。フルディテールが特徴の「オートアート」は2万円台から4万円台。極めて高品質な日本の「アイドロン」は5万円台〜という具合です。


▲オートアート製の1/18 アウディ スポーツクワトロ S1 WRC 1986 #6 (ミッコラ/ヘルツ) モンテカルロ・ラリー。ABS樹脂製のボディとダイキャスト製のインナーボディを組み合わせることで、シャープな再現と高剛性・重量感を両立。フルディテール製品の再現度は見事だが、価格は30,580円(税込)


1/18スケールは1/43よりも豊かな表現が可能なため、さらに出来が良くなるというメリットがあります。その反面、価格も高くなりがちで、買うにはある程度の覚悟が必要です。


もちろん、サイズが大きくなるため、置き場所の問題もあります。買ったはいいけど飾る場所がないというのはよく聞く話。箱のまま積んでおく場合でも、数が多くなると部屋の空間がどんどん侵食されるという問題があるのでやっかいです。


筆者はグループB時代のミニカーを集めているのですが、以前はキャッシュフローには目を瞑り、基本的に新製品はすべて購入していました。しかし、1/43で1台1万円、1/18で1万〜3万円クラスとなるとさすがに買いきれず、未購入のアイテムが増えています。


現在の1/43や1/18ミニカーは、基本的に富裕層向け商品として割り切ったほうが賢明なのかもしれません。


■3インチミニカーは救世主となるか?


「では、代わりに何を買う?」となったときに真っ先に候補に挙がるのが3インチミニカーです。3インチミニカーとは、日本では「トミカ」、アメリカでは「ホットウィール」や「マッチボックス」、欧州ではフランスの「マジョレット」などが昔から製品化している手のひらサイズのミニカーです。


▲手頃なミニカーの代表格は、1台495円で買える日本の「トミカ」(右側)。ハイグレード版の「トミカプレミアム」(左側)には、クルマ好きが歓喜するような車種が豊富に揃う(税込880円〜)


その最大のメリットは、安価で手に入りやすいこと。「トミカ」の価格は495円、「ホットウィール」は量販店では200円台、「マジョレット」はカバヤ食品の食玩としてスーパーで買うことができ、価格は462円です。


特徴は、種類が豊富でクオリティも年々向上していること。なにより、これくらいの価格帯だと勢いで買っても後悔しないのがありがたいといえます。


■1/64スケール製品はピンキリ


3インチミニカーと同じようなサイズで1/64スケール製品があります。もともとアメリカで人気のあったカテゴリーで、日本では「トミカリミテッドヴィンテージ」でメジャーになったスケールです。近年はアジアのさまざまなメーカーがこのカテゴリーに参入していて、百花繚乱の賑わいを見せています。1,000円前後で買える手頃な製品から、3千円前後の高品質な製品、さらに1万円を超えるフルディテール製品も存在します。


▲「トミカリミテッドヴィンテージ NEO」のフェラーリ テスタロッサは、1/64スケールのダイキャストミニカーでエンジン部を再現した高品質なモデル。価格は6,380円(税込)


高品質な1/64ミニカーは、以前の1/43製品に近い位置付けといえます。もちろんコレクション性も充分で、1/43に比べて場所を取らないこともメリットといえます。


デメリットは欧州メーカーの製品が少ないこと。欧州では鉄道模型のHOスケールにあたる1/87スケール製品が昔からつくられていたため、ドイツなどの主要メーカーは1/64ではなく1/87ミニカーを製造しているからです。それが世界的な標準スケールとなる1/18や1/43との違いです。1/64ミニカーをコレクションする場合は、それを念頭においておく必要があります。


▲1/87ミニカーは昔からドイツのメーカーが強い。左のメルセデス・ベンツ 600 プルマンはブッシュ製。右のメルセデスAMG G65はミニチャンプス製で、どちらもボディは樹脂製


■1/43ミニカーの新製品を安く手に入れるには?


そんな状況でも1/43製品を中心に集めたいと思う場合は、いくつか方法があります。


そのひとつはデアゴスティーニ・ジャパンやアシェット・コレクションズ・ジャパンなどの書店流通系アイテムを定期購読することです。


デアゴスティーニでは「隔週刊 アメリカンカーコレクション」という1/43ミニカーのシリーズを2021年8月31日にスタート。創刊号は690円、以降は1,990円で購入することができます。出来は価格相応ですが、手頃な価格で1/43の新製品を手に入れることができます。


アシェットでは「懐かしの商用車コレクション」というシリーズが人気です。2020年8月26日にスタートしたこのシリーズは、日本の懐かしい商用車を1/43スケールのダイキャストミニカーで再現したもの。製作はレジン製レースミニカーの「スパーク」ブランドで知られるMinimax社が担当。価格は創刊号が799円で、以降は1,999円。価格の割に高品質な仕上がりが特徴です。


▲アシェットでは「ル・マン24時間レースカーコレクション」において、Minimax社が製作した1/43スケールの良質なダイキャストミニカーを2,537円(税込)の手頃な価格で販売。残念ながら2021年12月1日発売の75号で完結休刊となる


■中古ミニカーにも注目


中古品に目を向けるのも一案です。


例えば、日本の「京商」がかつてリリースしたダイキャスト製の1/43フェラーリ シリーズは、エンジンフードなどが開閉する精密な製品内容が特徴。定価9千円ほどの高価なミニカーでした。ボディカラーがレッドの製品は定価以上の価格で流通している場合もありますが、ボディカラーを選ばなければ定価の半額程度で購入できるものもあります。


中古ミニカーはコレクターが高齢化などの理由で手放す場合もあるので、アンテナを張っていれば思わぬアイテムに出会える可能性があります。


▲京商がかつて販売していた1/43スケールのフェラーリ F355 ベルリネッタ。ダイキャストボディで前後フードが開閉するハイグレードモデルだった


■集める楽しさは出来の良さと比例しない


このように全体的に価格の高額化が悩ましいミニカー趣味ですが、手頃な価格の「トミカ」や「ホットウィール」はむしろ人気が過熱。目ぼしい人気商品はすぐに予約が埋まり、発売当日は開店前から並んでも買えない場合があるほどです。


ミニカーにとって絶対的な再現度の高さはもちろん大切ですが、集める楽しさは出来の良さとは別の次元にあります。これまでとは違う視点を持つことで、今後のミニカーコレクションを持続可能な趣味にすることができるのではないでしょうか。


[ライター・画像/北沢剛司]