更新2025.10.31
世界限定70台のBMWも展示される「JAPAN MOBILITY SHOW 2025」取材レポート
松村 透
2025年10月29日(水)から11月9日(日)まで(一般公開は10月31日から)開催されている「JAPAN MOBILITY SHOW 2025(以下、ジャパンモビリティショー)」の模様を取材してきました。
■ジャパンモビリティショー2025に出展した輸入車メーカー
「外車王SOKEN」ということで、輸入車を中心に紹介していきます。
●メルセデス・ベンツ
2025年6月に世界初公開されたEVモデル「コンセプトAMG GT XX」をはじめ、フルモデルチェンジのタイミングでEVモデルのラインアップに加わった「CLA」、2025年9月に開催された「IAAモビリティ2025」において発表されたばかりの「GLC with EQテクノロジー」を展示。
さらに、2025年4月に開催された「第21回上海国際汽車工業展覧会(上海モーターショー)」において世界初公開された、次期Vクラスとの説もある「ビジョンV」を初披露。
そのほか、ボンネットや幌にマイバッハのロゴがあしらわれたメルセデス・マイバッハの「SLモノグラムシリーズ」も展示され、見た目はシンプルながらも近くで見ると強烈なインパクトを放っていました。
●BMW
2025年9月にドイツで開催されたばかりの「IAAモビリティ2025」で世界初公開された「iX3」をはじめ、燃料電池技術の実証実験車両である「iX5 Hydrogen」のほか、5月に世界初公開した「M2 CS」を日本初公開。さらに「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2025」において世界初公開されたのコンセプトモデル「BMW コンセプト スピードトップ(世界限定70台)」、日本の伝統工芸を施したコンセプトモデル「X7 NISHIKI LOUNGE」など、今後のBMWを占うモデルが一堂に会した今回のBMWブース。一時期は大きくなりすぎた感のあるキドニーグリルも、ようやく見慣れたBMWらしい顔つきに戻りつつあるようです。次世代のモデルからM2 CSのような「いまのうちに買えるなら買っておきたい」ハイパフォーマンスモデルまで、幅広いユーザーに響くモデルをバランス良く展示している印象を受けます。
●BMW MINI
1998年に1800台が限定生産され、またたく間に完売してしまった、クラシックミニ版の 「ポール スミス」モデル。今回、BMW MINIとしては初となる「MINI ポール スミス エディション」が世界初公開されたのです。しかも、ポール スミス氏本人がサプライズで登場し、仕事そっちのけで記念撮影する来場者が続出することに。「MINI ポール スミス エディション」は、「MINIクーパー3ドア」「MINIクーパー5ドア」「MINIクーパー コンバーチブル」の3モデルに設定され、ボディカラーは限定カラー2色を含む3色が用意されます。1959年のオースティン セブンを想起させる「ステイトメント グレー」、そしてクラシックミニのボディカラーをオマージュした「インスパイアード ホワイト」、既存のボディカラーである「ミッドナイト ブラック2」が用意されます。まずはEVモデルが発売され、内燃機関搭載モデルは2026年第1四半期に受注開始の予定となっています。なお、10月31日(金)~11月17日(月)までMINI 六本木でも実車が見られるので、お近くの方は足を運んでみては?
●BYD
今回、かなり注目度が高かった「BYD」。ドイツのテストコースで最高速度496.22km/hをたたきだし、さらにニュルブルクリンク北コースでも6分59秒157を記録した世界限定30台のEVスーパースポーツモデル「YANGWANG U9 Xtreme」や、PHEVモデルの「SEALION 6」、そして日本の軽自動車規格に合わせて開発された、BYD初の海外専用設計モデル「RACCO」の3台を展示。「RACCO」の日本市場への導入は2026年夏頃、走行距離に合わせてショートレンジとロングレンジの2タイプが用意される予定です。「両側スライドドア+トールワゴン+EV」という、軽自動車としてもっともニーズが高いパッケージを採用しているEVであり、子育て世代にも注目のモデルです。気になる価格は明言されていないものの「適正な価格」と発表されています。価格次第では、来年のニューモデルのなかで台風の目となりうる可能性を秘めたモデルだといえます。
●ヒョンデ
かつては「ヒュンダイ」と呼ばれ、現在は「ヒョンデ」となった同社。今回、SUVのスタイリングを身に纏った燃料電池車(FCEV)の新型「NEXO」を日本初披露したほか、ヒョンデのフラッグシップEV「アイオニック5」やデザインコンセプトカーである「インスタロイド」も参考出品されています。「NEXO」は2026年上半期の販売開始に向けて準備中とのことで、こちらも要注目のモデルです。
