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ライフスタイル

更新2025.09.27

はじめから一生モノやアガリのクルマと決めない方がいいという話

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松村 透

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日々、オーナーインタビューを行っていると、長年に渡って所有しているオーナーに共通していることがあります。すべて…ではありませんが、かなりの確率で「気がついたら30年所有していた」といった方が多いのです。


もちろん、手に入れたときから「これは一生乗るつもりで契約した」という方ももちろんいらっしゃいますが、どちらかというと少数派です。


とはいえ、ついに、そしてようやく憧れのクルマを手に入れるチャンスを得た人にとっては、心づもりができるかどうかによって今後のカーライフはもとより、人生までも左右する可能性があります。


結論としては「はじめから一生モノやアガリのクルマと決めない方がいいという話」です。


これがすべてではないけれど、頑張り過ぎて疲れ果ててせっかく手に入れた愛車を手放すといった事態を回避する意味においても、少しでもお役に立てれば幸いです。


■走れば汚れるし傷もつくし、そのまま保管しても劣化していく



自動車という工業製品としてこの世に造られた以上、どれほど貴重なクルマであっても「走ってナンボ」です。当然ながら走れば傷がつきますし、汚れます。


最近はペイントプロテクションフィルムが普及しつつあるので、新車の状態でボディ全体を保護(フロントガラスを含めて)すれば、飛び石や鳥の糞、洗車時の磨き傷などからのダメージを防ぐことができます。ただし、施工費が高額であり、ボディ全体にペイントプロテクションフィルムを施工するだけで100万円単位の出費になることも珍しくありません。魅力的ではあるけれど、一般的なメンテナンス用品ちはいえないのが現状です。かといってボディコーティングでは被膜がある程度磨き傷などを防いでくれたとしても、飛び石をくらえばいっぱつでボディに傷がつきます。


汚れるのもイヤだし、傷がつくのもイヤ。そうなると限りなく静態保存に近い動体保存という所有の仕方になりますが、それでは所有欲をある程度満たすことができても、心底運転の愉しさを味わうのが難しくなります。また、静態保存に近い動体保存をしたとしても、内外装はきれいな状態を保つことができても、タイヤやエンジン、そしてガソリンなど、クルマを走らせるうえで欠かせない動力系の部品が劣化します。


ならば、どうすれば良いか。「走れば汚れるし傷もつく」と割り切るに限ります。売るつもりがないのだからリセールバリューを気にする必要はありません。また残価設定ローンのように、月間走行距離の規定があるわけじゃありません。走って汚れたら洗車すればいいし、傷がついたらタッチペンで補修するか(錆を誘発しそうな場合は速やかな対応が必要ですが)、目立たなければそのままにしてもいいのです。


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■力みすぎると息切れする



これは一生乗るつもりなのだから常に完璧な状態にしなければ! ガソリンは●●●以外使わない! 汚れが固着する前に最低でも週に1度は洗車しなければ! すべて純正部品で維持して、ディーラーでメンテナンスしなければ!…などなど。自分で自分の首を絞めて、結果的に苦しくなって憧れのクルマを手放したという方を取材したことがあります。完璧や理想を追い求めるがゆえに、自ら逃げ場をふさいでしまったのです。繰り返しますが、「売るつもりがない愛車」です。「ま、これくらいはいいか」くらいの緩さが不可欠です。


定期的に予防整備さえしておけば、かなりの確率でコンディションを維持できます。それは新車同様ではないけれど「適度なヤレ」として、良い感じに使い込まれた味となっていきます。新品のときは傷ひとつない革製品が少しずつ馴染んでいく感覚です。


力みすぎると必ずといっていいほど息切れします。あくまでも趣味の世界です。ゴルフクラブや釣り竿には「しなり」があります。その「しなり」度合いには振れ幅が存在しますが、ガチガチの状態ではゴルブボールもルアーも遠くには飛んでくれません。適度な「しなり」があるからこそ、何百メートルという距離まで飛ばすことができるのです。


■途中で息切れすることは普通にある



これもよく誤解されがちですが、長きにわたって1台のクルマを所有している人にもさまざまな紆余曲折があります。金銭的に厳しいので、いったん車検を切ったり、手放す直前まで思い詰めたり、出来心で他のクルマに乗り換えようとしたり。何十年も所有していれば良いときも辛いときもあります。魔がさすことだってあります。むしろ、それが普通です。取材していて感じるのは「所有して10年前後がひとつの山場」のように思います。交換する部品が相次いだり、故障が続いたりして「もうそろそろいいかな」と思ってしまうのです。事実、ここで乗り換えを決断する人も少なくありません。


そして所有してから20年くらい経つと「売るに売れなくなる」境地(?)に達する人が多いようです。いまや体にもすっかり馴染んでいるし、マイナートラブルもほぼ解消した。そこにあるのがあたりまえになっているし、何より一緒に歩んできた時間と愛着がある。ここまでくればひと安心です。


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■保存を前提に乗るという手もあるにはある



とはいえ、なかには「どうしてもきれいな状態を維持したい」という人もいるのではないでしょうか。趣味の世界ですから決まりも正解もひとつではありません。自身の納得のいく形がベストです。「保存するために乗る」とうう方法もありです。まず、ガレージは必須です。ボディカバー+カーポートでももちろんありですが、やはり屋根付きガレージで保管するだけで、10年後、20年後のコンディションに大きな差が出ます。さまざまな事情で難しい場合も多々あると思いますが、可能な限り屋根付きガレージを用意してあげてください。


動体保存が目的なので、自身でルールを決めて、適度な頻度でエンジンを掛け、街乗り+高速道路を緩やかに走ってクルマ本来の使い方をしてあげてください。そして戻ってきたら洗車です。これも屋根付きガレージがあればかなり回数が抑えられます。


■まとめ:気がつけば30年くらい経っていた



そうこうしているうちにあっという間に数十年の月日が流れます。新車で手に入れた愛車もすっかり馴染んで、運転席に座れば目をつぶってもエアコンやオーディオの操作ができるようになっているはずです。気づけば愛車もオーナーもすっかり年を取りました。ほぼ「一生モノ」そして「アガリのクルマ」としての使命は果たせたのではないでしょうか。


そしていよいよ、そう遠くない未来に「愛車との別れ」の時期が近づいてきています。何人たりともこの運命から逃れることはできません。信頼できる次のオーナーに託すか、愛する我が子に受け継いでもらうのか、朽ちていくのが忍びないから、と、スクラップにしてしまうのか。それもオーナーであるあなたの自由です。


 

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