
コラム
更新2019.05.08
走行距離が少ない=良い個体と思っていませんか?走行距離だけでは判断できない旧車のコンディション事情とは
外車王SOKEN編集部
走行距離が少ない=あまり走っていない=各部の傷みが少ない=状態が良い=壊れない=リセールもよい
だから走行距離の少ないクルマを選んでおけば、良いクルマが買えるし間違いがない!ということになります。確かに、ある程度年式の新しいクルマであれば、それでも良いかもしれません。しかし、20年、30年、ましてや50年経過したクルマにおいても同じことが言えるのしょうか?
古いクルマは走行距離よりもコンディションを重視
ここで面白い話があります。70年代前半より新しいモデルについては、皆さん走行距離について気にされる方が多いということ。逆にそれより古い車については、もうこの年式だと走行距離なんてわからないよねという感じになるのです。
確かに、70年代前半ころまでは、5桁メーターでメーターも一回りしているのか二回りしているのか分からない、整備記録簿も残っていない車両が多いのは事実です。そしてそれが当然のこととして認識されているのです。一口で言うと、古いクルマは走行距離よりも現時点でのコンディションが重視され、ちょっと古いクルマから新しいクルマは圧倒的に距離で判断される。そんな図式になっているのが現在の中古車市場なのです。

当然購入する方や、ユーザー側がこのような判断基準を持っているため、市場価格にもそれが反映されていきます。
でも、ちょっと待ってください。新車から5年落ちならいざ知らず、15年、20年が経過した車両が、本当に走行距離だけが判断材料でよいのでしょうか。確かに、走行距離が少なくて状態の良い車は魅力的ですが、価格も高いですよね。ただ、気を付けなくてはいけないのは、なぜ走行距離が少ないのかということです。
・新車時に購入して1年くらいは乗っていたが、そのあとはずーっとガレージで眠っていて発掘されたとか。
・新車から1オーナーで毎年数百kmから数千km程度の距離をコンスタントに走り続けてきたとか。
・じつは走行メーターが交換や巻き戻されていたとか。(これは改ざん車と呼ばれます。)
・デッドストック状態でほぼ新車時のまま保管されていて、最近走行できるようにメンテナンスされたとか。
まあ、いろいろな理由で低走行車というのは存在します。逆に多少走行距離が多くても、しっかりメンテナンスが施され、また整備の記録も残っているような個体であれば、低走行車よりは価格面で魅力があり、なおかつ機関系の状態も、眠っていて何もされていない低走行車よりも素晴らしいことも珍しくありません。
走行距離だけでは判断できないケース

特に、ボディーがしっかりしている欧州車などは、走行距離だけでは判断できないケースが多い傾向があります。そして、この走行距離の多さについてもいくつかのケースが考えられます。
・毎日営業車のように街中を、渋滞を走り続けて距離を伸ばしたとか。
・月に一度、東京から九州や関西や東北など、長距離のドライブ旅行を趣味としていたとか。
・毎日通勤で下り方面の高速道路で渋滞なく、片道100km走っていたとか。
・毎日足車として、通勤や送迎、買い物と数km圏内をぐるぐる走り回っていたとか。
当然ながら、エンジンかけたり止めたり、ストップ&ゴーが多いクルマよりも、長距離をスーッと流してきたクルマの方が健康体っぽいですよね。
走行距離が伸びていてもびっくりするほどのコンディションを保っているものもあれば、低走行でも「ん?」というような個体も中には存在します。ですから、走行距離だけに惑わされることだけはおやめください。ちょっと距離は伸びているけど、なんかいろいろメンテナンスされてそうだし、価格も多少は手ごろだし、なんていう個体があればぜひ一度足を運んで現車を見て、お店の方に話を聞いてみてください。思わぬ掘り出し物に出会うことができるかもしれません。
ただし、中古車には基本的に「低走行で、無事故で、極上で、かつ相場より明らかに安い!」なんていう都合の良い掘り出し物はありませんからご注意を。
[ライター/CL編集部 画像/写真AC]