
コラム
更新2020.08.19
208は誤植ではない!?イタリア国内向けのフェラーリ208GTB/GTSターボ
松村 透
当時のイタリアで、排気量が2Lを超えるかどうかで税制面や保険料が異なっていました。日本に輸入されていた、308、328、348、F355・・・いずれも3Lオーバーです。
フェラーリ208は誤植ではなく、フェラーリ308時代に実在したモデル
このモデルは、見た目こそ328GTSですが、搭載されているエンジンは2Lターボ。そのためモデル名も「GTB ターボとGTS ターボ」となるのです。日本に正規輸入されることはありませんでしたが、並行輸入で持ち込まれた個体も存在しました。
そんなフェラーリGTB ターボ/GTS ターボですが、実は、308時代から存在していました。このときの名称は208 GTB ターボと208 GTS ターボでしたが・・・。
本家308のデビューから遅れること5年。1980年に初代フェラーリ208 GTB ターボと208 GTS ターボはデビューを果たします。当時は155psを発生する2L NAエンジンを搭載。ターボが搭載されるようになったのは1982年のことです。これにより、最高出力も220psへとパワーアップを果たしました。
フェラーリ328とほぼ同じフォルムを纏ったフェラーリGTB ターボ/GTS ターボは、1985年にデビュー。今回は328と同じタイミングでモデルチェンジを果たします。これまでと同じ2Lターボながら、マレッリ製電子制御イグニッションやインタークーラーの追加、圧縮比の引き上げなどにより、254psへとさらにパワーアップを果たします。もはや、3.2L NAエンジンのカタログ数値である270psに迫る勢いです。
それに伴い、最高速度もさらに高まることとなりました。フェラーリ308時代は242km/h(308は255km/h)だった最高速度も253km/h(328は263km/h)と、本家モデルに迫る性能を発揮するほどでした。このフェラーリGTB ターボ/GTS ターボは、F40と同じ日本のIHI(現株式会社IHI)製となります。
フェラーリGTB ターボ/GTS ターボを見分けるには?

エンブレムを隠してしまえば、相当なマニアでない限りはフェラーリ328と208を識別するのは困難でしょう。数少ない識別点として、ボディ左右のリアタイヤの手前にあるNACAダクトと、エンジンフード上にある、テスタロッサなどにも見られたボディと同色のカバー(ここにインタークーラーが収まります)。
そして、リアバンパー下に開けられたダクトくらいなもの。これさえ覚えておけば、街中でフェラーリ208を見掛けても判別できるはずです。
余談ながら、内装はほぼ328系と共通。しかし、メーター内はターボが備わるフェラーリ208専用品となります。スピードメーターとタコメーターのあいだにある上下メーターも、上から油圧・油温・ブースト計の順番で配されます(328は油圧計と水温計)。
タイヤサイズも328系と共通サイズとなり、フロントが205/55VR16、リアが224/50VR16となります。
フェラーリ208ターボはレア?当時、ターボエンジンのフェラーリは珍しい時代だった
時代の流れといえばそれまでですが、現行フェラーリはターボエンジンが多くなりました。
この時代のターボを搭載したフェラーリといえば、288GTOやF40など、スペシャルなモデルに限られていました。しかし、見た目はフェラーリ308や328にそっくりな、イタリア国内向けに生産されたモデルがあったことを、記憶に留めておいてください。
もし「見た目は328そっくりの程度の良いフェラーリGTB ターボ/GTS ターボに興味がありませんか?」というオファーが舞い込んだとしたら?一生に一度あるかないかの幸運が舞い込んだことなのです。もし、手の届く範疇にフェラーリGTB ターボ/GTS ターボが現れたとしたら、それは迷うことなく一歩前に進んでください。
[ライター/江上 透]