更新2025.06.05
車庫証明書の住所変更ガイド|必要書類と手順について詳しく解説
外車王SOKEN編集部
引っ越しに伴う各種手続きのなかで、忘れがちなのが車庫証明書の住所変更です。しかし、この手続きには法的な期限が設けられており、遅れると罰金が科せられる可能性があります。
本記事では、車庫証明書の住所変更について、必要書類から手続きの流れについて詳しく解説します。これから引っ越しをする予定の方は、ぜひ参考にしてください。
車庫証明書とは
車庫証明書とは、正式名称を「自動車保管場所証明書」といい、クルマの保管場所が適切に確保されていることを証明する書類です。この制度は「自動車の保管場所の確保等に関する法律」、通称「車庫法」に基づいて運用されています。
車庫証明書が必要な条件として、使用の本拠地(通常は住所)から直線距離で2km以内に保管場所があることが定められています。この距離制限は、日常的な利用において合理的な範囲を定めたものであり、保管場所の適正な確保を促進する役割を果たしています。また、保管場所は道路から支障なく出入りでき、車輌全体を収容できる十分な広さが必要です。
引っ越し時に車庫証明書の住所変更が必要な理由
引っ越しによって住所が変更される場合、車庫証明書の住所変更が法的に義務付けられています。これは、車庫証明書に記載された使用の本拠地と実際の居住地が一致していなければならないためです。
住所変更の義務は車庫法第7条に明記されており、変更があった日から15日以内に手続きを行うことが求められています。期限内に手続きを怠った場合、10万円以下の罰金が科せられます。
参考:自動車の保管場所の確保等に関する法律「第7条」「第17条3項の1」
車庫証明書の住所変更に必要な書類
車庫証明書の住所変更手続きには、複数の書類の準備が必要です。書類の種類は保管場所の所有形態によって異なるため、事前に自分の状況に合わせて確認しておくことが重要です。
普通自動車の場合
普通自動車の車庫証明書の住所変更に必要な書類は以下のとおりです。
・自動車保管場所証明申請書【記載例/警視庁】
警察署の窓口で入手するか、各都道府県警察のWebサイトからダウンロードできます。
・保管場所の所在図・配置図【記載例/警視庁】
所在図は使用の本拠地(新住所)から保管場所までの道順と距離を示す地図で、インターネットの地図サービスを印刷して使用することも可能です。配置図は保管場所周辺の建物や道路の状況、駐車スペースの寸法などを記載した図面で、手書きで作成するのが一般的です。
・保管場所使用権原疎明書面(自認書)【記載例/警視庁】
自宅の敷地内や自己所有の土地に保管する場合に提出します。
・保管場所使用承諾証明書【記載例/警視庁】
月極駐車場やマンションの専用駐車場など、他人から借りている場所に保管する場合に提出する書類です。使用承諾証明書には、駐車場の所有者または管理者の署名・押印が必要となり、多くの場合、手数料として数千円を請求されることがあります。
・使用の本拠の位置が確認できるもの
新しい住所が確認できる書類が必要です。住所変更後の運転免許証や車検証、消印のある郵便物等が有効です。
また、申請の際には2,000円程度の手数料がかかります。具体的な金額は都道府県によって異なるため、最寄りの警察署のWebサイトにて確認しておきましょう。
交付までには、申請から3日から7日程度かかるため、スケジュールには余裕を持って手続きすることをおすすめします。
軽自動車の場合
軽自動車の場合、車庫証明書の申請は必要ありません。ただし、「保管場所届出」という書類の提出が必要な場合があります。この制度は地域によって適用が異なるため、引っ越し先が該当するかどうか、あらかじめ確認しておきましょう。
なお、保管場所届出が必要な地域の基本的な基準は以下のとおりです。
・各都道府県の県庁所在地
・人口10万人以上の市
・東京・大阪の中心部から30km圏内の市町村 など
ただし、同じ市内でも一部地域が対象外となっている場合や、人口10万人未満でも対象の地域があるなど、例外も多く存在します。
軽自動車の保管場所届出に必要な書類は以下のとおりです。
・自動車保管場所届出書【記載例/警視庁】
・保管場所の所在図・配置図【記載例/警視庁】
・保管場所使用権原疎明書面(自認書)【記載例/警視庁】もしくは、保管場所使用承諾証明書【記載例/警視庁】
車庫証明書住所変更の手続きの流れと注意点
車庫証明書の住所変更手続きは、事前準備から完了まで複数のステップがあります。スムーズに手続きを進めるために、各段階での注意点を理解しておきましょう。
警察署での申請から交付までの手順
1.管轄の警察署の確認
車庫証明書の住所変更手続きは、新しい保管場所を管轄する警察署で行います。手続き前の準備として、管轄警察署の確認が必要です。引っ越し前後で管轄が変わる場合がほとんどであるため、新住所または新しい保管場所の住所で管轄を調べておきましょう。
2.警察署の窓口での収入証紙の購入
警察署での手続き当日は、まず窓口で収入証紙を購入します。証紙の金額は都道府県によって異なりますが、2,000円程度が一般的です。
3.警察署の窓口で必要書類を提出する
書類の提出時には、窓口職員による内容確認が行われます。特に所在図・配置図については、距離や寸法の記載漏れ、保管場所の出入り口の幅員不足などがないかチェックされます。道路幅員は車輌の出入りに支障がない程度(一般的には4メートル以上)が求められるため、事前に測定しておくと安心です。
4.受領証の交付
書類に不備がなければ、交付予定日を記載した受領証が発行されます。この受領証は車庫証明書書を受け取る際に必要なため、大切に保管してください。交付までの期間は通常3日から7日程度ですが、年末年始や繁忙期にはさらに時間がかかる場合があります。
5.車庫証明書書の受取
交付日になったら、受領証と印鑑を持参して再度警察署を訪れます。
代理人による手続き方法
車庫証明書の申請・受取は、本人以外でも可能です。平日の日中に警察署に出向くことが困難な場合は、家族や知人に代理を依頼できます。
代理人が申請を行う場合、基本的には本人が作成した書類をそのまま提出します。書類に記載ミスや不備があった場合、代理人が勝手に修正できません。そのため、代理申請を依頼する際は、事前に書類の内容を入念にチェックしておくことが重要です。
委任状の活用により、代理人による書類の修正が可能となります。委任状には特定の書式はありませんが、委任者の氏名・住所・生年月日、代理人の氏名・住所、委任する事項、委任日、委任者の署名・押印などを記載します。委任状があることで、軽微な記載ミスなどを代理人がその場で修正でき、再提出の手間を省くことができます。
まとめ
車庫証明書の住所変更は、引っ越しに伴う重要な手続きです。15日以内に対応しないと10万円の罰金が科せられるため、必ず期限内に対応しましょう。
スムーズに手続きを進めるためには、引っ越し予定が決まった段階で早めに準備を開始する必要があります。書類の収集、特に保管場所使用承諾証明書の取得には時間がかかる場合があるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。また、申請から交付まで最大7日程度かかることを考慮し、引っ越し後一週間以内には申請を完了させましょう。
軽自動車をお持ちの方は、引っ越し先で保管場所届出が必要かどうかの確認を忘れずに行ってください。適用地域は複雑に入り組んでいるため、管轄警察署への事前確認が確実です。
また、車庫証明書の住所変更にあわせて、車検証の住所変更も忘れずに実施してください。これらの手続きを計画的に進めることで、新生活をスムーズにスタートさせることができるでしょう。