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ドイツ現地レポ

更新2023.04.22

日本未導入のメルセデス・ベンツ、ドイツで商用車といえば「スプリンター」

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高岡 ケン

ドイツで生活をしていると毎日何十台ものとあるクルマを見かける。


その名も「メルセデス・ベンツ・スプリンター」である。


ドイツで定番の商用車といえば間違いなくこのクルマだろう。


しかし、残念ながら日本での販売は行われておらず、欧州または米国での販売がメインとなっている。


ドイツ国内では圧倒的な人気を誇るスプリンターだが、なぜここまで人気を博したのか。


今回はメルセデス・ベンツ・スプリンターの全貌を解説していく。


■メルセデス・ベンツ・スプリンターとは?



1977年から販売されていたメルセデス・ベンツ・トランスポーターに変わり、1995年から欧州地域で、2001年からは米国で販売開始されたメルセデス・ベンツ・グループAGが生産、販売する商用車である。


主に宅配や訪問サービス用の車両として用いられているが、他にもミニバス、救急車、キャンピングカー、トラックとしても使用されている万能型のバンタイプだ。


なぜこれだけ幅広い用途で使用されているのか。


それはスプリンターの幅広いモデルラインナップによるものだろう。


全長はL1からL4までの4種類、全高はH1からH3までの3種類が用意されており、用途に合わせてサイズを選べるようになっている。


全長はL1で5,267mm、L4で7,367mm、全高はH1で2,356mm、H3で2,825mmとなっており、最も人気のモデルはL2H2と言われる全長5,932mm、全高2,638mmのモデルである。


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■日本市場にも導入されていた?


現在では、世界130ヵ国以上で年間約12万台ほどが販売されており、過去20年間では290万台以上の販売実績があるそうだ。


1995年にはインターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー、2006年にはベスト・バリュー・アワードに選定されており、世界で商用車としての確固たる地位を気付き上げた。


そんなスプリンターだか、なぜ日本では未導入なのか。


実は2004年に日本での販売を開始したが、「スプリンター」の名称がトヨタ自動車に商標登録されていたため、「トランスポーターT1N」という名称で輸入・販売されていた。


しかし、ダイムラー・クライスラーと三菱ふそうトラック・バスとの関係強化に伴い、2006年に日本における正規輸入販売を撤退した。


■ドイツでスプリンターが社会問題に?



前述でも説明したとおり、スプリンターは幅広いラインナップが準備されており、宅配や訪問サービス用のバンとして、はたまたトラックやバスとして使用されている。


その為、全長6,967mmのL3までであれば乗用車として登録することができる。


ドイツで速度無制限のアウトバーンといわれる高速道路が一般的に使用されているが、トラックやバスなどの大型車は基本的に右車線を走行しなくてはならない。


仮に三車線のアウトバーンを走行する場合は、1番右はトラックやバスなどの大型車、真ん中は120km/h〜140km/hで走行する乗用車、いちばん左は速度無制限の追い越し車線となっている。


大型車には速度制限が設けられているため、乗用車に乗っている場合はトラックなどに追い越される心配はない。


しかし、全長が7m近くにもなるスプリンターですら、ドイツでは乗用車扱いになるため、いちばん左の車線を走行することができる。


つまりトラックなどの大型車に対する速度規制を免れることができるため、スプリンターの速度超過による事故が続出し、社会問題となっている。


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■実際に全長約7mのスプリンターを運転した印象



著者も実際にL3H2といわれる全長約7mのスプリンターでアウトバーンを長距離走行したことがある。


いくらメルセデス・ベンツとはいえ、時速140kmを超えるとあまり安定感がなく且つブレーキの効きが遅いため、恐怖を感じた経験がある。


安全性を第一に考えてきたメルセデス・ベンツとしては大きな問題であり、イメージ回復に苦戦を強いられているそうだ。


今後、ドイツでのスプリンターの位置付けはトラックになるのか。


また日本での導入はありえるのか。


今後も注目していきたい。


 [撮影・ライター/高岡ケン]

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