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更新2020.08.20

ランボルギーニから探る、スーパーカーへの憧れの今と昔

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中野 ヒロシ

1970年代にスーパーカーブームが沸き起こり、大人気となった漫画「サーキットの狼」で主人公が駆るロータス ヨーロッパをはじめ、フェラーリのBBシリーズやデ・トマソ パンテーラなどヨーロッパのミッドシップスポーツカーが大人気となった。


その中でも多くの人気を集めスーパーカーの代名詞的な存在になったのはランボルギーニ カウンタックではないだろうか。他のクルマと比較して、どうしてもクルマの持つ華というのはカウンタックが一番だと感じざるを得ないのだ。前衛的なデザインに加え、LP400Sから装着された巨大なリアスポイラーもそうだが、やはりシザードアの存在が大きいはずだ。ドアが上へ跳ね上がるインパクトは当時その存在を初めて知った人にとってはかなり衝撃的であっただろう。シザードアそのものが、スーパーカーの象徴するアイテムと言っても過言ではない。クルマに対してあまり知識がない人でもドアが上へ開くことに対して特別だという認識を必ず持つはずだ。


当時は写真やカード、消しゴムなどが流行り、スーパーカーのサウンドを収録したレコードも売られていた。スーパーカーの姿をひと目見ようとスーパーカーショーは大賑わいとなったことから、スーパーカーの存在そのものがエンターテイメントであったのだろう。

そこから40年の時を経た今でも、スーパーカーの持つエンターテイメント性は依然として変わることはない。とりわけランボルギーニにおいては、最新のアヴェンタドールでもシザードアを採用し続けているし、ミッドシップに巨大なV型12気筒エンジンを搭載している。

ただそのエンターテイメントを享受する方法は過去と比較して大きく変化した。





スーパーカーの情報を得るために、YouTubeやTwitterが欠かせない存在となっている。YouTubeで最新のアヴェンタドールを検索すれば、マフラーから火を噴く大迫力な映像がすぐに視聴することができる。他にも全開走行しているオンボード映像、深夜の高速道路でストリートレースを繰り広げる映像など盛りだくさんだ。このような映像をスーパーカーブーム当時の子どもたち見せたら、いったいどうなってしまうのだろうか。「カッケー!(カッコいい)」と絶叫する姿が目に浮かぶようだ。

そのような動画を投稿するYouTuberは、ランボルギーニのようなスーパーカーが出没するような場所で待ち構え、追いかけ、より良い映像を撮影することに腐心している。彼らは「カースポッター」とも呼ばれ、映像の題名には車種名とともに出没したという意味のSPOTTEDという言葉が添えられる。スーパーカーを捉えることは今や当たり前で、いかにエキサイティングなシーンを撮影できるかということが主眼目であり、彼らは競い合うように動画を撮影している。

単純にクルマを撮影するというのは当たり前で。たとえば全開でフル加速しているシーン、空吹かしをしてアフターファイヤーを起こしているシーンのようなエキサイティングな映像が動画の再生回数をより多く集めるためのカギとなっているのだ。

そのような映像を撮影するメッカのような存在となっているのが、イギリスのロンドンだ。ロンドンには想像を絶するようなお金持ちが避暑のために集まり、ロンドンで乗り回すためだけに空輸でスーパーカーを持ち込んでくる。ブガッティといった1億円を越えるような車も普通に走行しているような地域なのだ。だからこそ、ロンドンが一番の発信場所となっているのだ。




そのような映像をYouTubeに6年前から投稿し続けている「Shmee150」というアカウントがある。今ではYouTubeなどから得られる広告収入などにより、アカウントの運営者はマクラーレン 675 LT、ポルシェ ケイマン GT4、フェラーリ FFの3台のスーパーカーを所有するまで至っている。ちなみに年齢はまだ20代の若者だ。そうした活動が、スーパーカーオーナーとの交流を築き、さらにはメーカーとの交流をも築き、今ではケーニグセグのファクトリへ招待され映像を制作するまでになった。何よりも彼を突き動かしているのは「ただ単にクルマが好き」という極めてシンプルな感情だろう。自分が好きなもので稼ぎ、憧れだったスーパーカーを所有できるなんてなんと羨ましいことなのだろうか。

そして、そのような映像や写真をYouTubeなどに投稿する人は日本にも増えつつある。彼らは大黒パーキングエリアや辰巳パーキングエリア、青山通りなどでランボルギーニをはじめとするスーパーカーが現れるのを待ち構えている。撮影する方法はフィルム式のカメラから映像へと変化しているが、スーパーカーブームの頃と変わらない光景がそこにあるのだ。

視聴する側からしても海外の映像よりも日本で撮影された映像に対して親近感がわきやすく、自分が知っているような場所をランボルギーニが走行しているというシーンに驚きを与えてくれるのだろうと推測している。しかしながら、被写体となってしまうクルマを所有するオーナーへの配慮も大切だろう。撮影しても大丈夫なのか許可を得ること、ナンバーを認識できないように加工をするといったことは、プライバシーを保護する上で欠かせない配慮だ。

加えて、そのような彼らにパフォーマンスをするスーパーカーオーナーの存在も忘れてはならない。世界的に有名となっているランボルギーニオーナーの諸星伸一氏の存在は、日本においても大きな影響力を持っているのは明らかだろう。累計1億本を販売する人気レースゲーム「ニード・フォー・スピード」にも登場し、独自のカスタムが施されたランボルギーニを自動車ショーなどに積極的に展示している。

映像を撮影するカースポッターのような人や、ギャラリーに対してはランボルギーニの圧倒的な音量の空吹かしでパフォーマンスを行う。このような行為に対して色々な主張が出てくるのは仕方ないことなのだろうが、同時にそんなオーナー達に憧れを持つ子どもたちの存在もある。クルマに対しての関心や憧れといった感情が希薄化する中で、より身近にスーパーカーの存在というのを感じることができ、それを手に入れるということも決して不可能ではないことも彼らから感じ取っているようにも思える。

決してクルマに対しての憧れ、スーパーカーに対しての憧れを皆が皆失ってしまったわけではない。

刻々と時代が変化する過程において、ランボルギーニといったスーパーカーの存在がエンターテイメントとしてどのように変化したのかということを取り上げたが、過去と変わらずにクルマという存在が憧れであり、単純にカッコ良いと思わせたり驚きを与えてくれたりする存在であることに変わりはないと感じる。

テクノロジーの発達によって、よりリアルにスーパーカーをドライブできるという体験がバーチャルで可能になるかもしれないが、それはそもそもスーパーカーが魅力的であるからそのような体験を作り出そうという感情が生まれているのではないだろうか?スーパーカーはこれまでも、そしてこれからも魅力的でカッコ良い存在であるはずだ。

[ライター/中野ヒロシ]

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