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ドイツ現地レポ

更新2019.11.01

ドイツで乱立する電動キックボードのシェアサービス。急速に定着しつつも課題は山積み?

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守屋 健

日本では福岡や埼玉などで実証実験が始まったばかりの電動キックボードのシェアサービス。一方、ヨーロッパやアメリカでは3年ほど前から実際に公道で導入され、すでに街の景観の一部になるほど定着しています。

ドイツでは急速に発展するこのサービスに対し、2019年6月15日に新たな法規制が施行され、公道での使用が合法化されました。それ以降、筆者の住むベルリンでは、さらに多くの電動キックボード業者が参入し、大きな賑わいを見せています。早速、詳しく紹介していきましょう!

2019年6月から合法化



電動キックボードは、ドイツでは「E-Scooter(イー・スクーター)」と呼ばれることが多く、その多くが個人所有ではなく、シェアリングサービスによって提供されています。ドイツにおいては、ベルリン、ドレスデン、ケルン、ミュンヘンなどの大都市を中心に、2019年6月以降数百台から数千台単位で導入が開始されました。



世界有数のE-Scooterのプロバイダー、「Lime(ライム)」。アメリカでも大きなシェアを持つ会社ですが、ドイツでもドルトムント、デュッセルドルフ、フランクフルト、シュツットガルト、ケルン、ミュンヘン、ハノーファー、エッセンなど、多くの街で展開。ベルリンでは約1000台が導入され、日常的に頻繁に目にするE-Scooterとなっています。

グーグルマップでルート検索すると、この通り。



すでにルート検索画面にE-Scooterの位置と所要時間、おおよその料金まで表示されるようになっています。今や市民の足として、確実に定着しつつあるのです。

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スマートフォンアプリから手軽に利用可能



ドイツでのE-Scooterは、最高速度はそれぞれの自治体によって定められていて、18〜25km/hの範囲で設定されていることがほとんどです。床下に設置されたリチウムイオンバッテリーをモーターで駆動し、それぞれの車体にはヘッドライトや常時監視用のGPSが搭載されています。ユーザーはスマートフォンアプリを使用してE-Scooterのロックを解除、GPSによって走行ルートがトラッキングされ、使用時間や距離に応じてクレジットカードで料金が支払わる、という仕組みです。



アメリカはカリフォルニア州サンタモニカ発のプロバイダー、「Bird(バード)」。先に紹介したLimeとともに、すでに日本での導入を試験的に開始している会社で、欧米の多くの街で導入されている大手のプロバイダーです。白と黒のシックな外観は、モノトーンを好むドイツ人にも好意的に受け入れられそうなスタイリッシュさ。

免許もヘルメットも不要!



ちなみにドイツでは、運転に際してヘルメットの着用は義務化されておらず、「ヘルメット着用が望ましい」とはされているものの、ベルリンで被っている人を見かけたことはほとんどありません。運転免許証も不要で、14歳以上から運転が可能です。2019年10月現在、日本では原動機付自転車扱いとなり、運転免許証の携帯やヘルメットの着用が義務となっている現状から比べると、規制はかなり緩いと言えるでしょう。

これらのE-Scooterは、常設されたGPS情報を元に業者によって定期的に回収され、充電とメンテナンスが行われます。それによって、E-Scooterは「どこでも借りて、どこでも乗り捨て」が可能なサービスとなり、人々にとって手軽に利用できる移動手段の一つとなったのです。特にベルリンでは、車の渋滞や駐車場の不足が長年大きな問題となっているため、その状況を打破する切り札としても期待されています。




オレンジのカラーリングが印象的な「CIRC」。上記で紹介してきたLimeやBirdに比べると小規模なスタートアップで、ベルリンとケルンの2都市で導入が開始されています。ベルリンでの初期導入台数も100台と控えめで、他のE-Scooterと比べると珍しい存在かもしれません。個人的には一番好きなデザイン。自転車タイプの前後ブレーキ、ドリンクホルダーとスマートフォンホルダー、フロントサスペンションなど、個々のディテールもなかなか凝っています。



ベルリン発のE-Scooterサービス、「TIER(ティア)」。現在11ヶ国31都市で展開しています。北ドイツ・ベルリン発のサービスではありますが、ドイツの南側、西側を中心にシェアを拡大しつつあります。TIERはドイツ語で「動物」を意味する名詞で、都市部を小動物のように動き回るE-Scooterにはぴったりのネーミング!

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E-Scooterが抱える問題点

 


カーシェアリングの先駆者Uberが手がけるE-Scooterサービス「JUMP」。鮮やかなレッドが目をひきます。こうした目立つカラーリングが多いE-Scooterですが、実はE-Scooter自体「街の景観を損なう」「歩道や自転車道、公道上に放置されて通行の妨げになる」など、置き場所や景観に関する問題点が指摘されています。

それ以外も、本来一人乗りのE-Scooterを二人乗りする、ヘルメット未着用による自動車との重大事故、歩行者との衝突事故、不慣れな運転による転倒事故、GPSのトラッキングによるプライバシーの侵害など、合法化後の短期間に多くの問題が次々に噴出しており、それまで緩めに設定されていた法規制がもう少し厳しくなることが示唆されています。

日本ではまだ本格的に導入されていない電動キックボードのシェアサービスですが、ドイツではさっそく法による引き締めが始まる予感が…。新聞などの紙面を見ていても、世間の風当たりも少しずつ厳しくなってきていることを実感しています。公道での使用が合法化してからまだまだ日が浅いE-Scooterのシェアリングサービス、今後はどのような展開を見せていくのでしょうか。引き続き注意深く見守っていきたいと思います!

[ライター・カメラ/守屋健]

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