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ドイツニュース

更新2021.10.12

英でガソリン不足が深刻化、ビザ条件緩和や軍動員で運転手不足に対応

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外車王SOKEN編集部

英国でガソリン不足が深刻化している。運転手不足で製油所からの燃料輸送が困難になり、一部のガソリンスタンドが閉鎖した影響で、供給が滞るとの懸念からパニック買いが広がったためだ。政府は軍を動員して輸送支援を行うほか、就労ビザの条件を一時的に緩和し、短期ビザを発給するなどして運転手を確保する計画だが、英全土で約10万人が不足しているとされ、抜本的な解決につながるかどうかは不透明だ。


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事態が深刻化した直接のきっかけは、英石油大手BPが9月23日にガソリンスタンドを一部閉鎖すると発表したことだ。輸送トラックの運転手が不足して燃料が運べなくなり、閉鎖を余儀なくされた。これが人々の不安をあおって買い占めが相次ぎ、ガソリン小売協会によると、27日時点で50~90%のガソリンスタンドで在庫が底をついた。政府は「ガソリンは十分にある」として国民に冷静な対応を呼びかけているが、今月に入ってもパニックは収まらず、在庫があるスタンドには給油待ち車が殺到している。


トラック運転手の不足は以前から問題になっていた。同部門では欧州連合(EU)からの移民に労働力を依存していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を機に大半が帰国した。英国はEUから離脱したため、再入国する際は語学力や雇用契約などの条件を満たして就労ビザを取得しなければならない。コロナ禍で英国を去ったEU市民の多くがビザを取得できず、クリスマスに向けて物流の混乱や物価の上昇が加速するとの懸念が広がっている。


こうした中で政府は25日、就労ビザの条件を一時的に緩和し、トラック運転手5,000人、家禽産業の従事者5,500人に短期ビザを発給すると発表した。有効期限は12月24日までの約3カ月。クリスマスに向けて物流業界を支援し、サプライチェーンのひっ迫を緩和するのが狙いだ。ガソリンなど燃料輸送には安全に関する資格が必要なため、政府は業界団体と協力して円滑に資格を取得できる仕組みを整えると説明している。


政府はこのほか、軍を動員して燃料輸送を支援する方針を打ち出した。BBCによると、4日から陸軍の兵士約200人が国内各地のガソリンスタンドに燃料を運ぶ。クワルテング・ビジネス・エネルギー・産業戦略相は「業界の努力でガソリンスタンドの状況は改善しつつある。全国的な燃料不足は起きていないため、普段通りの購入を心がけてもらいたい。速やかに通常の購入ペースに戻れば、それだけ早く正常な状態に戻ることができる」と述べ、国民に冷静な対応を求めた。


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