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更新2021.08.04

アラカン世代の思う「アガリのクルマ選び」は、最後に食べたい食事に似ているかもしれない

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ryoshr

子どもたちが独立し、アラカン(還暦前後)世代だけの少人数構成の家庭となった今、そろそろ「アガリのクルマ」を考えるようになった。


アガリのクルマについて説明する必要はないかもしれないが、「愛車遍歴の最後を飾る(つまり人生における最後の愛車)」だと認識していただければ相違ないと思う。


自分自身、若い頃からクルマが好きであり、これまでさまざまなクルマに乗ってきた。多少「カタヨリ」がある自覚はあるものの、貧乏だがそれなりに楽しんでこれたように思う。そんな筆者が「アガリのクルマ」について勝手に妄想してみた。ちなみに、費用のことはまったく考慮していない。経済的に買えるかどうか、維持できるかはいったん忘れることにした。ただ、本能的に染み込んでいる貧乏魂が垣間見えてしまうことはご容赦いただくとして…。



 


■スピードに対する要求が激減していることに気づかされる



若い頃と何が違うのかを考えてみたとき、圧倒的に「スピードに対する要求が減った」という事実に気づかされた。これには自身の加齢による衰えもあるが、社会的にもあおり運転の問題や、アクセルまたはブレーキペダルの踏み間違いによる事故の問題などから、故意でも過失を問わずとにかくスピードを出すべきではないという無言の圧力が増していると思う。これらの要因から、アガリのクルマにはあまりスピードを要求しないようになった。結果としてスピードメーターの目盛りが280km/hとか300km/hまで刻んであることにあまり執着がなくなってしまったのだ。


これに加えて、人を乗せたり荷物を積む必要性が極端に減ったということもある。重い飲料水や洗剤などの日用品は通販することで玄関先まで届けてくれるし、子どもたちを乗せて遠出する機会もなくなった。どうしても大人数を乗せる必要があるときは、レンタカーなりカーシェアを活用すればいい。その結果、ドライバーである自分自身と同乗者1人ということが大半を占めるようになった現在、アガリのクルマとして小型ツーシーターも射程圏内に入ってくることに気づいたのだ。


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■アガリのクルマを選ぶ際に、まず除外するものは?



それはガソリンエンジン以外で走るクルマだ。ハイブリッドも電気自動車も水素自動車も除外(合理的な理由は今回要求されないので、心情的理由のみで除外する)。二輪でも四輪でも、ガソリンが内燃機関で爆発することで得られる動力の乗り物に高揚感や爽快感を得てきた者にとって、振動も音も匂いもしないクルマをアガリとする選択肢はない。乗り心地や同乗者のことを考えればそこまで頑なに拒否することはないと言われるかもしれないが、やはり、ない(キッパリ!)。ただし、乗らないとは書いていない。家族が運転するその種のクルマのリアシートに座るときはガソリンエンジンでなくてもいいし、タクシーも選んで乗るほどのこだわりはない。


どれほど税制や法律が変わってガソリンや自動車を取り巻く税金がこれまで以上に高くなり、ガソリンエンジン車に対して不条理な重課税が課せられたとしても、多分、所有すると思う。それに耐えきれなくなったときは、運転免許証を返納するタイミングだと考えている。


■定番のメルセデス・ベンツ?



選択肢としてはありだと思う。しかし、最新型ではなく自身の年齢や感覚の合うクルマをチョイスしたい。ダウンサイジングターボだったり、いろいろな制御が追加されている最新式よりW123かW124あたりのモデルであれば、セダンでもワゴンでもクーペでもカブリオレでもいい。内外装はノーマルのまま、機関と足回りだけ十分に整備をして、追加のデバイスはドライブレコーダーくらいだけにして、ゆるりと運転を楽しむにはアガリのクルマとして第一候補だ。


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■いつかはクラウンなのか?


これは微妙だ。クラウン、レクサスといった高級な国産車は悪くはないが、2番手以下だ。操作がどれも軽すぎて力がいらない、というのがその理由だ。力がいらない分、楽ちんだからいいではないかと思われるかもしれないが、どうしても「クルマに乗せられている」感覚があって、完全に乗っかりかねる(笑)。自分の身体能力が衰えてきても、クルマがなんとかしてくれると自分自身を過信してしまい、降りるタイミングを逸する可能性があるからだ。アガリのクルマだからといって楽ちんを追求するのはちょっと違うと思ってしまうのは、自分自身がまだアラカンだから、なのだろうか?


■では、ポルシェはどうなんだ?



