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ドイツニュース

更新2023.11.21

排ガス新規制案「ユーロ7」、原案より後退が確実に

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外車王SOKEN編集部

欧州議会は9日に開いた本会議で、欧州連合(EU)の新たな自動車排ガス規制案「ユーロ7」について、欧州委員会の原案を修正する案を賛成多数で可決した。新規制導入時期を先送りするなど、欧州委案と比べて緩やかな規制にとどめる内容となった。加盟国側も規制厳格化に反対していることから、新規制は原案から大きく後退する形で導入されそうだ。



EUは2050年までに域内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、中間点の30年までに1990年比で55%削減することを目指している。同目標の達成に向けて、加盟国と欧州議会、欧州委員会は22年10月、ガソリン車など内燃機関車の新車販売を35年までに事実上禁止する法案の内容で合意した。


ただ、35年以降も新車以外の内燃機関車はしばらく走行するため、欧州委は22年10月、ユーロ7の原案を発表。EU域内で販売されるあらゆる燃焼タイプのすべての車種を対象に排出基準を厳格化することや、タイヤとブレーキの摩耗で生じる粒子状物質の排出を初めて規制する方針を打ち出していた。


具体的には、大型車(トラック、バス)は排ガスの許容限度が引き下げられ、乗用車と小型商用車(バン)は現行規則「ユーロ6」の下限に設定。窒素酸化物(NOx)の排出量は現行規則「ユーロ6」の基準値と比べ、35年までに乗用車とバンで35%、大型車で56%の削減を求めるという内容だ。


欧州議会は乗用車などの排出規制、タイヤとブレーキの摩耗で生じる粒子状物質の排出に関しては欧州委案を受け入れた。しかし、大型車のNOx排出規制を緩和。さらに、新規制適用の時期を乗用車、バンで規制案が成立してから3年後、大型車で同5年後とする案も採択した。欧州委はそれぞれ25年、27年に設定していた。法案成立は24年にずれ込むことが必至なため、適用時期が延期されることになる。


ユーロ7をめぐっては、多くの加盟国も規制を厳格化すると自動車メーカーが内燃燃料車のエンジン改良に取り組まざるを得ず、投資を電気自動車(EV)開発に集中できなくなるとして批判的だ。加盟国は9月に開いた担当閣僚理事会で、乗用車とバンを新規制から除外し、現行規制を継続適用することで合意していた。


今後は欧州議会と加盟国が双方の案をすり合わせ、妥協案を成立させる。どのような方向で決着するとしても、欧州委案より緩やかな規制となるのが確実だ。


[画像/Adobe Stock 提供元/FBC Business Consulting GmbH]

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