コラム
更新2021.04.09
当時のジャガーが威信をかけて世に送り出した「ジャガーXJ220」
松村 透
220マイルという、現代においても限られたモデルでしか到達することのできない速度領域。いまから20年以上も前に、本気でこの速度域に到達することを試みたモデル、それがジャガーXJ220。当時のジャガーが威信をかけて世に送り出したモデルなのです。
■車名の「220」は、最高速度220マイルを意味する■
1988年イギリス・バーミンガムショーにてデビューを果たしたジャガーXJ220(以下、XJ220)。当時のレーシングカーそのものといえるフォルム、コノリー社製レザーに覆われた豪華な内装。車名の「220」は、最高速度220マイル(354.05キロ)を意味しており、まさに当時のジャガーが威信をかけて世に送り出したモデルといえます。
■世界最速モデルの称号を手にしたXJ220■
イギリスの自動車専門誌「Car」が、イタリア・ナルドサーキットで開催した世界最速モデルを決めるテストにおいて、XJ220は212.3マイル(約349.2キロ)を記録し、当時の世界最速モデルの称号を手にします。3リッターV6ツインターボエンジンの最高出力は542馬力。0-100キロ加速は3.9秒。XJ220は、現代のスーパーカーと比較しても遜色ないレベルの性能を誇っていたのです。
■世界の好景気をあおりを受け、注文が殺到したXJ220■
XJ220のイギリスでの価格は、税抜きで34万ポンド。性能だけでなく、価格もスーパーカークラスであったにも関わらず、世界中から注文が殺到。完売となります。そこでメーカーより、当初の予定より増産し、350台のXJ220を生産するとアナウンスされます。その内訳は、イギリスが104台、フランスが40台、ドイツが37台、スイスが21台、日本は17台で、残りは世界各国へデリバリーが決まっていました。
■運命に翻弄されたXJ220と現在■
しかしその後、世界が不景気へと転じ、注文のキャンセルが相次ぎます。既にバブル経済が崩壊していた日本においても、並行輸入という形でわずかの台数が上陸を果たします。現在も少なくとも数台のXJ220が日本に生息しており、ごく稀にではありますが街中でその姿を見掛けることができます。また、ネオクラシックの領域に入りつつあるXJ220は、その市場価値から海外のオークションなどでも評価が上がり始めており、今後もその傾向は加速していくものと予想されます。
いかがでしたか?現代のスーパーカー事情とは異なり、選択肢が限られていたなかで、17台ものXJ220が日本へ割当てられたことが驚きです。当時注文を入れた方が、XJ220に対して何を求め、どのような期待を込めて契約書にサインをしたのか?とても興味深いです。
[ライター/江上透]
■車名の「220」は、最高速度220マイルを意味する■
1988年イギリス・バーミンガムショーにてデビューを果たしたジャガーXJ220(以下、XJ220)。当時のレーシングカーそのものといえるフォルム、コノリー社製レザーに覆われた豪華な内装。車名の「220」は、最高速度220マイル(354.05キロ)を意味しており、まさに当時のジャガーが威信をかけて世に送り出したモデルといえます。
■世界最速モデルの称号を手にしたXJ220■
イギリスの自動車専門誌「Car」が、イタリア・ナルドサーキットで開催した世界最速モデルを決めるテストにおいて、XJ220は212.3マイル(約349.2キロ)を記録し、当時の世界最速モデルの称号を手にします。3リッターV6ツインターボエンジンの最高出力は542馬力。0-100キロ加速は3.9秒。XJ220は、現代のスーパーカーと比較しても遜色ないレベルの性能を誇っていたのです。
■世界の好景気をあおりを受け、注文が殺到したXJ220■
XJ220のイギリスでの価格は、税抜きで34万ポンド。性能だけでなく、価格もスーパーカークラスであったにも関わらず、世界中から注文が殺到。完売となります。そこでメーカーより、当初の予定より増産し、350台のXJ220を生産するとアナウンスされます。その内訳は、イギリスが104台、フランスが40台、ドイツが37台、スイスが21台、日本は17台で、残りは世界各国へデリバリーが決まっていました。
■運命に翻弄されたXJ220と現在■
しかしその後、世界が不景気へと転じ、注文のキャンセルが相次ぎます。既にバブル経済が崩壊していた日本においても、並行輸入という形でわずかの台数が上陸を果たします。現在も少なくとも数台のXJ220が日本に生息しており、ごく稀にではありますが街中でその姿を見掛けることができます。また、ネオクラシックの領域に入りつつあるXJ220は、その市場価値から海外のオークションなどでも評価が上がり始めており、今後もその傾向は加速していくものと予想されます。
いかがでしたか?現代のスーパーカー事情とは異なり、選択肢が限られていたなかで、17台ものXJ220が日本へ割当てられたことが驚きです。当時注文を入れた方が、XJ220に対して何を求め、どのような期待を込めて契約書にサインをしたのか?とても興味深いです。
[ライター/江上透]