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更新2019.04.20

限定350台がすでに完売!「マークXGRMN」とそのルーツ、かつて一世を風靡した「マークⅡ」の変遷を振り返る

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鈴木 修一郎

先日、GRスープラの展示があるというので見に行ったGRガレージ高辻店ですが、今度はGRMNマークXを展示するとのことで、今週もGRガレージ高辻に足を運びました。

マークXのルーツはコロナの派生モデルだった




マークXと言えば、そのルーツはかつて一世を風靡した「マークⅡ」ということをご存知の方もまだ多いでしょう。しかし、その初代は「コロナ・マークⅡ」というコロナの派生モデルであったことを記憶している人はかなりすくないのではないでしょうか。「アローライン」「バリカンコロナ」と呼ばれたコロナとしては3代目となるT40/50型コロナの上位モデルとし、1969年にT60/70型として登場。コロナの発展モデルとあってフレームナンバーはT型で、特徴的なフロントノーズのデザインもスラントしたコロナのデザインを踏襲しています。

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1980年代以降のマークⅡ


1980年代になるとハイソカーと呼ばれる、高級志向のファミリーカーという独特のポジションを築き上げることになります。しかし、一方でマークⅡには初代から一貫して「必ずスポーツグレードがある」という特徴もあり、初代の2ドアハードトップに設定されたGSSは1.9L、DOHC2連装ソレックスの10R型エンジンを搭載。トヨタ2000GTに迫る最高出力140馬力、最高速度200km/hというスペックを叩き出します。

1972年に登場した2代目、X10/20型の2ドアハードトップのGSSでは筆者の「セリカLB2000GT」と同じ2.0L、DOHC2連装ソレックスの18R-G型エンジンを搭載(正確にはマークⅡGSSの18R-Gがセリカにも搭載されたですが)。最高出力145馬力、最高速度195km/h(車重が重くなったため前モデルより5km/hダウンしたようです)と1970年代初頭のトヨタ車のフラッグシップモデルも担っていました。

排ガス規制後は…


排ガス規制により、X10/20型末期とブタメと呼ばれる3代目X30/40型で一時期ツインカムモデルは消滅します。しかし、排ガス対策がひと段落した4代目となるX60型で18R-G型エンジンを電子制御インジェクション化。そして、3元触媒浄化装置を装備する形で「53年排ガス規制」に対応させた18R-GEU型エンジンを搭載したDOHCモデルが復活します。

またその次の5代目となるX70型では、ツインターボの1G-GTEU型エンジンを搭載したモデルが設定され、これが国産車初のツインターボ搭載車となります。

日本のファミリーカーとして強大な地位を確立した6代目のX80型は、後期型でスープラと同じ2.5Lツインターボの1JZ-GTEU型エンジンを搭載。自主規制上限の280馬力仕様をラインナップし、「マークⅡにこんなオーバースペックのモデルは果たして必要なのか?」と当時は識者を傾げさせたこともあります。しかしあらためて過去のモデルを見てみると、マークⅡが上昇志向の中産階級向けのファミリーカーの一方で高性能フラッグシップモデルとしての一翼を担ってきたという点で、今思えばX80型でマークⅡも280馬力モデルに打って出たというのは間違いなかったのかもしれません。

ボディサイスが拡大され全車3ナンバーサイズとなった7代目X90型、8代目X100型でも1JZ-GTEUの280馬力モデルは継承され、ツアラーVというスポーツグレードとして通常のグランデとは違うキャラクター付けがなされます。また、国産車からMT車が次々に姿を消す中、ツアラーシリーズにはMT仕様をラインナップし続けたのもトピックでした。真偽は定かではないのですが、ある自動車雑誌のX100型マークⅡ登場当時の記事で「開発エンジニアの中に『マークⅡにMTを設定しないのなら俺はマークⅡの開発なんかしたくない』と言い張ったエンジニアがいた」という一文を読んだ記憶があります。トヨタのエンジニアの中でもマークⅡはファミリーカーであると同時に高性能フラッグシップモデルでもあるという二面性がある車種として認識されていたのかもしれません。

マークⅡとしては最後のモデルとなる9代目X110型でも2.5Lツインターボの280馬力モデルにiR-Vが設定され、5速MTモデルも設定されます。しかし、2004年に後継モデルとしてマークXに刷新された際にMTのスポーツモデルは廃止されます。

しかし、2009年のマークXとしては2代目となるX130型から再び「Spots Type」というかつてのツアラーシリーズに相当するグレードが設定されます。MTこそ設定されませんが、素早い変速操作にも対応できるパドルシフトが採用され、またGAZOO RACINGによるコンプリートモデルG’s、GR SOPRTもラインアップ、2015年には今回、展示されているGRMNが登場します。

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350台限定のピュアスポーツマシン


「マークXベースのGRMNのコンプリートモデル」というと何故マークXをベースに?と疑問に思う方もおられると思いますが、前述のように前身のマークⅡが初代のGSS始まり、GTツインターボ、ツアラーV等、歴代のモデルにハイスペックモデルやスポーツモデルを常にラインナップしてきたという歴史を踏まえると、マークXにピュアスポーツの性格の強いコンプリートモデルをラインナップしたというのはむしろ自然な流れなのかもしれません。



5月に発売が迫るスープラではAT専用モデルであることが、物議をかもしていますが、マークXGRMNはベース車両がAT専用にもかかわらず、わざわざパーキングブレーキをサイドブレーキに変更してまでMT換装、前述の「マークⅡがMTをやめるなら俺はマークⅡの設計はしない」と訴えたエンジニアがいたという話もあながち嘘ではないのかもしれません。ただ、ベースモデルがATだけにペダルレイアウトに無理があるように感じるというのは否めません。



ちなみにこちらの展示車はメーカーオプションのカーボンFRPルーフが装着されていました。これで10kgの軽量化を達成しているというので、低重心化にもかなり貢献しているものと思われます。ただし露光していると黄変や白濁の可能性もあり、カーボンルーフ装着車は屋内保管が望ましいとのこと、ファミリーセダンにあるまじきストイックさです。



足回りは専用セッティングのサスペンションにBBS19インチ鍛造アルミにフロント235/40R19、リア255/35R19の組み合わせ、ブレーキは前後GR専用キャリパーの4輪ディスクです。

ボディはトヨタ自動車元町工場にて252か所の強化スポット溶接を施しています。諸元を見ると架装車扱いの持ち込み登録(改造車)ですが、ベース車両が「DBA-GRX133-AETTH」という型式打刻なのに対しわざわざ「DBA-GRX133-VMWBMT」という専用の型式打刻を割り振っているあたり、既存のモデルベースの架装車というよりほぼカタログモデルのような作りこみに圧倒されます。

価格は税抜き、オプション代無しで4,750,000円。

この内容で手組みであることを考えると採算度外視の価格であることは想像に難くありません。ただし、残念ながらすでにマークXGRMNは完売だそうです。マークXも現行モデルが発売になってから既に9年…。近年の国内のセダン需要の低迷もあり時期型マークXは廃止、カムリに統合との噂もありますが、時にスポーツカーを凌駕する俊足サルーンの側面を持つマークXはやはりなくすには惜しいものです。

GRガレージ高辻
住所:〒466-0057 名古屋市昭和区高辻町5-1
営業時間:火曜~土曜 9時~19時 、 日曜・祝日 9時30分~18時
TEL:(052)883-7401
FAX:(052)883-7406
公式サイト:https://www.aichi-toyota.jp/file/special/04701/1381/gr_garage/index.html

[ライター・カメラ/鈴木 修一郎]

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