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ライフスタイル

更新2023.12.09

日本の自動車史に爪痕を残した「愛さずにいられない」小さな5台の輸入車たち

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柴太郎

日本での販売は短命に終わったが、一般市場(ユーザー)に強いインパクトを与えた輸入車の絶版モデルは多数ある。


そのなかでも「小さな輸入車」にスポットを当て、5モデルを厳選。日本車も輸入車も新登場するたびにサイズが大きくなっている昨今だけに、「小さなクルマ」は逆に存在感があると思うゆえ、あえて小さなクルマたちを。


日本での販売台数的にはあまり振るわなかったが(涙)、そのインパクトの強さで「日本の自動車史に確実に爪痕を残した」といっていいクルマたちの魅力を振り返ることにしよう。


■デザインにインパクトはあるが、どこか「脱力系」漂う小型カブリオレ、ルノーウインド



▲個性あふれるデザイン。「限定30台」からスタートしたルノーウインド


小さなクルマで日本の自動車史に確実に爪痕を残したモデル……。筆者のなかですぐに浮かんでくるのが、ルノーウインド(2010年登場)。今、再び見ても強いインパクトがありつつも、どこか「脱力系」漂う、2人乗り小型クーペカブリオレだ。


冒頭の前文で「販売台数的に振るわなかったモデルもある」と書いたが、このウインドに関しては該当しない。なにせ、日本では、最初に「30台」の限定販売。マジですか! と驚くしかないが、そのあとも数十台ずつを定期的に追加するという手法で、日本ではトータルで100台ほどしか売らなかったというクルマ。


まさに「幻的なクルマ」で、逆にいうと、限定にせず通常販売ならけっこうな数が売れたかもしれない。ルノーウインドの真の販売面の実力を見たかったところだ……。


タルガトップに左ハンドル、5速MT。まさに「特別感のデパート」だ


「30台」限定販売と特別な売り方のウインドだが、クルマそのものも「特別感のデパート」という形容がハマる。


ルノートゥインゴのプラットフォームをベースに、全長を伸ばしたタルガトップモデル。伸ばしたといっても全長3835mm、全幅1690mmと現行トヨタヤリスと同じようなサイズ感のコンパクトさ。


見た感じ、ミッドシップにも見えるがFF。搭載パワートレーンは、直4、1.2Lターボと、直4、1.6L NAという2種類で、日本仕様は後者。最高出力が134psと痛快なところにも、特別感を感じさせる。


そして、日本仕様でも左ハンドル、5速MTという部分が泣かせる。極めつけの特別感といえるが、右ハンドル/2ペダルに慣れきった人にとっては運転しづらく「泣くしか」ないかもしれないですね(笑)。


運転席正面の3連式アナログメーター、ヘッドレスト一体型のシート(ウインド・オリジナル)など室内にも特別感が散りばめられている。


さらには電動開閉式のルーフ。その開閉時間はわずか12秒! どれくらいの速さかというと、100m走の男子トップアスリートのタイムに、3秒ほど足すだけという速さ(逆にわかりづらいですかね……)。当時のコンパクトモデルでは異例の速さと驚かれていたのだ。


「フランス版・ホンダビート」ともいえそうな傑作。ルノーウインドは、今も愛さずにいられない、大きなインパクトを与えた小さなクルマである。


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■「コンパクト輸入車界の無印良品」と呼びたくなるシンプルさと質感。VW up!



▲軽自動車規格よりひと回り大きいほどのサイズ。写真のように3ドアモデルも!


小さいというより、超小さい輸入車のなかですぐに浮かんでくるのがVW up!(2012年登場)。懐かしのルポの後継という位置づけで、それより少し長いが全長3540mmと軽自動車規格よりひと回り大きいくらいのサイズ感。5ドアに加え、3ドアが用意されていたのも話題性豊か。


グリルが強調しない顔、シンプルなボディ面など全体的にあっさりとした印象のデザインで、室内やインパネまわりのつくりもある程度の質感はありつつもシンプル。それでいて4人がしっかり座れる室内空間。いい意味のフツーでありながら実用性があり、3ドアモデルがなんと149万円からというコスパのよさ! まさに「コンパクト輸入車界の無印良品」と呼びたくなるほどのモデルだ。


■最低地上高がプラス10mm。SUV仕立てになったVW クロスup!も忘れちゃ困る!