■輸入車メーカーの出展は相変わらず少ないけれど…それぞれのブースの熱量は高い
少し前まではあたりまえのように出展していた多くの輸入車メーカー。では、最後に出展したのはいつなのか?過去に遡って調べてみました。
・2003年:ブガッティ、オペル、サーブ
・2005年:アストンマーティン、KIA
・2007年:フェラーリ、マセラティ、ベントレー、ランボルギーニ、フォード、GM、クライスラー、ヒュンダイ(乗用車)/2025年に復帰
・2009年:ケータハム(この年は多くの輸入車メーカーが出展見合わせ。出展したのはBMWアルピナ、ロータス、ケータハムのみ)
・2011年:なし
・2013年:ジャガー、テスラ、KTM
・2015年:アルファ ロメオ、アバルト、ジープ、ロータス、ランドローバー、レンジローバー、ラディカル
・2017年:ポルシェ、BMW、BMW MINI、フォルクスワーゲン、アウディ、ボルボ・カー(乗用車)、シトロエン、DS、プジョー
・2019年:BMWアルピナ、ダラーラ(TOKYO SUPERCAR DAY 2025 in JMS枠で復帰)、アストンマーティン(TOKYO SUPERCAR DAY 2025 in JMS枠で復帰)、アルピーヌ
・2021年:東京モーターショー開催中止(同年4月22日時点で発表あり)
・2023年:ルノー
ハイブランドメーカーを中心に、すでにオーナーとなった人向けのイベントを行うなど、かなりターゲットを絞り込んできていることが分かります。イベントに出展するだけで莫大な費用が掛かりますし「費用対効果(この言葉はあまり好きにはなれませんが)を考えるとどうなの?」と本国から問われたら答えに窮してしまう側面があることも事実です。
■今回もクルマ好きを喜ばせてくれる「TOKYO SUPERCAR DAY 2025 in JMS」ブース
東京ビッグサイト 南ホール3・4ホールには「TOKYO SUPERCAR DAY 2025 in JMS」のブースが、約20社の協力企業による23台のハイパーカーやスーパーカー、国産スポーツカーやバイクをが展示され、華やかな雰囲気に。
アストンマーティンには「アストンマーティン ヴァンキッシュ」が展示されており、向かい側がトミカブースということもあって、注目を集めそうです。マクラーレンには「マクラーレン アルトゥーラ スパイダー」と「マクラーレン MP4/6」。一般社団法人 日本スーパーカー協会の一角には「マクラーレン セナ」「フェラーリ ディノ246GT」「ランボルギーニ カウンタック(11/4まで。11/5〜ラ フェラーリに変更予定)」「ランボルギーニ レヴエルト」、シュアラスターには「ポルシェ911カレラ2(964)」が。これだけでもジャパンモビリティショーに行く価値があります。
ダイナースクラブには「ダラーラ ストラダーレ」、kleenDEPOTには「エンツォ フェラーリ」「メルセデス・ベンツ SLR マクラーレン」、BEWITHには「ケーニグセグ Jesko」、エアージェイには「フェラーリ SF90 XX ストラダーレ」などなど…普段はめったに見られないハイパーカーやスーパーカーが一堂に会する豪華さです。「TOKYO SUPERCAR DAY 2025 in JMS」の一角はかなり「濃い」ので、じっくり見ているとあっという間に時間が経ってしまう人も少なくないはず。
日本コムシンク株式会社の一角には「マクラーレン 765LT」が展示されており、しかも運転席に座れる(!)という大サービスぶり!筆者も勧められましたが、大切なオーナーカー。シートやサイドシルなどは養生してありますが、万一のことがあってはいけないのでなくなくお断りしました。同社の代表取締役会長 兼 社長である山里真元氏と取締役 広報戦略室 室長である山里真貴氏によると「現在、クルマ好きのエンジニアを募集しております!」とのことです。興味を持たれた方はこちらのURL[ https://www.comthink.co.jp/recruit/ ]をご覧ください。企業のトップとクルマ談義しながら仕事ができるかも。
大阪府箕面市でポルシェのレンタカーやカフェ、コワーキングスペース、ポルシェが乗り放題というメンバーシップ制度を展開中の「ポルシェゲート」は、「ポルシェ935 K3」「ポルシェ911 タルガ スポルトマチック(US仕様)」「ドゥカティ 900MHR」の3台を展示。オーナーのアンディ内海氏によると、2026年に横浜、2027年には名古屋にも店舗を構える計画があるそうで、それぞれのエリアのポルシェオーナーにとって気になるスポットであることは間違いないでしょう。プラレール号に乗ってお邪魔しないと。詳しくはこちらのURL[ https://porschegate.com/index.html ]をご覧ください。
■クルマが空を飛ぶ日は遠くない?
