
コラム
更新2020.08.19
懐かしきネーミング。ロータス エランの名を冠したモデルの再来を思い起こす
松村 透
いまでも街中で見掛ける機会が多いモデルですし、マツダが純正部品の再生産の可能性を示唆するなど、日本車の新たな歴史の扉を開いた1台であることは間違いないといえます。
2代目エランとユーノス ロードスターがは同じ1989年に発表された
2代目となるロータス エランが復活することになったのは、奇しくも、ユーノス ロードスターが発表された1989年と同じ年です。初代ロータス エランは、1962年に2シーターのオープンスポーツカーとしてデビュー。クローズドボディが追加されるのは1965年のこと。1.6L DOHC水冷直列4気筒エンジン、駆動方式はFR、4速/5速の違いはあれどMT車という、ユーノス ロードスターとの共通点も少なからず見受けられます。
ボディサイズで比較するとご覧のとおり。ユーノス ロードスターでさえコンパクトに見えるのに、初代エランはさらに小型であることが分かります。
*各モデルのボディサイズ
ロータス エラン(初代):全長×全幅×全高:3683×1422×1150mm
ロータス エラン(2代目):全長×全幅×全高:3810x1730x1255mm
ユーノス ロードスター:全長×全幅×全高:3970x1675x1235mm
2代目エランのエンジンはいすゞ ジェミニ用。駆動式はFFに
2代目エランには、いすゞ ジェミニ用の1.6L直4DOHC NAエンジン(最高出力130ps)と、インタークーラー付きターボモデル(最高出力165ps)が存在していました。日本に導入されたのは「SE」というグレード名が与えられたターボモデルのみ。タイヤサイズは、205/50ZR15インチ(SE)。アルミホイールはOZ製。最高速度は220km/h、0〜400m加速は15.4秒とアナウンスされていました。ちなみに、車両価格は625万円。いささか野暮な話しではありますが、ユーノス ロードスターとは3倍近い価格差があったのです。
これは筆者もはっきりと記憶していますが、当時、駆動方式にFFが採用されたことを嘆く声が大きかったように思います。それはまるで、トヨタ カローラ レビン/スプリンター トレノが、AE86からAE92にモデルチェンジした時点で、駆動方式がFRからFFに置き換わったときのようです。現在オンエア中のドラマ「タラレバ娘」ではありませんが、もしAE92とそれ以降のレビン/トレノの駆動方式がFRだったら・・・?AE86のように、現存している個体が多かったに違いないと想像します。
インテリアはいたってシンプル
2代目エランの内装は、黒で統一されたシンプルな構成。上級モデルにあたるSEのシートの素材には本革が採用され、赤いラインが背もたれと座面に配された仕様だけでなく、ベージュや黒単色のものも存在します。幌の開閉は手動で行う点は、古き良きライトウェイトスポーツの伝統の受け継ぐ・・・といえばそれまでですし、日本では600万を超える高級車であることを考えると、現代に誕生することがあれば必然的に電動オープンとならざるを得ないでしょう。
S2モデルを経て、韓国の起亜自動車として生まれ変わる。そして・・・
2代目エランは1992年まで生産されたものの、短命に終わったといわざるを得ません。1994年に一時的に「S2」の名を冠して復活を遂げたものの、韓国の起亜自動車から「キア ビガート」として、ロータスからエンブレムを交換して発売。1997年に生産終了となりました。その後、現在に至るまでロータス社からはエランの名を冠したモデルは発売されていません。
ロータス・エリーゼが発売されたのは1995年。すでに20年以上のときが過ぎているのです。エキシージや2イレブン、エヴォーラ、ヨーロッパなど、各モデルが展開されていることを鑑みると、そろそろ「エラン」の名を冠した3代目モデルが登場してもよいのでは・・・そう願うばかりです。
[ライター/江上 透]