▲Aセグのドイツ車でしかも安い! さらにはこんなクロスオーバーモデルも


149万円からと低価格に抑えた背景には低コスト化の実現がある。なにせ、パワーウィンドウはフロントだけで、3ドアのリアの窓は「はめ殺し」。5ドアは窓の後ろ側が数cm浮き上がるだけ。また、ドアミラーの格納は手動式。


加えて、搭載エンジンは直3、1L、NAとお世辞にもいい走りを味わえるものではなく、組み合わせされたトランスミッションが5速セミATのASG。シンプルな構造のシングルクラッチで、ギクシャク感はハンパなかったことを思い出す(汗)。


……とまぁ、「コストを抑えているなぁ」という部分は随所に感じたが、軽自動車よりひと回り大きいAセグのドイツ車、しかも安い! ということに大きな価値があるクルマ。


そうそう。その後、世の中のSUV時流に乗り、クロスup!というモデルも追加で登場(上の写真)。ややワイルド系のSUV仕立てに巧みにデザインされていたが、最低地上高が+10mmの155mmになり、タイヤが15インチから16インチになった効果がよく表れているモデルだと思う。


つい「いいね~」といってしまう、放っておけない魅力のあるモデルだった!


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■このMTはヤバいほど楽しい! 「小粒でもぴりりと辛い」シトロエンDS3



▲丸み+シャープさがあるデザイン。カブリオがあったのもユニーク


走りで鮮烈な印象を残したのが、先代のシトロエンDS3だろう(2009年登場)。筆者は直4、1.6Lターボの6速MTに乗ったことがあるが、シフトが面白いようにスコスコと入り、ひらひら感を感じる軽快な走りを味わえたことを今でも覚えている(なにせ車重が1tと少しですので……!)。


アクセル踏むたびに「楽しい~!」の連発で、筆者のフトコロに余裕があれば「セカンドカーはコレだね」と太鼓判押しの楽しさだった。


全長3948mmと4m未満のBセグ・3ドアハッチバックで、丸みがありつつもシャープさを漂わせるスタイル。ルーフが浮いているように見える「フローティングルーフ」がデザインのポイント。2ドアカブリオが用意されているのもこのモデルの個性で、趣味グルマの地をいっている一台といえるだろう。


2023年、新型DS3が登場したが、かなりサイズアップして「キャラ変」している。……ということもあり、小さくてとびきり速いDS3はこのシトロエンDS3のみ。


山椒は小粒でもぴりりと辛い。それがピタリとあてはまるクルマである。


■デザインと佇まいで「爪痕を残した」プジョーRCZ。フェンダーの膨らみがステキ!



▲大きくはないサイズのなかに流れるようなデザインを巧く注入


最後に、流麗さがクルマから漂うデザインの格好よさでこのモデルも取り上げたい。


2010年に登場したプジョーRCZだ。クーペスタイルではあるが、特有の佇まいがあるではないか。


308と共通プラットフォームを採用しているため、紹介してきた4モデルのように「小さい」というわけではないが、それでも全長4290mmとバカでかいわけではない。が、そのわりには全幅1845mmと当時としてはやや幅広いサイズ感に、クーペデザインを巧みに収めている。


外観ではルーフデザインも特徴的で、フロントからリアに伸びる左右部分と中央部は別パーツを使っている。標準モデルの中央部はアルミニウムを採用。……なんだか洒落てますね!


ちなみに、4人乗り。長距離移動の際、後席に座る人の心情をお察しします……と、ついいいたくもなるカタチだ。


最高出力270psという「モンスター」も参上。鮮烈な走りに驚愕!


そして、見た感じの印象を裏切らない走りもいい。直4、1.6Lの直噴ツインスクロールターボを搭載。2種類あり、最高出力が200psのほうはとにかく鮮烈な走り。さらに同じ1.6Lターボ、限定台数の6MTモデルで独自チューニングをほどこした、最高出力270psという「モンスター級」もラインナップされていた。鮮烈というより、恐ろしいといった形容がお似合いだった。


加えて、直4、2Lディーゼルターボ搭載モデルがあったこともユニーク(最高出力は163ps)。このクーペスタイルでディーゼルの走り味。今となっては稀少かもしれない。その意味でも「自動車史に爪痕を残した」モデルといえるだろう。


[ライター・柴太郎/画像・Volksqagen,Peugeot,Citroën,Renault]

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