10年後の未来を体験できる「Tokyo Future Tour 2035」のフロアには、大阪万博で「空飛ぶクルマ」のデモフライトを行ったSkyDrive社[ https://skydrive2020.com ]の「SD-05型」1/1スケールのモックアップモデルが展示されており、衝撃を受けました。ついにというか、いよいよ来たかというべきか。大阪万博で高度約4m、飛行時間は約3分間、パイロットは搭乗せず自動制御とリモート操縦での運航という、ずっと未来の話だと思っていたことが確実に実用化、現実の世界に近づいていることを実感しました。
●空飛ぶクルマ「SKYDRIVE」の基本仕様(同社のWebサイトより抜粋)
・機体サイズ(全長×全幅×全高):約11.5m × 約11.3m × 約3m(ローター含む)
・最大搭乗人数:3名(操縦士1名+乗客2名)
・燃料:バッテリー(電動)
・駆動方式:12基のモーター・ローター
・主要構造材料:複合材(CFRP)やアルミ合金など
・最大離陸重量:1,400 kg
・最大巡航速度:100 km/h(対気速度)
・航続距離:15 ~ 40 km
同社によると「空飛ぶクルマとは、電動化、自動化といった航空技術や垂直離着陸などの運航形態によって実現される、利用しやすく持続可能な次世代の空の移動手段です。車のように日常的に利用してほしいという思いから、『空飛ぶクルマ』と呼ばれています」とのこと。
小さい頃に読んだ絵本で「21世紀はこんな世界が広がってる」といったタイトルを銘打ったページに、テレビ電話や空飛ぶクルマのイラストが描かれていたことを覚えています。たしか道行く人が宇宙人みたいなアンテナを張った帽子を被っていたような(笑)。幼心に「ほんとかよ」と思った記憶があります。が、すで日常的に使っているものもあります。仕事の関係者との打ち合わせでテレビ会議を使うことも珍しくなくなりましたし。コロナ禍に流行った「オンライン飲み会」もありましたね。絵本で見た空飛ぶクルマ(しかもパイロットがいない全自動運転)が夢物語ではなく、「そういえばついこのあいだ大阪万博で見たような…」なんて思っているうちに実用化されてしまいそうです。
■まとめ:前回より確実にパワーアップしている「ジャパンモビリティショー2025」
公私を含めると、この30年以上、東京モーターショーを経てジャパンモビリティショー会場に足を運んでいます。はじめて訪れたのは1991年に開催された第29回 東京モーターショーでした。1954年から現在までで唯一、来場者が200万人を超えた年です。当時は学生でしたが、あまりの人の多さで写真もまともに撮れず、それでも朝から晩まで会場内を歩き回ってきた記憶があります。
「モーターショー、この先大丈夫か!?」と心配になったのは2009年。リーマンショックが起こった翌年のときです。先述したとおり、多くの輸入車メーカーが出展を見合わせました。来場者数も前回(2007年/約143万人)の半分以下となる61万人。東京モーターショー黎明期の頃の来場者並み、といえば想像がつくでしょうか。
そして今回、輸入車メーカーの出展が少ないのは相変わらずですが、その分、日本車が勢いづいているような印象を受けました。トヨタを筆頭に「クルマが好きな人たちが開発している」気配が感じられるのです。センチュリーブースで行われた豊田彰男会長のプレゼンテーションは、居合わせた人たちの心を掴むほどの素晴らしいものでした。
そして今回が2回目となる「ジャパンモビリティショー」、少しずつ輪郭が定まってきたようにも感じます。「TOKYO SUPERCAR DAY 2025 in JMS」や「Out of KidZania in JMS2025」、先述した10年後の未来を体験できる「Tokyo Future Tour 2035」など、さまざまなメインプログラム(企画展)も見どころがあります。ニューモデルやコンセプトモデルが気になると思いますが、各メインプログラムもチェックしてみてください。
筆者も、朝イチから18時の閉会まで会場にいたのにゆっくり観た記憶がないので、開催期間中にプライベートでも足を運んでみるつもりです。
ちなみに、前売り券は大人が2,700円、当日券は3,000円、アフター4(一般公開日/月~土曜日の16時以降に入場可)は1,500円です。いずれも、高校生以下は無料です。一般公開日(土日祝)の9時から入場可能な「アーリーエントリー(一般入場は10:00から)」は3,500円(限定5,000枚/1日あたり)です。こちらも高校生以下は無料。なお、小学生以下は保護者の同伴が必要です。
●JAPAN MOBILITY SHOW 2025 開催概要
名称:JAPAN MOBILITY SHOW 2025(ジャパン モビリティ ショー 2025)
主催:一般社団法人 日本自動車工業会(JAMA)
会期:2025年10月30日(木)~11月9日(日)
<一般公開日>
・10月31日(金)13:30~19:00
・11月1日(土)、3日(月・祝)、8日(土)*9:00~19:00
・11月2日(日)、9日(日)*9:00~18:00
・11月4日(火)~7日(金)10:00~19:00
*一般公開日(土日・祝日)の9時~10時の時間帯は、アーリーエントリーチケットをお持ちの方のみ入場可
会場:東京ビッグサイト
入場料:
【一般公開日】
・当日:3,000円
・前売/20名以上の団体:2,700円
・アーリーエントリー:3,500円(土日・祝日のみ)
・アフター4:1,500円(日曜日除く16:00以降)
<無料対象>
・高校生以下
・障がい者手帳をお持ちの方(要手帳提示)、及び付添者1名(車いす利用の場合は2名)
URL:https://www.tokyo-motorshow.com/