悪くない。悪くはないが、もう、目がついていかないと思う。いい年をして首都高をドライブ(察してください)なんてことはしないだろうし、これまで走ったことのないサーキットを楽しみたいという欲望もさほどない。乗り物としてのポルシェの性能を活かしつつ、自分も楽しむということができるのか。もはや自信がないわけだ。


パワーやそれ以外の性能に余裕があった方が安全だし、実際に楽しいはずだということは理解しているものの、その余裕の幅が自分には大きすぎてもったいないのだ。ただ、ポルシェという選択肢は捨てたくないので、1973年までに生産されたいわゆるナローと356は候補として残しておこう思っている。2000cc以下のポルシェであれば、自分の体力や視力とのバランスもぎりぎり取れるのではないかという気がしている。



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■ちょっとキワモノもありでは?


「パイクカー」と呼ばれる日産のパオやフィガロも悪くないと思い、チラチラみている。ただ、完全に見た目だけはあるので、多分所有したとしても「アガれないのではないか」と心配もしている。ただ、日本車ならでは信頼性の高さやシンプルな内外装から察するに、維持はしやすそうだし、その小ささから取り回しもよさそうだ。候補外にはしたくないクルマのひとつだ。


■いっそミニバンがいいんじゃない?



背が高くて見切りがいいとか、スライドドアは便利だぞということもあるかと思うが、運ぶ空気の容積が大きすぎて、無駄にしか感じないのも事実。


余裕をはるかに通り過ぎ、無駄というよりも鈍重かつ長大で興味をそそられない。ミニバン・ワンボックスというカテゴリーに入るかどうかはわからないが、VW Type-2ならその無駄さを許容できそうだが、すでに一般性を失っている可能性は自覚している。


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■軽さは正義って書いてたよね?



以前、ロータス・エリーゼをしばらく借りて乗っていたときは楽しかった。以前の記事でその楽しさについて書いたこともあった。ダイレクトな運転感覚は運転というよりも操縦に近い感覚だった。しかし、乗り降りが大変だったので、アガリのクルマとしてはさすがにきついと思う。とはいえ、ライトウエイトスポーツという観点でいえば、マツダのユーノスロードスターやホンダ ビートなどは、メーカーがメンテナンス用部品の供給を継続してくれている。維持するにしても安心であり、これも候補としてはアリだと思う。


「軽さは正義!」な、スーパーカーがやってきたYa!Ya!Ya!
https://www.gaisha-oh.com/soken/lotus-elise-111s/


■で、結局何にするの?


読者の皆さんもご存知のとおり、クルマの楽しみはあれこれと選んでいるときがいちばん楽しい。何しろ、選ぶ前のクルマは故障したりトラブらないからだ。そのため、あぁでもない、こーでもないと考える時間を楽しみたいと思っている。


…というわけで、超個人的アガリのクルマランキング発表。
1位 1965年 VW Type-1
2位 1990年 メルセデス・ベンツ300TE(S124)
3位 1989年 ユーノス・ロードスター(1.6Lエンジン)


いろいろ書いたけど、最後の結論は現実感のあるセレクトだと思う。



「結局それかよ!」というご意見も聞こえてきそうだが、このクルマに乗ることは染色体に刷り込まれているので、もはやしかたがないのだ。


今回の記事を書くにあたり、アラカンになると、周囲からの制限(置き場所だとか、家族の事情だとか)から一度開放され、逆にまだ自分でもある程度体が自由に動くということもあり、本当に自分が乗りたいクルマを選べることを実感した。実際に上記のクルマを買うかどうかは別の問題として、一度頭を真っ白にしてクルマ選びをしてみるのも楽しい作業かもしれない。あ、筆者の頭の中が真っ白ではなくてサビだらけであることの指摘は無用にて。


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■余談



アガリのクルマに迷っている、思いつかないアラカン世代(と予備軍の方へ)、アガリのクルマに対する思いは人それぞれだろう。 


経済的に余裕があれば、素敵なガレージに何台かのビンテージカーを並べ、ときどき動かす幸せを感じることもできるだろうし、実際にそう過ごしていらっしゃる方もたくさんいると思う。ただ、免許を返納する直前に運転できるクルマは1台しかない。


それはどんな人にも共通だ。「最後に食べたいゴハンは?」という問いにも似ていると思う。つまり、あれもこれも食べられないわけで、最後に箸を置くまえに口に運べるものはひとつしかない。実はこの問の回答に対して「フランス料理のフルコース」と答える人は少ないらしい。最後の食事は卵かけゴハンだったり、誰かが作ったカレーライスだったり、地元のラーメン屋さんのラーメンだったりと、シンプルで身近なものが多いらしい。


誰かに決められるわけでもなく、自分で「アガリのクルマ」を選ぶとき、それは高級なほどいいわけではなく、楽ちんだからいいわけでもない。実はその選択はあなたの人生を例えるクルマを選ぶはず、と思う。


クルマに興味がない人からすれば「何をおおげさな…」と嘲笑されるだろうが、クルマに憧れ、青春を謳歌し、人生をともに歩んできた「自他ともに認めるクルマ好き」であれば死活問題、看過できないテーマであることに共感していただけるものだと信じている。


[ライター・撮影/ryoshr]

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