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車悦

更新2023.11.22

クルマは名刺代わり。ぜひ楽しいクルマ選びをしませんか?

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中込 健太郎

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これはもしかすると、一応自動車ライターの端くれの自分だから言えることなのかもしれませんが、クルマは名刺のようなものにもなる、というお話をしたいと思います。

よく買取店に勤めていた時は、会社からの指導で「アルファードのお客様」とかクルマでお客様を判別してはいけません、と指導されていました。それはそうですね、山田様なり佐藤様なり、皆さまお名前あるわけで、しっかりそういうのでお呼びする、対応するべきです。しかし、ともすると、佐藤様も何人もいらっしゃったりすると「(車種)のお客様」は内輪ではまかり通ってしまっていたりしたものです。

この例はともすると失礼な話なのですが、クルマには「そのクルマに乗っている」という、そのオーナーの方をキャラクタライズさせる一面はあって、私たちのような人間にとっては大切だと思うのです。

私は現在ご存知の通りマセラティ430に乗っています。マセラティ自体もそうそうたくさん走っているクルマではないですが、特にこの80年代から90年代のあたりに拡販を目指して世に送り出したコンパクトマセラティは、クルマ好きなら多くの人が知る故障の温床、アシにするのは難しいクルマだというイメージがとても強いクルマです。しかし、実態はというと、今まで乗ってきた輸入車の中で比べても故障は少ないのではと思うほど快調です。メルセデス・ベンツ300E 4MATICやシトロエンBX 16TRSもかなり故障はしにくいクルマですが、その車種の中でもメンテナンスの行き届いた個体が手に入ったこともあり、少なくとも出先で止まって困ったということは一度もありませんでした。(メルセデスの時に一度ガス欠をやらかしましたがw)それらと比べてもそん色ないくらい壊れません。今までのオーナーの方の寵愛、几帳面に日本人の見立てと仕事で仕上げるマイクロデポさんの対策・仕事も大いに奏功している結果でしょう。



イタリア車をけちょんけちょんに言う傾向がありますが、おそらく設計に関しては世界一と言ってもいいと思います。しかし、それを組み付けるおじさんたちが気まぐれ、ムラッ気があるのかもしれません。だからその調整をしてあげておけば、素晴らしくハイパフォーマンスで、しかも機械的説得力に加えて、甘美な情緒的官能を合わせて乗る者に体感させてくれる素晴らしいクルマであることを知ることになるでしょう。マセラティのヴェルディのオペラに出てくる渋いハイバリトンの歌でも聴くような、軽やかに重厚なエグゾーストノートに耳をすませば、多少前時代的な燃費水準も「クルマの神様への浄財だ」と納得できてしまうほどなのです。

と、こんなクルマですが、それは乗ってみなければわかりません。善良なる、そしてまっとうな、家族などもお持ちで責任も果たしておられる方が、我が家の愛車一台にビトルボ系マセラティを選ぶなどという行動は、そうそうとれないでしょう。そういうこともあってでしょうが、アシのように430を使っていると、とても多くの人に声をかけられます。

昔コマーシャルで「ハムの人」というのありましたね。今でもやってますでしょうか。お歳暮などでハムを送ってくれる人になろうというもので、名前以上、それこそ「ハム」フラグが立ってしまっている人のことですね。そういうので言えば「マセラティの人」になっているのかもしれません。



業界の方も大勢いらっしゃる先日のJAIAの試乗会でも、メーカーの方やジャーナリストの方にも「マセラティ、まだ元気そうですね。」とか、私の顔を見るなり「あ、マセラティ!」とおっしゃる著名な先生。またいただいた資料をクルマに置きに行こうと思って戻ると、クルマの周りを見て歩いている編集者の方などがいたりするものです。はたまた、専門店回りをしたりするのですが、あのエンジン音を聞いて察しの言い方は普段は出てこないのに、お出迎えに出てこられたりするのです。「すごいの乗ってるね!」「大したもんだ」と感心されます。それからいろいろ話も弾んだりするもの。クルマを囲んで新しい出会いもありました。クルマは本当に名刺のような存在なのです。

クルマは確かになんでもいい。これは今でもそう思います、用役としての機能はどんなクルマでも果たせます。クルマ自体が持つ効果効能利便性は多くの個人の可能性を飛躍させることでしょう。多くの難儀な移動を容易にし、出かけてよかったという体験をもたらすに違いありません。しかし、いいクルマ、こだわりのクルマ、好きなクルマに乗ることでより一歩踏み込んで「自分のクルマ」になることはあると思っています。何も高価なクルマを買えばいいという話ではありません。(私のマセラティもアシ車にもっと経済的な高年式車が欲しいくらいですが、軽自動車も買えないような価格で購入しました。)



道を走ればきわめて社会的な存在、それがクルマです。しかし、所有に関しては、個人の欲求を満たすかどうか、これはとても重要な要素です。かわいいと思った、色が気に入った。珍しい仕様だね。なんでもいいですがそんな心をつかんで離さない要素に惹かれて選び、それを楽しんでいる姿は周囲の人にも「クルマで楽しんでるな」と映ることでしょう。そう考えるとクルマの仕事をしていない人にとっても多かれ少なかれ「クルマは名刺のようなもの」は当てはまるのかもしれません。

繰り返します。クルマに貴賤はありません。どれもみんな自動車です。でも!だからこそ!好きなクルマに乗ってください。ギャラリーアバルトの山口館長は昔こんなメッセージをくださいました。「好いクルマに乗って、佳い人との出会いを」この漢字の選び方が秀逸ですね。まさにそういうことだと思います。クルマは、その良さに心酔し堪能するばかりでなく、あなたを代表する名札のような存在でもあるのです。気張る必要も饒舌になる必要もありません。お気に入りの愛車があれば彼(彼女)が語ってくれる可能性はあると思いますよ。ぜひ楽しいクルマ選びを。

( ※当記事は過去にメルマガ配信した記事の再編集版です)

[ライター/中込健太郎]

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